ブライダル・ラプソディー

葉月凛

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「奈津──もう、寝たのか?」
「起きてます……でも、何だか眠くって」
「ああ、いいよ。もう寝よう」

 体を起こそうとする奈津にそう言って、成瀬は部屋の明かりを落とし、サイドテーブルにミネラルウォーターを置いた。

 布団を持ち上げて、体がベッドに滑り込んでくる。

「向こうむいて」
「ん……」

 いつものように、左腕が奈津の首の下を通って巻き付き、右腕が体を抱きすくめた。

 後ろから抱きしめられるこの体勢は、とても安心する。今日の妙な不安感も完全には拭いきれてはいないものの、包み込まれる感覚に安堵が広がった。

 風呂上がりのせいか、背中に密着する体はいつもより熱い。足が絡め取られて、身動きが取れなくなる。

 ふんわりと石鹸の香りが漂うと、成瀬の頭がごそごそと動いた。

「お前、いい匂いだな」

 奈津の髪に鼻を擦り付けて、後ろからくぐもった声が聞こえた。

「奈津……もうあの人と、2人きりにならないでくれ」
「え?」

 あの人とは、高嶺のことだろうか。

「心配なんだ。約束して」

 高嶺の何が、そんなに心配なのだろう。

「あの、でも高嶺支配人は、」
「約束して」

 抱きしめる腕に、力がこもった。

「……分かりました。できるだけ──あっ」

 成瀬の右手が、パジャマの上から奈津の乳首をきゅっと抓った。

「できるだけじゃ、だめだ。約束しろ」
「いっ、いたいっ」
「……お前は、俺のものだろう?」

 今度はゆるゆると乳首を擦り上げてくる。すっかり慣れてしまった奈津の体は、すぐに甘く疼き始めた。

「ん……」
「俺のものだって、もっと実感させて」
「あ、……んん……」

 足の間を太ももで擦り上げられて、奈津はびくりと体をしならせる。

「奈津」

 成瀬の右手がパジャマの下に滑り、体をまさぐる。熱い唇が、うなじに押し当てられる。

「ああ……」

 ぞくぞくとした快感が、奈津の背筋を這い上がった。

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