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「あの……原田さん」
「ああ、本城さん、お疲れ様でした」
原田は作業の手を止めて振り返った。
「今日は、その……申し訳ございませんでした」
「え? ああ」
神妙に頭を下げる薫に、原田が苦笑いを零す。今日の披露宴において薫が謝る理由はひとつしかないから、すぐに分かったようだ。
「あそこまで酷くさせてしまって、本当に……」
「うーん……確かに、あれはなかったね」
「っ、すみません。あの、新郎新婦に、お詫びを」
「あー……いや、こっちから言うから、それはいいよ」
「……でも」
音響が何か失敗をしても、勝手に謝りに行ってはいけない。会場キャプテンの判断、許可が必要だ。
原田は、少し気まずそうに頭を掻いた。
「うーん……たぶんね、こっちの機材の問題だから。本城さん、あまり気にしないで」
「……そういう訳には」
会場によっては始末書を書くような事案だし、実際このあとでクレームになるかもしれない。いくら機材の問題とはいえ、こうしたトラブルが起きないようにプロの音響を入れているのだ。
だが原田は、少し疲れたように目尻を下げた。
「ほんとに。この部屋、ハウリング起きやすいんだよね。スピーカーの向きとか変えてみたりしてるんだけど、なかなか……ま、そんな感じだから」
そう言って作業に戻る原田に、薫は再度頭を下げた。会場責任者の彼が不問に付すと言うのなら、甘んじるより他はない。
ふと、そこで来週の海行きに誘われたことを思い出す。こんな失態を晒したあとで、さすがにのほほんと参加はできない。直接誘ってくれたひなのは今見当たらないが、原田の車で行くと言っていたことを思い出す。
「あ、あの……来週の、海、なんですけど」
「え?」
原田が、不思議そうに薫を見た。
「あ、すみません。来週皆さんで行かれる海に、私もどうかと誘っていただいてたんですけど、やっぱり今回は、その」
「え、海ですか? そんな予定はありませんけど……」
「え? でも、あの、日本海に行かれるようなことを伺ったのですが」
「日本海?」
「はい。バーベキューと花火をしに、その、原田さんの車で」
原田の顔から、表情が消えた。
「ああ、本城さん、お疲れ様でした」
原田は作業の手を止めて振り返った。
「今日は、その……申し訳ございませんでした」
「え? ああ」
神妙に頭を下げる薫に、原田が苦笑いを零す。今日の披露宴において薫が謝る理由はひとつしかないから、すぐに分かったようだ。
「あそこまで酷くさせてしまって、本当に……」
「うーん……確かに、あれはなかったね」
「っ、すみません。あの、新郎新婦に、お詫びを」
「あー……いや、こっちから言うから、それはいいよ」
「……でも」
音響が何か失敗をしても、勝手に謝りに行ってはいけない。会場キャプテンの判断、許可が必要だ。
原田は、少し気まずそうに頭を掻いた。
「うーん……たぶんね、こっちの機材の問題だから。本城さん、あまり気にしないで」
「……そういう訳には」
会場によっては始末書を書くような事案だし、実際このあとでクレームになるかもしれない。いくら機材の問題とはいえ、こうしたトラブルが起きないようにプロの音響を入れているのだ。
だが原田は、少し疲れたように目尻を下げた。
「ほんとに。この部屋、ハウリング起きやすいんだよね。スピーカーの向きとか変えてみたりしてるんだけど、なかなか……ま、そんな感じだから」
そう言って作業に戻る原田に、薫は再度頭を下げた。会場責任者の彼が不問に付すと言うのなら、甘んじるより他はない。
ふと、そこで来週の海行きに誘われたことを思い出す。こんな失態を晒したあとで、さすがにのほほんと参加はできない。直接誘ってくれたひなのは今見当たらないが、原田の車で行くと言っていたことを思い出す。
「あ、あの……来週の、海、なんですけど」
「え?」
原田が、不思議そうに薫を見た。
「あ、すみません。来週皆さんで行かれる海に、私もどうかと誘っていただいてたんですけど、やっぱり今回は、その」
「え、海ですか? そんな予定はありませんけど……」
「え? でも、あの、日本海に行かれるようなことを伺ったのですが」
「日本海?」
「はい。バーベキューと花火をしに、その、原田さんの車で」
原田の顔から、表情が消えた。
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