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第一章 勇者の聖剣が呪われてた
討伐完了
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「お前が怯むから一瞬遅れるんだ!!ごちゃごちゃ考えず突っ込め!」
ごちゃごちゃ考えず突っ込んだ挙句リンハルクに肋骨を折られたんですけど、とは本人の目の前では言えない。
いくら聖剣で攻撃力が上がったとしてもミズイロはただの薬師だ。しかも聖剣は攻撃最優先で、ミズイロが、あ、ヤバイ、と思ってもそのまま突っ込んで行ってしまうという事が骨折の一件でわかった。
しかしキシャァァァァァ、と怒り狂ったジャイアントタランチュラをアナスタシアン達が抑えてくれているとは言え皆ミズイロ待ちである。
「うぅぅ……わかりましたよぉ……!!」
やればいいんだろう、やれば。ミズイロはヤケクソだ。聖剣を構えるとアズラルトの掛け声と共に駆け出した。ミズイロ本人は逃げ足だけは早い。その足の速さを敵に向かう方向に使えば素早く動けるのだ。本人は卒倒しそうな顔のまま走っているが。
アズラルトの炎がジャイアントタランチュラに当たると同時にミズイロの聖剣はまた足を一本斬り落とした。キシャァァァァァ、というジャイアントタランチュラの悲鳴と
「ちょっと髪の毛焦げたんですけどぉ!!」
というミズイロの涙声が同時に響くが全員無視である。
「ミィちゃん!頑張って!」
「ミィちゃん、次来るよ~」
「うわぁぁぁぁん、みんな酷いですー!!!」
後退しようとするミズイロの体を操って再び敵に向かう聖剣に合わせアズラルトが立て続けに炎を放った。
ブシャ!ドサ!キシャァァァ!のコンボが何回か続いて、ようやくジャイアントタランチュラはひっくり返って動かなくなった。
【ミズイロはレベルが6上がった!🔽】
【アズラルトはレベルが2上がった!🔽】
【現在のパーティーメンバー
勇者 ミズイロ LV10
魔剣士 アズラルト LV12
拳闘士 アナスタシアン LV25
魔術師 リンハルク LV15🔽】
【ミズイロはスキル“敵前逃亡”を覚えた!🔽】
【アズラルトはスキル“罵倒”を覚えた!🔽】
「レベル差減ってきたな」
「レベル低い方が上がりやすいものね。ミィちゃん、頑張ったわね~」
聖剣を納刀するとボフン、と縮んでしまうミズイロ。抜き身の剣を持ったまま歩こうかな、等と思っている。確実に通報逮捕案件だが。
「可愛い」
ついでに小さなミズイロを抱き上げてチュッチュとキスするリンハルクも警備兵さんこいつです、と言いたくなる。完全な犯罪者だ。ショタコンだ。
アズラルトは他国の王子の頭をひっぱたきたい衝動に駆られている。何故か?これはあれだ。セクハラだからだ。セクハラは立派な犯罪だ。いくら頬だからってセクハラはセクハラだろう。
アナスタシアンはジャイアントタランチュラから素材を剥ぎ取りながらリンハルクの腕に抱かれ困っているミズイロとそのミズイロのまろい頬にキスしているリンハルクとその様をムッスリ見ているアズラルトを慈愛の微笑みで眺めている。……素材を剥ぎ取りながら。大事な事なので二度言った。
慈愛の微笑みを浮かべてバリ、ベキ、と魔物の腹を割いて剝ぐ王女なんてホラー以外の何者でもない。気付いたミズイロが、ひぃ、と情けない悲鳴を上げてもなんのその。アナスタシアンは全力で目の前の光景を愛でた。
だって、もうどう見てもアティのあれってヤキモチじゃない?無意識にヤキモチ焼いちゃってるじゃない?あら、ミィちゃんが元に戻ったわ。あらあらあらあら、戻ってもキスするのね!しかも戻ったら口にするのね!なんてことなの!けしからないわ!!もっとやって頂戴!!
「お、王子様ぁ!!!」
半泣きのミズイロが手を伸ばせば当然の如くその手を掴むアズラルト。またも勃発したミズイロの引っ張り合いにアナスタシアンの微笑みはいつまでも消えない。
腕がもげる!と叫んだミズイロの手を二人が同時に離した為バランスを崩したミズイロはべしゃり、と地面に顔面から突っ込んだのだった。
ごちゃごちゃ考えず突っ込んだ挙句リンハルクに肋骨を折られたんですけど、とは本人の目の前では言えない。
いくら聖剣で攻撃力が上がったとしてもミズイロはただの薬師だ。しかも聖剣は攻撃最優先で、ミズイロが、あ、ヤバイ、と思ってもそのまま突っ込んで行ってしまうという事が骨折の一件でわかった。
しかしキシャァァァァァ、と怒り狂ったジャイアントタランチュラをアナスタシアン達が抑えてくれているとは言え皆ミズイロ待ちである。
「うぅぅ……わかりましたよぉ……!!」
やればいいんだろう、やれば。ミズイロはヤケクソだ。聖剣を構えるとアズラルトの掛け声と共に駆け出した。ミズイロ本人は逃げ足だけは早い。その足の速さを敵に向かう方向に使えば素早く動けるのだ。本人は卒倒しそうな顔のまま走っているが。
アズラルトの炎がジャイアントタランチュラに当たると同時にミズイロの聖剣はまた足を一本斬り落とした。キシャァァァァァ、というジャイアントタランチュラの悲鳴と
「ちょっと髪の毛焦げたんですけどぉ!!」
というミズイロの涙声が同時に響くが全員無視である。
「ミィちゃん!頑張って!」
「ミィちゃん、次来るよ~」
「うわぁぁぁぁん、みんな酷いですー!!!」
後退しようとするミズイロの体を操って再び敵に向かう聖剣に合わせアズラルトが立て続けに炎を放った。
ブシャ!ドサ!キシャァァァ!のコンボが何回か続いて、ようやくジャイアントタランチュラはひっくり返って動かなくなった。
【ミズイロはレベルが6上がった!🔽】
【アズラルトはレベルが2上がった!🔽】
【現在のパーティーメンバー
勇者 ミズイロ LV10
魔剣士 アズラルト LV12
拳闘士 アナスタシアン LV25
魔術師 リンハルク LV15🔽】
【ミズイロはスキル“敵前逃亡”を覚えた!🔽】
【アズラルトはスキル“罵倒”を覚えた!🔽】
「レベル差減ってきたな」
「レベル低い方が上がりやすいものね。ミィちゃん、頑張ったわね~」
聖剣を納刀するとボフン、と縮んでしまうミズイロ。抜き身の剣を持ったまま歩こうかな、等と思っている。確実に通報逮捕案件だが。
「可愛い」
ついでに小さなミズイロを抱き上げてチュッチュとキスするリンハルクも警備兵さんこいつです、と言いたくなる。完全な犯罪者だ。ショタコンだ。
アズラルトは他国の王子の頭をひっぱたきたい衝動に駆られている。何故か?これはあれだ。セクハラだからだ。セクハラは立派な犯罪だ。いくら頬だからってセクハラはセクハラだろう。
アナスタシアンはジャイアントタランチュラから素材を剥ぎ取りながらリンハルクの腕に抱かれ困っているミズイロとそのミズイロのまろい頬にキスしているリンハルクとその様をムッスリ見ているアズラルトを慈愛の微笑みで眺めている。……素材を剥ぎ取りながら。大事な事なので二度言った。
慈愛の微笑みを浮かべてバリ、ベキ、と魔物の腹を割いて剝ぐ王女なんてホラー以外の何者でもない。気付いたミズイロが、ひぃ、と情けない悲鳴を上げてもなんのその。アナスタシアンは全力で目の前の光景を愛でた。
だって、もうどう見てもアティのあれってヤキモチじゃない?無意識にヤキモチ焼いちゃってるじゃない?あら、ミィちゃんが元に戻ったわ。あらあらあらあら、戻ってもキスするのね!しかも戻ったら口にするのね!なんてことなの!けしからないわ!!もっとやって頂戴!!
「お、王子様ぁ!!!」
半泣きのミズイロが手を伸ばせば当然の如くその手を掴むアズラルト。またも勃発したミズイロの引っ張り合いにアナスタシアンの微笑みはいつまでも消えない。
腕がもげる!と叫んだミズイロの手を二人が同時に離した為バランスを崩したミズイロはべしゃり、と地面に顔面から突っ込んだのだった。
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