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「よーし。ミーティング終了! 解散ー」
「はーい」
朝のミーティングが終わり、阪木の締めの言葉で皆が席へ帰ってゆく。
「じゃあ北野君は、開発。よろしくね」
北野は、今日も開発から呼び出しがかかっている。
「あ……頑張って」
夏樹が声をかけると、北野は、にこりと微笑んでから席を離れた。
大きく伸びをして、夏樹はパソコンに向かう。昨夜飲みすぎた割には、全くといっていい程、今日に響いていない。
(あのお酒、かなりいいやつだったんじゃないのかな……)
高い酒は二日酔いにならないというのは本当なんだと、妙に感心する。
今朝、目覚めた夏樹は、軽くパニックになった。全く知らないところで目が覚めたのだ。
『えっ。どこっ、ここっ』
やたら肌触りのいい布団に包まりベッドでおろおろしているところに、シャワーを浴びたらしい北野がバスローブ姿で入って来た時には、頭が真っ白になった。
目を見開いて声も出ない夏樹に、北野は苦笑した。
『日本酒は足にくるからな。飲ませすぎて、悪かった』
昨夜、立ち上がった途端に崩れ落ちた夏樹は、その辺りから記憶がない。この部屋が食事をしたホテルの客室だと聞いて、夏樹は驚いた。
酔い潰れた自分のためにわざわざ部屋を取ったのかと聞くと、そうじゃないと言った。
『ここに泊まってるんだよ。こっちの勤務、決まったのが急だったから』
それにしても、もうひと月近くになる。その間ずっとホテル暮らしなのかと聞くと、月単位で滞在することはたまにあると言う。……そういうものなのか?
『……あんまり、人には言わないでくれ』
夏樹の反応に眉をひそめた北野は、小さく付け足したのだった。
ログインを済ませて、ヘッドセットを装着する。マイクの位置を直しながら、夏樹は自身の唇に、そっと触れた。
昨夜、夢を見た。
ゆらゆらした気持ちのいい場所で目を開くと、北野が自分を覗き込んでいる。何か言いたげに開かれた赤い唇が気になって、ああ、キスしたい、と思ったら──キスされた。もっとしたい、と思ったら、舌を入れられた。つまり、かなりディープなキスをしたのだ。……夢だけど。
(全く、何て夢見てるんだよ……)
おそらく昨日ファーストキスの話を聞いたからだと思うが、あまりの生々しい夢に、目覚めて北野の姿を見た時には息が止まりそうになった。
誘われた朝食も断って早々に一度自宅に戻り、シャワーを浴びて、今はさっぱりしている。
夏樹は、自身の頬を軽く両手で叩いた。
「よしっ、今日も1日、がんばろー」
「おう、頑張ってくれ」
大きな独り言に、パーティションの向こうから笑いを含んだ阪木の返事が返ってきた。
「よーし。ミーティング終了! 解散ー」
「はーい」
朝のミーティングが終わり、阪木の締めの言葉で皆が席へ帰ってゆく。
「じゃあ北野君は、開発。よろしくね」
北野は、今日も開発から呼び出しがかかっている。
「あ……頑張って」
夏樹が声をかけると、北野は、にこりと微笑んでから席を離れた。
大きく伸びをして、夏樹はパソコンに向かう。昨夜飲みすぎた割には、全くといっていい程、今日に響いていない。
(あのお酒、かなりいいやつだったんじゃないのかな……)
高い酒は二日酔いにならないというのは本当なんだと、妙に感心する。
今朝、目覚めた夏樹は、軽くパニックになった。全く知らないところで目が覚めたのだ。
『えっ。どこっ、ここっ』
やたら肌触りのいい布団に包まりベッドでおろおろしているところに、シャワーを浴びたらしい北野がバスローブ姿で入って来た時には、頭が真っ白になった。
目を見開いて声も出ない夏樹に、北野は苦笑した。
『日本酒は足にくるからな。飲ませすぎて、悪かった』
昨夜、立ち上がった途端に崩れ落ちた夏樹は、その辺りから記憶がない。この部屋が食事をしたホテルの客室だと聞いて、夏樹は驚いた。
酔い潰れた自分のためにわざわざ部屋を取ったのかと聞くと、そうじゃないと言った。
『ここに泊まってるんだよ。こっちの勤務、決まったのが急だったから』
それにしても、もうひと月近くになる。その間ずっとホテル暮らしなのかと聞くと、月単位で滞在することはたまにあると言う。……そういうものなのか?
『……あんまり、人には言わないでくれ』
夏樹の反応に眉をひそめた北野は、小さく付け足したのだった。
ログインを済ませて、ヘッドセットを装着する。マイクの位置を直しながら、夏樹は自身の唇に、そっと触れた。
昨夜、夢を見た。
ゆらゆらした気持ちのいい場所で目を開くと、北野が自分を覗き込んでいる。何か言いたげに開かれた赤い唇が気になって、ああ、キスしたい、と思ったら──キスされた。もっとしたい、と思ったら、舌を入れられた。つまり、かなりディープなキスをしたのだ。……夢だけど。
(全く、何て夢見てるんだよ……)
おそらく昨日ファーストキスの話を聞いたからだと思うが、あまりの生々しい夢に、目覚めて北野の姿を見た時には息が止まりそうになった。
誘われた朝食も断って早々に一度自宅に戻り、シャワーを浴びて、今はさっぱりしている。
夏樹は、自身の頬を軽く両手で叩いた。
「よしっ、今日も1日、がんばろー」
「おう、頑張ってくれ」
大きな独り言に、パーティションの向こうから笑いを含んだ阪木の返事が返ってきた。
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