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奈津はどちらかというと華奢な方で、子供の頃はよく女の子と間違われていた。誰にも言ってないが、学生の頃に電車の中で男に痴漢されたことがある。自分がそういう対象になりやすいことも、何となく分かっていた。
でも、だからといって男性を恋愛的な意味で好きになったことはないし、ましてや付き合ったこともないのだ。
……いや、それは微妙に違う。高校生の時は、1つ年上の……男の先輩に憧れていた。彼は陸上部のエースで、学校の人気者だった。放課後のグラウンドで練習しているもころを、教室の窓からよく見ていた。廊下ですれ違うと、妙にドキドキした。
でもそれは単なる憧れだったし、先輩とどうにかなりたいと思っていた訳ではない。見ているだけで十分だったのだ。
結局、先輩とは何の接点もなかったため、一度も話をする機会もなく先輩は卒業してそれっきりになった。
ただ、実はそのあと、ちょっとだけ悩んでいた。──自分は男が好きなのか、と。
何故なら、これまで女の子を好きになったことが一度もなかったからだ。というか、人を好きになったこと自体がなかったのだが。
同性である男の先輩に強い憧れの気持ちを持ったことに、少なからず不安を覚えた。
それで、大学に入って間もなく、自分を好きだと告白してくれた女の子と付き合うことにしたのだった。実際付き合ってみると、女の子は可愛かったし、一緒に勉強したり映画を観たりするのは楽しかった。体の関係も、普通に持てた。それも1回や2回ではなく、何回も持てた。
正直、すごく安心した。やっぱり自分はノーマルなのだと。
彼女を好きだと思ったし、大事にしなければ、と思った。大学を卒業して就職したら結婚しようと、本気で考えていた。責任は、取らなければならない。
でも、彼女が自分を想ってくれる程には彼女を想うことがでかず、そういうことは言わなくても伝わってしまうらしく……結局1年足らずで、彼女の方から別れを切り出されてしまった。
彼女には、悪いことをしたと思う。自分が初めてではなかったようだが。
でも、だからといって男性を恋愛的な意味で好きになったことはないし、ましてや付き合ったこともないのだ。
……いや、それは微妙に違う。高校生の時は、1つ年上の……男の先輩に憧れていた。彼は陸上部のエースで、学校の人気者だった。放課後のグラウンドで練習しているもころを、教室の窓からよく見ていた。廊下ですれ違うと、妙にドキドキした。
でもそれは単なる憧れだったし、先輩とどうにかなりたいと思っていた訳ではない。見ているだけで十分だったのだ。
結局、先輩とは何の接点もなかったため、一度も話をする機会もなく先輩は卒業してそれっきりになった。
ただ、実はそのあと、ちょっとだけ悩んでいた。──自分は男が好きなのか、と。
何故なら、これまで女の子を好きになったことが一度もなかったからだ。というか、人を好きになったこと自体がなかったのだが。
同性である男の先輩に強い憧れの気持ちを持ったことに、少なからず不安を覚えた。
それで、大学に入って間もなく、自分を好きだと告白してくれた女の子と付き合うことにしたのだった。実際付き合ってみると、女の子は可愛かったし、一緒に勉強したり映画を観たりするのは楽しかった。体の関係も、普通に持てた。それも1回や2回ではなく、何回も持てた。
正直、すごく安心した。やっぱり自分はノーマルなのだと。
彼女を好きだと思ったし、大事にしなければ、と思った。大学を卒業して就職したら結婚しようと、本気で考えていた。責任は、取らなければならない。
でも、彼女が自分を想ってくれる程には彼女を想うことがでかず、そういうことは言わなくても伝わってしまうらしく……結局1年足らずで、彼女の方から別れを切り出されてしまった。
彼女には、悪いことをしたと思う。自分が初めてではなかったようだが。
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