ブライダル・ラプソディー

葉月凛

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「お前さっき、3回イッたよな。俺は2回だ。あと1回、権利がある」
「っ!」

 ……数えていたのか。
 理由は分からないが、この人は敵に回さない方がいいような気がする。

「──ほら、まだ柔らかい」

 パジャマのゆるいゴムをかいくぐって、するりと下着の中に手が入り、躊躇なく後孔に指を差し入れられた。

「あっ、……はっ」
「お前、感じやすくなったよな」

 耳元に舌を這わせながら、成瀬が囁く。奈津は恥ずかしさにきゅっと目をつぶり、小さく首を横に振った。自由になった両手が、力なくシーツを這う。

「嘘つけ……こんなに、感じてる」

 後孔におさまった長い指が、奈津の弱いところを、すりすりと強弱をつけて擦る。

「んんっ……あ、あ……やっ……」

 たまらずに背中がしなり、上ずった甘い声が漏れた。

 男性経験などなかった奈津が初めて成瀬に体を拓かれてから5ヶ月、回数を追うごとにその感度が増しているのは確かだった。丹念で執拗な成瀬の愛撫は、いつも奈津に蕩けるような快感と、そして愛されることの充実感を与えてくれる。

 成瀬に抱かれるようになってから、身体的な快楽もそうだが、今まで味わったことのないような幸福感に包まれるようになった。誰かを必要とし必要とされ、愛し愛されて肌を重ねて抱き合うことが、こんなに幸せな気持ちになるということを、奈津は生まれて初めて知った。

 求められることが、こんなにも嬉しい。それは、以前唯一の彼女と付き合っていた時には、生まれなかった感情だった。

 ただ、快楽に身を任せて自ら痴態を晒すような勇気はなかった。大体、男が感じて善がっている姿など、気持ち悪いだけだと思っている。

 そうはいっても、結局最後は自分でも訳が分からなくなって、十分に恥ずかしい姿を見られているような気がするけれど……

 成瀬に『いい加減慣れろ』と何度となく言われるが、こればかりは無理だ。いや、成瀬を好きになればなる程、恥ずかしさは増しているような気がする。

「んっ……」

 ずるりと引き抜かれた指は、そのまま下着ごとパジャマを太ももまで引き下げた。

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