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「本当に素敵な演奏でした! 感動しちゃった。ありがとうございました!」
「いえ、そんな……ありがとうございます。どうぞ、あちらでお茶でも……」
櫻井音楽事務所のオフィスの片隅にある、防音素材で覆われた狭い音楽室を出てから、彼女はしきりに相川奈津を褒めちぎっていた。
「ねっ、良かったよね? 絶対に、相川さんにお願いしようね、ね?」
「え? あ、ああ。そうだね」
話し掛けられた彼は、彼女程には関心がなさそうに、それでも彼女に同意を示した。
この2人は、来年の2月に市内のレストランで披露宴を予定しているカップルだ。当日は、ピアノの生演奏を希望している。
レストランウェディングはここ数年の流行りでもあり、そのレストランも披露宴の貸し切り予約が可能だ。そしてその際には櫻井音楽事務所から音響スタッフが入っており、奈津も音響で何度か行ったことがある。レストランにはあまり使われていないアップライトピアノが置いてあり、今回はピアニストでの依頼になった。
子供の頃からピアノを続けていた奈津は、元々は演奏者として櫻井音楽事務所に籍を置いていた。一時は、複数の会場でピアノ演奏のレギュラーの仕事を持っていたこともあるが、縁あって正社員となってからは、特定の演奏会場は持っていない。今回のように披露宴で弾いたり、またレギュラー奏者のヘルプで弾きに行ったりするくらいだ。
今日事務所を訪れた新婦となる彼女は、子供の頃にピアノを習っていたことがあるらしく、自分の披露宴にピアノの生演奏を入れることが夢だったらしい。
当日の演奏者がどんな演奏をするのかは気になるところだが、実のところ事前に聞きたがる人はあまりいない。だが、今回のように希望されれば、それはもちろん可能だ。
本来なら実際のレストラン会場で聴いてもらえれば一番いいのだが、2人の希望日とレストランの都合がどうしても合わず、櫻井音楽事務所まで来てもらうことになった。
事務所の窓際のテーブルに案内し、片側に並んで座った2人の前に紅茶を置いて、奈津も向かいの席に着く。
彼女は、嬉しそうに身を乗り出した。
「本当に素敵な演奏でした! 感動しちゃった。ありがとうございました!」
「いえ、そんな……ありがとうございます。どうぞ、あちらでお茶でも……」
櫻井音楽事務所のオフィスの片隅にある、防音素材で覆われた狭い音楽室を出てから、彼女はしきりに相川奈津を褒めちぎっていた。
「ねっ、良かったよね? 絶対に、相川さんにお願いしようね、ね?」
「え? あ、ああ。そうだね」
話し掛けられた彼は、彼女程には関心がなさそうに、それでも彼女に同意を示した。
この2人は、来年の2月に市内のレストランで披露宴を予定しているカップルだ。当日は、ピアノの生演奏を希望している。
レストランウェディングはここ数年の流行りでもあり、そのレストランも披露宴の貸し切り予約が可能だ。そしてその際には櫻井音楽事務所から音響スタッフが入っており、奈津も音響で何度か行ったことがある。レストランにはあまり使われていないアップライトピアノが置いてあり、今回はピアニストでの依頼になった。
子供の頃からピアノを続けていた奈津は、元々は演奏者として櫻井音楽事務所に籍を置いていた。一時は、複数の会場でピアノ演奏のレギュラーの仕事を持っていたこともあるが、縁あって正社員となってからは、特定の演奏会場は持っていない。今回のように披露宴で弾いたり、またレギュラー奏者のヘルプで弾きに行ったりするくらいだ。
今日事務所を訪れた新婦となる彼女は、子供の頃にピアノを習っていたことがあるらしく、自分の披露宴にピアノの生演奏を入れることが夢だったらしい。
当日の演奏者がどんな演奏をするのかは気になるところだが、実のところ事前に聞きたがる人はあまりいない。だが、今回のように希望されれば、それはもちろん可能だ。
本来なら実際のレストラン会場で聴いてもらえれば一番いいのだが、2人の希望日とレストランの都合がどうしても合わず、櫻井音楽事務所まで来てもらうことになった。
事務所の窓際のテーブルに案内し、片側に並んで座った2人の前に紅茶を置いて、奈津も向かいの席に着く。
彼女は、嬉しそうに身を乗り出した。
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