38 / 202
第一章 異世界に来ちゃった
突然の…
しおりを挟む
もう着く、と言われたのにディカイアスの温もりとふんわりバニラの香りで癒されていつの間にかまた寝ちゃってたらしく。
「着いたぞ」
と言われて一瞬何の事かわからなかった。
着いたってどこに…?
ハッ!?着いた!?騎士団寮に戻ってきたのか!!
「また寝て…………」
また寝てたー!と叫ぼうとして、もうホントに至近距離にお綺麗な顔がありまして。むしろ今ちょっと唇の端に…当たっちゃったよね…?辛うじてかなり唇寄りのほっぺちゅ、だったけど…ごごごごごめんなさーーーーい!!!!
一人アワアワする俺を置いてけぼりに、ディカイアスは俺を抱えて馬車から降りた。
途端にザワッ、となったのは仕事帰りの騎士さん達だ。そうだった。ここは騎士団寮の真ん前だ。しかも普段なら俺はとうに風呂を済ませて部屋に行ってる時間だけど、この時間は帰ってくる騎士さん達で玄関がごった返すんだった。
「団長が…!」
「団長が何か花を飛ばしてるぞ…!」
「おい、見ろよあの緩んだ顔…!!天変地異の前触れか…!!?」
ヒソヒソ話してるつもりなんだろうけど元々声のデカイ騎士さん達だ。全部丸聞こえなんだけど…
(花なんか飛んでないよな…)
物理的に飛んでるんじゃなければ心証的な物だと思うけど、そんな雰囲気欠片もないし。というか顔もいつもの無表情にしか見えない。どの辺りが緩んでるんだ…??俺にはさっぱりわからん。
でもディカイアスは何か心当たりがあるのか、ゴホン、とわざとらしい咳払いのあとジロッと周りを睨み付ける。途端に蜘蛛の子を散らすように逃げていく騎士さん達。
何て言うか…ノリが男子高生みたいなんだよな…。
「んーっと…、何かいいことあった?」
もしかして降りたらすぐ先に好きな人でもいたとか?
もしそうなら可愛いな!あ、でも逆に奥手なのか?俺もどっちかと言えば好きな子にすぐ好きって言えなくてモジモジするタイプだもんな。それで先にかっさらわれた事もあるもん。
でもディカイアスのこの顔で奥手だなんて勿体ない!朝みたいなあの蕩ける微笑みを浮かべて、好きだ、とでも言ったら誰でも着いてきちゃうと思うのに。
「…ディカイアスはカッコイイから自信持って告白したらいいと思う」
「…何の話しだ?」
「えっ、今の騎士さん達の中に好きな人でもいたんじゃないの?」
いつも無表情なディカイアスに、こいつマジか、みたいな顔をされた。俺でもわかる表情変化は嬉しいけどそんな顔しないでくれよ!傷つくよ!
「…そうだな。好ましいと思う相手はいる」
「なんだ!やっぱそうなんじゃん!!」
ん?じゃあ何で俺はあんな顔をされたんだ?あ、隠してたのに俺にバレたからびっくり、って顔だったのかな?
「…相手は全くわかっていないようだがな」
「鈍い人なんだな~。ならどんどんアピールした方が良いと思う!鈍い人にはしっかり伝えないと伝わらないからな!」
と、俺も友達に言われた事があります。
「…そうだな。そうした方が良さそうだ」
うんうん。そうだよ。ディカイアスは俺と違ってイケメンなんだから、もっと自信持ってガンガンいったら良いよ!
何て思ってたら。
ちゅ、と、何だか可愛らしい音と共に頬にキスされた。
「ひぇ…っ!な、なな、何で…っ!!?」
「アピールした方が良いんだろう?」
「俺にしてどうするの…!?」
それは好きな人にしてください!!!俺にしても俺の心臓が爆発するだけで、ディカイアスには何のメリットもないだろ!
ハッ!?これは新手の暗殺手段…!!?
「お前の助言を実行してるだけだが?鈍い相手にはしっかり伝えないと駄目だと言った」
「言ったけど!俺にやっても………え?」
あれ?何でこのタイミングで俺にほっぺちゅ、とかやる?冗談でしたー、とか練習でーす、とか言うオチ?え?でも実行してる、って…えぇぇぇ…??
「…俺…?」
いや、待て。自惚れるな、とか何勘違いしてんだ、とか言われるんじゃないか?だっておかしいよな?こんなに引く手あまたな顔してるディカイアスが俺を好き、とか言うわけない。きっと気のせいだ。そうに違いない。
「お前は鈍そうだからな。早めに手を打たないと横から持っていかれる」
「俺ぇぇぇぇーーー!!!!?何で!!!?」
「…恋慕するのに理由がいるのか?」
「えぇぇぇ!!!言い方かっこよ!いや違う!えっと…!俺!?何で!!!?」
もう何で?以外言葉がないよ!!
だってディカイアスだよ!?王族と懇意な公爵家の人で王子様と乳兄弟で騎士団長のイケメンだよ!!!?こんな優良物件俺なんかよりそれこそ貴族のお嬢様…って女の子いないんだった!貴族のえっとメム様?達がほっとかないだろ!!?
「…恋慕するのに理由がいるのか?」
「2回目ー!?」
いや、でも好きになるのにきっかけとかあるでしょ!?俺まだディカイアスとはそんなに触れ合ってない気がするんだ!
「すぐに答えろとは言わん」
「答えなきゃ駄目ぇ!!?」
いや、答えなきゃ駄目だろ。びっくりするあまり思わず口をついて出てきたけど、内心自分で突っ込む。恋しいと言われて返事しないなんて最悪だもんな。
「…うぅ…、ひ、ひとまず、お友達?からお願いします…」
天国の母さん、父さん。俺、初めて人から告白されました。相手、男ですけど。
「着いたぞ」
と言われて一瞬何の事かわからなかった。
着いたってどこに…?
ハッ!?着いた!?騎士団寮に戻ってきたのか!!
「また寝て…………」
また寝てたー!と叫ぼうとして、もうホントに至近距離にお綺麗な顔がありまして。むしろ今ちょっと唇の端に…当たっちゃったよね…?辛うじてかなり唇寄りのほっぺちゅ、だったけど…ごごごごごめんなさーーーーい!!!!
一人アワアワする俺を置いてけぼりに、ディカイアスは俺を抱えて馬車から降りた。
途端にザワッ、となったのは仕事帰りの騎士さん達だ。そうだった。ここは騎士団寮の真ん前だ。しかも普段なら俺はとうに風呂を済ませて部屋に行ってる時間だけど、この時間は帰ってくる騎士さん達で玄関がごった返すんだった。
「団長が…!」
「団長が何か花を飛ばしてるぞ…!」
「おい、見ろよあの緩んだ顔…!!天変地異の前触れか…!!?」
ヒソヒソ話してるつもりなんだろうけど元々声のデカイ騎士さん達だ。全部丸聞こえなんだけど…
(花なんか飛んでないよな…)
物理的に飛んでるんじゃなければ心証的な物だと思うけど、そんな雰囲気欠片もないし。というか顔もいつもの無表情にしか見えない。どの辺りが緩んでるんだ…??俺にはさっぱりわからん。
でもディカイアスは何か心当たりがあるのか、ゴホン、とわざとらしい咳払いのあとジロッと周りを睨み付ける。途端に蜘蛛の子を散らすように逃げていく騎士さん達。
何て言うか…ノリが男子高生みたいなんだよな…。
「んーっと…、何かいいことあった?」
もしかして降りたらすぐ先に好きな人でもいたとか?
もしそうなら可愛いな!あ、でも逆に奥手なのか?俺もどっちかと言えば好きな子にすぐ好きって言えなくてモジモジするタイプだもんな。それで先にかっさらわれた事もあるもん。
でもディカイアスのこの顔で奥手だなんて勿体ない!朝みたいなあの蕩ける微笑みを浮かべて、好きだ、とでも言ったら誰でも着いてきちゃうと思うのに。
「…ディカイアスはカッコイイから自信持って告白したらいいと思う」
「…何の話しだ?」
「えっ、今の騎士さん達の中に好きな人でもいたんじゃないの?」
いつも無表情なディカイアスに、こいつマジか、みたいな顔をされた。俺でもわかる表情変化は嬉しいけどそんな顔しないでくれよ!傷つくよ!
「…そうだな。好ましいと思う相手はいる」
「なんだ!やっぱそうなんじゃん!!」
ん?じゃあ何で俺はあんな顔をされたんだ?あ、隠してたのに俺にバレたからびっくり、って顔だったのかな?
「…相手は全くわかっていないようだがな」
「鈍い人なんだな~。ならどんどんアピールした方が良いと思う!鈍い人にはしっかり伝えないと伝わらないからな!」
と、俺も友達に言われた事があります。
「…そうだな。そうした方が良さそうだ」
うんうん。そうだよ。ディカイアスは俺と違ってイケメンなんだから、もっと自信持ってガンガンいったら良いよ!
何て思ってたら。
ちゅ、と、何だか可愛らしい音と共に頬にキスされた。
「ひぇ…っ!な、なな、何で…っ!!?」
「アピールした方が良いんだろう?」
「俺にしてどうするの…!?」
それは好きな人にしてください!!!俺にしても俺の心臓が爆発するだけで、ディカイアスには何のメリットもないだろ!
ハッ!?これは新手の暗殺手段…!!?
「お前の助言を実行してるだけだが?鈍い相手にはしっかり伝えないと駄目だと言った」
「言ったけど!俺にやっても………え?」
あれ?何でこのタイミングで俺にほっぺちゅ、とかやる?冗談でしたー、とか練習でーす、とか言うオチ?え?でも実行してる、って…えぇぇぇ…??
「…俺…?」
いや、待て。自惚れるな、とか何勘違いしてんだ、とか言われるんじゃないか?だっておかしいよな?こんなに引く手あまたな顔してるディカイアスが俺を好き、とか言うわけない。きっと気のせいだ。そうに違いない。
「お前は鈍そうだからな。早めに手を打たないと横から持っていかれる」
「俺ぇぇぇぇーーー!!!!?何で!!!?」
「…恋慕するのに理由がいるのか?」
「えぇぇぇ!!!言い方かっこよ!いや違う!えっと…!俺!?何で!!!?」
もう何で?以外言葉がないよ!!
だってディカイアスだよ!?王族と懇意な公爵家の人で王子様と乳兄弟で騎士団長のイケメンだよ!!!?こんな優良物件俺なんかよりそれこそ貴族のお嬢様…って女の子いないんだった!貴族のえっとメム様?達がほっとかないだろ!!?
「…恋慕するのに理由がいるのか?」
「2回目ー!?」
いや、でも好きになるのにきっかけとかあるでしょ!?俺まだディカイアスとはそんなに触れ合ってない気がするんだ!
「すぐに答えろとは言わん」
「答えなきゃ駄目ぇ!!?」
いや、答えなきゃ駄目だろ。びっくりするあまり思わず口をついて出てきたけど、内心自分で突っ込む。恋しいと言われて返事しないなんて最悪だもんな。
「…うぅ…、ひ、ひとまず、お友達?からお願いします…」
天国の母さん、父さん。俺、初めて人から告白されました。相手、男ですけど。
36
お気に入りに追加
1,913
あなたにおすすめの小説
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
追放されたボク、もう怒りました…
猫いちご
BL
頑張って働いた。
5歳の時、聖女とか言われて神殿に無理矢理入れられて…早8年。虐められても、たくさんの暴力・暴言に耐えて大人しく従っていた。
でもある日…突然追放された。
いつも通り祈っていたボクに、
「新しい聖女を我々は手に入れた!」
「無能なお前はもう要らん! 今すぐ出ていけ!!」
と言ってきた。もう嫌だ。
そんなボク、リオが追放されてタラシスキルで周り(主にレオナード)を翻弄しながら冒険して行く話です。
世界観は魔法あり、魔物あり、精霊ありな感じです!
主人公は最初不遇です。
更新は不定期です。(*- -)(*_ _)ペコリ
誤字・脱字報告お願いします!
【父親視点】悪役令息の弟に転生した俺は今まで愛を知らなかった悪役令息をとことん甘やかします!
匿名希望ショタ
BL
悪役令息の弟に転生した俺は今まで愛を知らなかった悪役令息をとことん甘やかします!の父親視点です。
本編を読んでない方はそちらをご覧になってからの方より楽しめるようになっています。
顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!
彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど…
…平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!!
登場人物×恋には無自覚な主人公
※溺愛
❀気ままに投稿
❀ゆるゆる更新
❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
捨てられた僕を飼うけだものは
おさかな
BL
とある元貴族の家に生まれた子、ひよりは家の邪魔者として半ば追い出されるようにして獣人の住む町に奉公へ向かうこととなり、そこで美しい銀色の狼の紳士、アカツキと出会う。
偽の紹介状を渡され行く宛てをなくしたひよりは、アカツキに拾われそこでメイドとして働くことになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる