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洗面台を使う音が聞こえ、しばらくすると、両手に大量の洋服を抱えた楓が戻って来た。
「なぁ、今日は遊びに行くんやろ? そんな堅っ苦しいのん着んときや、服貸したるし」
「えっ」
楓にバサリと服を投げられ、慌てて受け取る。楓は早速その中からシャツを1枚、持ち上げて広げた。
「そうやなぁー。これとか、ええんちゃう? 夏樹クン、たぶん原色似合うで」
「え? え?」
楓は持ってきた服を広げて首を捻ると、ポイポイ横に投げながら物色する。
「んー、いや。こっちかな?」
無造作に扱っているが、どれも高そうな服だ。次々に服を胸元に当てられ、夏樹はおろおろとする。
「うん、シャツはこれかな。ボトムは──」
「あ、あの」
なす術もない夏樹がマネキン状態で固まっていると、ふいにリビングの扉が開いた。
「──ただいま。……何だ、随分仲良くなったんだな」
「おかえり! ゆりちゃん、早かったやん」
ネクタイを緩める北野に、楓がにこにこと振り返る。
「ああ、昨日のことでちょっと顔出しただけだからな。杉本、三國専務がくれぐれもお詫びを伝えてくれってさ」
「あ……そうですか」
この件に関しては、もう口を挟まないと決めた夏樹だった。
「ゆりちゃんも着替えてや! 今日は遊びに行くんやから」
やたらとはしゃぐ楓に、北野が苦笑する。
「お前が一番楽しんでどうするんだ。杉本は、行きたいところ決まったのか?」
「あ、それなんだけど」
立ち上がった夏樹の足元に、楓の視線が向いた。もう、湿布は外してある。
「なぁ、夏樹クン、足のサイズなんぼ?」
「え? 26センチ……」
「一緒! ちょっと来て」
マイペースな楓にぐいぐいと手を引かれて、今度は玄関に向かう。靴箱を開けると、カラフルな靴がずらりと並んでいた。どう考えても、北野の物ではないだろう。
「どれがええかなー。これとか、これとか」
楓は数ある靴を物色して、いそいそと幾つか並べ始めた。
「なぁ、今日は遊びに行くんやろ? そんな堅っ苦しいのん着んときや、服貸したるし」
「えっ」
楓にバサリと服を投げられ、慌てて受け取る。楓は早速その中からシャツを1枚、持ち上げて広げた。
「そうやなぁー。これとか、ええんちゃう? 夏樹クン、たぶん原色似合うで」
「え? え?」
楓は持ってきた服を広げて首を捻ると、ポイポイ横に投げながら物色する。
「んー、いや。こっちかな?」
無造作に扱っているが、どれも高そうな服だ。次々に服を胸元に当てられ、夏樹はおろおろとする。
「うん、シャツはこれかな。ボトムは──」
「あ、あの」
なす術もない夏樹がマネキン状態で固まっていると、ふいにリビングの扉が開いた。
「──ただいま。……何だ、随分仲良くなったんだな」
「おかえり! ゆりちゃん、早かったやん」
ネクタイを緩める北野に、楓がにこにこと振り返る。
「ああ、昨日のことでちょっと顔出しただけだからな。杉本、三國専務がくれぐれもお詫びを伝えてくれってさ」
「あ……そうですか」
この件に関しては、もう口を挟まないと決めた夏樹だった。
「ゆりちゃんも着替えてや! 今日は遊びに行くんやから」
やたらとはしゃぐ楓に、北野が苦笑する。
「お前が一番楽しんでどうするんだ。杉本は、行きたいところ決まったのか?」
「あ、それなんだけど」
立ち上がった夏樹の足元に、楓の視線が向いた。もう、湿布は外してある。
「なぁ、夏樹クン、足のサイズなんぼ?」
「え? 26センチ……」
「一緒! ちょっと来て」
マイペースな楓にぐいぐいと手を引かれて、今度は玄関に向かう。靴箱を開けると、カラフルな靴がずらりと並んでいた。どう考えても、北野の物ではないだろう。
「どれがええかなー。これとか、これとか」
楓は数ある靴を物色して、いそいそと幾つか並べ始めた。
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