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北野の顔が険しくなる。
「はぁ? 何だそれ。美弥子がそう言ったのか?」
「うん……その、夏樹クンには、ほんまに悪いんやけど」
どうやら楓は当事者の兄として、そこは本当に申し訳なく思っているらしい。
北野が、呆れた声を出す。
「何だよそれは……勝手な奴だな! ホテルには来たのか?」
「ううん、結局来えへんかってんて。おとんブチ切れてる。ああ、そうや」
そして、ごそごそとスマートフォンを取り出すと、どこかに電話をかけ出した。
「あ、おとん? うん、俺。今ゆりちゃんとこ。……うん、ゆうた。……ここにおるよ。……うん、待って。──はい」
「え?」
にゅっと突き出されたスマートフォンを受け取り、夏樹は恐る恐る耳に当てる。
「……もしもし?」
『あ! 杉本君? 三國です。今日はほんまに申し訳ない! わざわざ来てもろたのに、こないなことになってしもて……私も杉本君やったら申し分ない思てたのに、あのあほがほんまに』
「いえ! あの、ほんとにお気遣いなく……」
『何てお詫びしたらええか……せっかく杉本君も乗り気でいてくれたゆうのに』
「え? ああ、いえ、ほんとにもう構いませんので……」
『この詫びはきっちり入れさしてもらいますから、今日のところはどうか』
「えっ!? いえいえ、ほんとに大丈夫なんで……あっ、か、楓さんがっ」
対処に困った夏樹は、強引にスマートフォンを楓に返す。
「もしもし、おとん? ……うん、分かってる。……はい。じゃ」
通話を切った楓が、もぞもぞとスマートフォンをポケットにしまった。
北野が、気の毒そうな目で夏樹を見る。
「あー……その、残念だったな。まぁ、あまり落ち込むな」
「え?」
楓も、さっきまであんなに怒っていたくせに、神妙な顔で夏樹に頭を下げた。
「夏樹クン、ごめんなさい。美弥子にはきっちりゆうとくから、許したって欲しい。この通りや」
「えっ?」
……どうして、会ってもいない見合いで一方的に自分が振られたような感じになっているのだろう?
「はぁ? 何だそれ。美弥子がそう言ったのか?」
「うん……その、夏樹クンには、ほんまに悪いんやけど」
どうやら楓は当事者の兄として、そこは本当に申し訳なく思っているらしい。
北野が、呆れた声を出す。
「何だよそれは……勝手な奴だな! ホテルには来たのか?」
「ううん、結局来えへんかってんて。おとんブチ切れてる。ああ、そうや」
そして、ごそごそとスマートフォンを取り出すと、どこかに電話をかけ出した。
「あ、おとん? うん、俺。今ゆりちゃんとこ。……うん、ゆうた。……ここにおるよ。……うん、待って。──はい」
「え?」
にゅっと突き出されたスマートフォンを受け取り、夏樹は恐る恐る耳に当てる。
「……もしもし?」
『あ! 杉本君? 三國です。今日はほんまに申し訳ない! わざわざ来てもろたのに、こないなことになってしもて……私も杉本君やったら申し分ない思てたのに、あのあほがほんまに』
「いえ! あの、ほんとにお気遣いなく……」
『何てお詫びしたらええか……せっかく杉本君も乗り気でいてくれたゆうのに』
「え? ああ、いえ、ほんとにもう構いませんので……」
『この詫びはきっちり入れさしてもらいますから、今日のところはどうか』
「えっ!? いえいえ、ほんとに大丈夫なんで……あっ、か、楓さんがっ」
対処に困った夏樹は、強引にスマートフォンを楓に返す。
「もしもし、おとん? ……うん、分かってる。……はい。じゃ」
通話を切った楓が、もぞもぞとスマートフォンをポケットにしまった。
北野が、気の毒そうな目で夏樹を見る。
「あー……その、残念だったな。まぁ、あまり落ち込むな」
「え?」
楓も、さっきまであんなに怒っていたくせに、神妙な顔で夏樹に頭を下げた。
「夏樹クン、ごめんなさい。美弥子にはきっちりゆうとくから、許したって欲しい。この通りや」
「えっ?」
……どうして、会ってもいない見合いで一方的に自分が振られたような感じになっているのだろう?
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