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奈津の顔の両側に手をついて、見下ろす成瀬の瞳の色は、その濃さを増していた。絡め取られた視線に、奈津の体は動けなくなる。ゆっくりとのし掛かる体重を心地良く感じながら、その唇を受け止める。
「……成瀬さん」
押し当てるだけの唇が離れた隙に、そっと呼んでみる。切れ長の目が細められ、唇が薄く開いた。
「──お前の、純粋なところが好きだ」
おでこに、ちょん、と唇が触れる。
「思い込みの激しいところも、強情なところも」
「………」
掠れたように囁きながら、顔中に優しくキスを落とされる。熱い唇が触れるたびに、成瀬の言葉が肌に染み込んでくるようだった。
こんな風に誰かに想いを告げられることなど、これまであっただろうか。こんな風に、甘苦しい気持ちで胸が一杯になることなど、これまでに──
「泣き虫なところも」
熱い唇が目尻に触れると、奈津は成瀬の頬に手を伸ばした。
「……僕……僕、も……」
その手を取って熱い唇に押し当てられ、奈津は言葉を呑み込む。
「──俺に惚れてる、お前が好きだ」
ゆっくりと唇を重ねられて、奈津は静かに目を閉じた。
忍び込んだ舌は唇の内側をくすぐるように蠢き、歯列をなぞりながら、奥へと侵入してくる。奈津の舌がそれに触れると、待っていたようにお互いの熱を確認する。舌と舌が絡み合う感触に、ぞくりとした甘さが体の奥に生まれた。
鼻先を掠めるシャンプーの香りに誘われるように、成瀬の髪に指を差し込む。しっとりとした頭皮を指の腹でまさぐると、口づけが更に深くなった。
「………」
たっぷりと時間を掛けて重ねられた唇は、やがてゆっくりと離れていった。
奈津が混じり合った唾液をこくりと飲み込むと、その喉元の動きに這うように成瀬の唇が降りてきた。首筋にくすぐるようなキスを落とし、髪の生え際から耳元へと唇が動いてゆく。愛おしそうに髪を撫でられると、奈津の紡ぐ息はみるみる甘くなった。
「ん……ん」
耳朶を優しく喰まれ、腰が震える。くちゅりと音を立てて、舌が耳に侵入する。
「んんっ」
ぴくりと首を竦める奈津の耳に、熱い息が掛かる。
「くすぐったい?」
「うん……くすぐったい」
「そうか」
耳元で囁く甘い声が、ぞくぞくと背筋を駆け登る。絶え間なく訪れる穏やかな快感の波に、奈津の意識は心地良くさらわれていった。
「……成瀬さん」
押し当てるだけの唇が離れた隙に、そっと呼んでみる。切れ長の目が細められ、唇が薄く開いた。
「──お前の、純粋なところが好きだ」
おでこに、ちょん、と唇が触れる。
「思い込みの激しいところも、強情なところも」
「………」
掠れたように囁きながら、顔中に優しくキスを落とされる。熱い唇が触れるたびに、成瀬の言葉が肌に染み込んでくるようだった。
こんな風に誰かに想いを告げられることなど、これまであっただろうか。こんな風に、甘苦しい気持ちで胸が一杯になることなど、これまでに──
「泣き虫なところも」
熱い唇が目尻に触れると、奈津は成瀬の頬に手を伸ばした。
「……僕……僕、も……」
その手を取って熱い唇に押し当てられ、奈津は言葉を呑み込む。
「──俺に惚れてる、お前が好きだ」
ゆっくりと唇を重ねられて、奈津は静かに目を閉じた。
忍び込んだ舌は唇の内側をくすぐるように蠢き、歯列をなぞりながら、奥へと侵入してくる。奈津の舌がそれに触れると、待っていたようにお互いの熱を確認する。舌と舌が絡み合う感触に、ぞくりとした甘さが体の奥に生まれた。
鼻先を掠めるシャンプーの香りに誘われるように、成瀬の髪に指を差し込む。しっとりとした頭皮を指の腹でまさぐると、口づけが更に深くなった。
「………」
たっぷりと時間を掛けて重ねられた唇は、やがてゆっくりと離れていった。
奈津が混じり合った唾液をこくりと飲み込むと、その喉元の動きに這うように成瀬の唇が降りてきた。首筋にくすぐるようなキスを落とし、髪の生え際から耳元へと唇が動いてゆく。愛おしそうに髪を撫でられると、奈津の紡ぐ息はみるみる甘くなった。
「ん……ん」
耳朶を優しく喰まれ、腰が震える。くちゅりと音を立てて、舌が耳に侵入する。
「んんっ」
ぴくりと首を竦める奈津の耳に、熱い息が掛かる。
「くすぐったい?」
「うん……くすぐったい」
「そうか」
耳元で囁く甘い声が、ぞくぞくと背筋を駆け登る。絶え間なく訪れる穏やかな快感の波に、奈津の意識は心地良くさらわれていった。
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