二分の一の世界

ナナメ

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第一章

始まり R18

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 そこかしこで上がる閧の声に悲鳴。
 潮風に混じる、燻る炎の臭いと血の臭い。
 荒波に揺れる船の上、風に吹かれるまま金の髪を靡かせる男は不適に微笑んだ。

「何だ、これで終わりか?噂の海賊も大した事ねぇなぁ」

「く…っ!」

 彼らの仕事は順調だった。“積み荷”を引き取り、依頼人に手渡すだけの簡単な仕事。ただそれだけで大金が手に入るはずだった。本音を言えば“積み荷”の方にも興味はあったが依頼人は貸しを作るに値する相手。逆らわない方が身の為、とその興味を圧し殺し航海してきた。
 航海の間にやるようにと指示されていた事も成し遂げ、あとは港に着くのを待つばかりだったのだ。

 前方に帆船が見えた時は大して何も思いはしなかった。商船であれば襲い積み荷を奪って、海軍であれば“積み荷”と依頼人の話をしてやればいい。
 だが段々近付いてくる船の前方に漆黒の聖女の像がついているのを見た瞬間、彼らは戦慄した。それは遥か遠くの海で名を馳せる海賊の象徴だったからである。船に取り付けられた像にちなんで“漆黒の聖女”と呼ばれる彼らに出会ったら最後、とまで言われ恐れられてきたその海賊が何故ここに?
 一瞬その名を騙る偽物かと思いかけたが、その機動力、手際のよさは間違いなく本物。彼らはあっという間に漆黒の聖女の襲撃を受けたのだ。

「船長」

 斬りかかってこようとした目の前の男を斬り伏せ血をはらった金の髪をもつ男が振り返った。
 青灰色の瞳は未だ戦闘の昂りからか鋭い光を宿したままである。

「船は制圧したっす」

「そうか」

 それにしては浮かない顔の部下に、片眉を上げ無言で問いかけると、

「宝はたくさんあったんすけどね……」

 ややオーバーリアクション気味に両腕を広げる。

「でも……、変な部屋があって」

 宝を見に行こうとした男を遮るように部下は言葉を繋いだ。

「変な部屋?」

「鍵掛かってて、しかも変な臭いがするっつーか……やな雰囲気っつーか」

 一歩足を踏み出せば、部下は案内するかのように前を歩く。他の部下達は既に船内の金目の物を運び出している。元々の乗組員は小舟で逃げたか、床で物言わぬ塊になったようだ。船内は男の部下だけであった。

「ここっす」

(……この匂い……)

 果物が腐ったような、粘ついた甘さ。僅かに嗅いだだけでも吐き気がしそうだ。

「……サラの葉だな」

 火で炙れば香になり、煎じれば飲むことも出来る。しかし、この葉は異常な常習性がありそのままの状態で一度でも使用すれば離れるのは時間がかかる……所謂麻薬の一種である。

「サラの葉……って、娼館で使われる?」

 催淫効果のあるその葉は、悪辣な娼館でよく使われている。借金のかたに売られてきた少女を逃がさないために、送られてきたその日からサラの葉を焚いた部屋に監禁するのだ。
 最初は拒絶反応を起こし、吐いたり錯乱したり、意識を失う事もあるが、意識を失っている間にもその香を吸い込み続けたらあとは葉の効力に従い、ただ性欲の為だけに動き廃人になるまで薬と男を欲しがるようになる。

 しかし一時の快楽の為に極微量に薄めたものを使う人間は多い。それくらいならば毎日使わない限りは離れられなくなる心配もないのだが。

(異常に濃いな……)

 これを焚いているということは、中に人がいるのは間違いないだろう。ただ既に廃人になっている可能性もあるが。
 男は懐から布を取りだし口と鼻を覆った。

「船長!?入るんすか!?」

「この船に置いとけねぇだろ」

 金目の物を奪ったら燃やす予定なのだ。廃人になっていようと、葉を焚かれているくらいだから好んでここにいるわけではないだろう。
 せめて何処か陸地に下ろすくらいはしてやってもいい、と部下には離れるように指示し大きく息を吸い込んだ。
 鍵を壊して入った室内は、目もやられそうな程の煙が充満していた。僅かな空気穴がなければ息が出来ずに死んでしまいそうだ。

「ぁ……、ぅぁ……」

 チャリ、チャリ、と金属が揺れる音に混じって微かに聞こえたのは人の声。頼りなく弱々しい声だったがまだ息はあるようで、彼は一度外に出、肺に新鮮な空気を取り込むと再度室内へと踏み込む。声の主は布で隔てられた床の上にいた。
 まだ若いーー少年から脱したばかりの青年だ。
 その肢体は晒され、腕は壁に貼り付けられ、両足は一本の鎖で繋がれている。
 チャリ、チャリ、と鎖を鳴らしながら微かに身を捩っているようだが、力が入らないのだろう。焚かれた香の所為で昂る熱をどうすることも出来ず――いや、手が届いていた所でそこはきつく戒められておりどちらにせよどうにもできなかっただろうが――虚ろな眼窩からポロポロと涙を溢し、壁に貼り付けられた手を弱々しく動かしている。

「ぅ……ぁあ……」

(チッ、胸くそ悪ぃな)

 どれ程の間そうされていたのか、青年にはもう喋る事すらできないようで、ただどうにもならない熱に涙を溢し続ける。
 悪趣味なその様子に内心舌打ちし青年の鎖を断ち切って抱き上げた。そろそろ息を止めるのも限界だ。

「ふ……ぁ……ぁあ……」

 部屋の外で大きく深呼吸をし、腕の中の青年を見下ろす。

「待ってろ、今楽にしてやる」

 上衣を脱ぎ華奢な体に巻き付けるとそれだけでビクンと跳ねる青年を抱えたまま、男は部下より先に船へと戻った。




「ひ、ぁ、あ、……ぅぁあ……っ!!」

 陸と変わらず風呂に入りたいと盛大に駄々をこねた海賊の男…ケイの為特別に備え付けられている浴槽へバシャンと投げ入れた青年を丸洗いする事30分。ただ洗われているだけの彼は数えきれない程欲望を弾けさせており、流石にもう出すものもないのか断続的に痙攣するだけ。
 それでも足りないのかケイに擦り寄り、弱々しく縋りつきながら耳元で艶かしく喘ぎ、涙を溢し続ける。

「あ、ぅ……、あー……っ」

 言語を発することがない唇は艶やかで、涙を溢し続ける虚ろな瞳は琥珀色。枷の所為で手足に傷があるもののその肢体は吸い付くように滑らかで…むしろ苦しい呼吸に激しく上下する胸の粒に例えではなく吸い付いた。

「ん!――あぁ……っ!!」

 香の匂いが消えている事を確かめプクリと立ち上がる粒に軽く歯を立てると、彼はまた絶頂を迎えたのか声をたてず体を大きくしならせ、クタ、と弛緩した。しかしその柳腰は快楽を求めてユラユラと揺れている。

「足りねぇのか?」

 思考が散り散りに霧散してるだろう今の彼に返答を求めてはいなかったが問いかけた。当然答えは返らない。
 相変わらず湯の浮力ではなく意思をもって揺らめいている腰を押さえつけ、窄まりに指を一本差し入れる。

「ぃ、あ……」

 そこはもう熱く蕩け、本来異物である筈のケイの指を嬉しそうに咥わえ込み逃さないとばかりに収縮を繰り返しており、暫しの逡巡の後ケイは指を引き抜くと青年を抱き上げた。向かった先は彼の寝所。
 濡れたままの青年をやや乱暴に落としその体に覆い被さると、細い肢体をくねらせケイの腹に自らの熱を押し付けてくる彼の窄まりへと剛直を捩じ込んだ。

「ひ、ぅあぁぁーーッ!!ン、――んん!やぁぁ!」

 待ち望んだ熱に浮かされ、ただでさえ蕩けそうな内壁が蠢きケイへと絡み付く。

「あ、……ゃ、あー……っ!」

「……っく」

 淫らに蠢く媚肉の搾り取るような動きがたまらなく、全身をゾクゾクと快感が駆け巡りケイは思わず息を詰めた。

(やべぇな、こいつ……)

 サラの葉の効力が大きいとは言え、恐らく彼が元々持つ素質もある筈だ。
 誘うように色付いた唇からはひっきりなしに嬌声が上がり、ケイの動きに合わせて振られる柳腰。だらしなく開いたままの口からトロトロと唾液を溢れさせ、そのあえかな喘ぎに煽られ青年の腰を掴んで乱暴に揺さぶって

「や、ら……ぁ……っ!!ぃや、ぁぁー!」

 初めて言葉として意味を成す声を発した彼におや、と思う。言葉を発したということは廃人とまではいっておらず、まだ助かる見込みがあると言うことだ。それでもサラの葉の常習性を考えれば楽な事ではないが。
 しかし、ケイはもはや青年を手放す気はない。一目見た時から自分好みだとは思っていたが、助からないと思っていたからこそせめて最後にその身を焦がす程の快楽だけは与えてやろうと思ったのだ。
 なのに彼の体はあまりに淫らで、まるでサラの葉のように一度抱けば病み付きになりそうな艶やかさ。

(奪った宝は俺のモンだ)

 奴らになんの目的があってこの青年にあんな無体を強いたのか。自分達の欲の捌け口にするつもりだったか他に理由があるかはわからない。確認しようにも既に答えられる人間はそこにいないのだし。

 ただ言えるのは、

「あっ、あぁ!ゃあ!は、ぁん、――あぁぁぁッ!!」

 手に入れた宝を手放す程のバカではない。




 ガチャリと扉を開けると、部屋の近くにいた男が振り返った。海賊、というには纏う空気が高貴で、まるで海賊に囚われた貴族のような雰囲気を漂わせる彼はケイの右腕、リツである。意志の強そうなサファイヤの瞳に、ケイの日に焼けてくすんだ金色とは違う、手入れの行き届いた金糸の髪。瞳と同じく頑固に引き結ばれた桜色の唇が僅かに綻んで

「やっと賢者モードですか。腹上死しろ、この絶倫が」

 アルトの澄んだ声がサラリと毒を吐いた。

「うっせぇな、盗み聞いてんじゃねぇよ」

「勝手に声を響かせてるのはあなたでしょうに」

「羨ましいからって突っかかってくんな」

「今すぐそこの鈍器で頭かち割ってやりましょうか?」

 右腕の言い分にケイは僅かに肩を竦める。

「で?あの青年はどうしたんです」

「本気で腹上死しそうだったから気絶させた」

 眠りについていても葉の効力は有効で、恐らく彼の見る夢はひどく淫靡なものだろう。だがケイにより待ち望んだ快楽を与えられたのだし、何もされずに起きている時よりはマシな筈だ。

「中和薬は出来たのか?」

 青年を部屋へ連れ込むケイにいち早く気付いたのはリツである。サラの葉で正気を失っているとは言え、自分達の上司である彼の部屋へ身元不明の人間を入れるわけにはいかないと反対した彼は、逆に中和薬の作成を“命令”されてしまった。
 材料はあり、知識もある。薬を作ること自体はさして難しい事ではない。

「……ひとまず2日分なら。それより、」

 本気ですか、と問われたケイは肌蹴たシャツなどお構いなしにくすんだ金髪を軽く掻き上げた。
 無駄な色香を出すな、と言いたげなリツはうんざりした顔を隠しもしない。

「本気だ」

 一度言い出せば周りの意見などどこ吹く風の男である。リツは心の底から押し出されたような深いため息をついた。

「本気なら、少なくとも三月上陸は避けるべきでしょう」

 薬と快楽を欲しがるあまり誰彼構わず縋りつくのは目に見えている。
 サラの葉は確かに劇薬だが、使い方によっては医療にも活用できるためにどこの町でも栽培されているのだ。勿論悪用されない為に厳重な管理下にはあるが違法に育てる人間も後を断たない。そんなものを見つけてしまえば最後、青年は精神を破壊し尽くされ死に至るまで葉を接種し続けるだろう。

「最もあの子がどの程度の期間香を吸わされていたかわかりませんから、完全に抜けるまでは降ろさない方が賢明でしょうけどね」

 リツが言った側から僅かに開いていた扉の隙間から白い手が覗いた。次いでずるずると這いずるように出てきた青年は虚ろな瞳で二人を見上げ

「う、……」

 呻き声を上げながらケイの足へと縋る。見つけた時から服を着ていなかった為当然裸のままで、ケイに散らされた生々しい情事の跡が白い肌を彩り艶かしい体をより淫靡に見せている。

「……も、……と、……ょ、だぃ……」

 もっと、と強請る青年の体力は限界の筈だ。証拠にケイの足に弱々しく縋っていた手は滑り落ち、くたりと身を預けてくる。
 それでも、もっともっと、と虚ろな瞳のままケイを見上げ持ち上げられなくなった手はカリカリと床を掻く。

「……抜けるまで、この子の体力が保つかはわかりませんよ」

「お前と違って若いから大丈夫じゃね?」

「死にやがれクソ上司」

 ケイに抱き上げられただけで甘い声を上げる青年の為に中和薬を手渡しながら、毒を吐くのだけは忘れない。いつか絶対こんな船下りてやる!と毎度思うけれど結局この奔放な上司に振り回されるままだ。




 クチュ、と音をたてて唇を離すと粘度の高い薬が糸を引いた。口に含んだだけでも相当苦いそれがお気に召さなかったのか、青年は飲み込まされた後もイヤイヤ、と首を振っている。

「いい子だからしっかり飲め。な?」

「やー……っ」

 意思の疎通が出来たのか、はたまたただの本能か拒絶するように顔を背ける子供みたいな仕草が愛らしい。
 再度口に含んだドロリとした苦い液体を、嫌がって顔を背け続ける青年の顎を掴んでその口内へと流し込む。

「んー……っ!んんー!!」

 力の入らない手足を弱々しくバタつかせ懸命に逃れようとする彼へ何度かに分け薬を飲ませて数十分。ぐったりしながらも快楽を求めていたその体が不意にビクンと不自然にしなった。

「……っ、……っ」

 はくはくと酸素を求めて開閉する唇が戦慄き、グゥ、と音をたてたのはその喉。体を侵し尽くす香の毒素という異物を排除しようと薬が反応し始めたのだ。
 ケイは戯れ程度に快楽を与えてやっていた細身の体を抱き起こし、その口元に容器を当てる。グゥ、グゥ、と何度か喉が鳴りゴボッとせり上がった液体を受け止めた。

「ぐ、ぅー……っ、、ぁー……っ」

 苦しいのか涙を溢して自らの喉に手を当てて、またゴボリと液体を吐く。

「ひ、……、うぅ……っ」

 裸の胸が情事の時のように激しく上下している。泣きじゃくりながらカリカリと喉を掻くその両手を後ろに回させて背中を支える手で抑え込み、一度容器を置くとあばらの浮いた薄い腹をグッと押した。

「ふ……、ぐぅ……っ!!」

 またゴボッと音をたてる口元に容器を押し当て受け止めて、ヒュ、ヒュ、とか細いながらも間隔の短い呼気を洩らす青年の、涙を溢し続ける虚ろな琥珀を覗いた。

「よしよし、良く頑張ったな」

 言葉の理解は出来ないながら、ケイの微笑みにつられたかどこか安堵したように見える顔で青年は意識を手放したのだった。




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