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「家族……」
「ああ。うちの両親は、夫婦仲が悪くてな。もうとっくに離婚してるんだが、子供の頃は、楓の家に預けられることが多かったんだ」
淡々と話す北野は、日本酒をくいと空けて、手酌で注ぎ足す。
「あいつはあいつで男兄弟が欲しかったみたいで、随分慕ってくれてな。それはいいんだが、ちょっとやきもち焼きなところがあって」
「でも……初恋の相手、なんじゃないの?」
「何? 杉本にもそんなこと言ったのか」
呆れたように話す北野は、先日の生放送は見ていないが周りから聞いた、と言った。
「テレビで適当なこと言うなよな、全く。確かに、楓には好きだとか言われてた時期もあったが、ブラコンの延長みたいなもんなんだよ」
「……でも。初めてを、あげたんじゃ」
夏樹の呟くようなひと言に、北野が飲んでいた酒を小さく吹き出した。
「はぁ? そんなことまで話したのか! 人の黒歴史を、あいつっ……」
「黒歴史?」
「ったく! ……次会ったら、シメてやる」
物騒な言葉を呟いた北野は、大きく息を吐いた。
「──高校生の頃な! 俺、勉強ばっかりしてたから。恋愛に興味ないし誰も好きにならないって言ったら、楓が、キスしたら愛情は湧くもんだって言ったんだよ」
「………」
「あいつのバイセクシャルは、とっくに知ってた。楓が、自分で試してみろって言うから……俺もガキだったからな」
「……それで?」
「別に、何も。楓のことは元から弟みたいに好きだったし、それは変わらないしな。だがまぁ、初めてのキスは、確かに楓だ」
「初めてって……ファーストキス?」
「そうだが、何か、違うのか? ……ああ、そういうことか。いや、楓とは寝ていない」
「っ、」
はっきりと言われて、夏樹が目を見開く。
「この前周りからもさんざん聞かれたが、恋愛的な付き合いは全くないよ。あいつ、どうせ何か思わせぶりなこと言ったんだろ? しょうがない奴だな」
「そう、なんだ」
夏樹は、ふぅっと息を吐いた。
「ああ。うちの両親は、夫婦仲が悪くてな。もうとっくに離婚してるんだが、子供の頃は、楓の家に預けられることが多かったんだ」
淡々と話す北野は、日本酒をくいと空けて、手酌で注ぎ足す。
「あいつはあいつで男兄弟が欲しかったみたいで、随分慕ってくれてな。それはいいんだが、ちょっとやきもち焼きなところがあって」
「でも……初恋の相手、なんじゃないの?」
「何? 杉本にもそんなこと言ったのか」
呆れたように話す北野は、先日の生放送は見ていないが周りから聞いた、と言った。
「テレビで適当なこと言うなよな、全く。確かに、楓には好きだとか言われてた時期もあったが、ブラコンの延長みたいなもんなんだよ」
「……でも。初めてを、あげたんじゃ」
夏樹の呟くようなひと言に、北野が飲んでいた酒を小さく吹き出した。
「はぁ? そんなことまで話したのか! 人の黒歴史を、あいつっ……」
「黒歴史?」
「ったく! ……次会ったら、シメてやる」
物騒な言葉を呟いた北野は、大きく息を吐いた。
「──高校生の頃な! 俺、勉強ばっかりしてたから。恋愛に興味ないし誰も好きにならないって言ったら、楓が、キスしたら愛情は湧くもんだって言ったんだよ」
「………」
「あいつのバイセクシャルは、とっくに知ってた。楓が、自分で試してみろって言うから……俺もガキだったからな」
「……それで?」
「別に、何も。楓のことは元から弟みたいに好きだったし、それは変わらないしな。だがまぁ、初めてのキスは、確かに楓だ」
「初めてって……ファーストキス?」
「そうだが、何か、違うのか? ……ああ、そういうことか。いや、楓とは寝ていない」
「っ、」
はっきりと言われて、夏樹が目を見開く。
「この前周りからもさんざん聞かれたが、恋愛的な付き合いは全くないよ。あいつ、どうせ何か思わせぶりなこと言ったんだろ? しょうがない奴だな」
「そう、なんだ」
夏樹は、ふぅっと息を吐いた。
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