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「あの……この前のテレビ、見ました。夜にやってる、生放送の」
「あ! あれ見てくれたん? ありがとぉ」
楓は人懐こそうに目を細めた。
「あの時は、ヒョウ柄じゃなかったような……」
「そうやねん。スタイリストが用意するやつやから、断れへんし。何個かあってんけど、ヒョウ柄皆無やってんで? ひどいやろぉ? ……でもな」
楓はそこで、ぐいと夏樹に顔を近付ける。
「──パンツはヒョウ柄やってんで」
「っ、」
耳元にふっと息を吹きかけられて、思わず夏樹がびくりと首を竦めた。
「あはは! 夏樹クン、可愛い、あはは!」
「………」
ケラケラと笑う楓は、明らかに面白がってからかっている。
耳を押さえた夏樹は、軽く楓を睨んだ。にこにこと笑っているが──何故か、悪意を向けられているような気がする。
(……何なんだよ)
芸能人だから当然だが、楓はこれまで夏樹の周りにいなかったタイプだ。あまりにも人種が違いすぎて、何を考えているのか分からない。
分からないけれど、からかわれていい気はしなかった。
「──あの番組で、初恋の人に会ったって言ってましたよね」
「……そうやけど?」
楓の瞳から、すっと笑みが消えた。
「ゆりちゃんって」
「なぁ。ゆりちゃんはあかんでぇ」
「あの」
どうやら地雷を踏んだらしい夏樹に、楓が腰を浮かせ、身を乗り出して顔を近付ける。
「夏樹クンには、美弥子がおるやろ?」
(え? ミヤコ? って、誰?)
身に覚えのない名前に、困惑する。
もしかして、自分の知らないところで何か関わりがあるのだろうか? 夏樹は、前に会社に来た楓が自分に会いに来たと言っていたことを思い出した。
「あの、」
「ゆりちゃんまで手ぇ出したら……」
楓が、にぃ、と笑う。
「──お兄ちゃん、何するか分かれへんでぇ?」
「あっ」
あまりに近付く楓に仰け反った夏樹は、肩をぐいと押されてそのままソファーの座面に背をついた。
覆い被さるように間近で覗き込む楓の、歪む口元にぞくりとする。目の前の赤い唇を、赤い舌がぺろりと舐めた。
「あ! あれ見てくれたん? ありがとぉ」
楓は人懐こそうに目を細めた。
「あの時は、ヒョウ柄じゃなかったような……」
「そうやねん。スタイリストが用意するやつやから、断れへんし。何個かあってんけど、ヒョウ柄皆無やってんで? ひどいやろぉ? ……でもな」
楓はそこで、ぐいと夏樹に顔を近付ける。
「──パンツはヒョウ柄やってんで」
「っ、」
耳元にふっと息を吹きかけられて、思わず夏樹がびくりと首を竦めた。
「あはは! 夏樹クン、可愛い、あはは!」
「………」
ケラケラと笑う楓は、明らかに面白がってからかっている。
耳を押さえた夏樹は、軽く楓を睨んだ。にこにこと笑っているが──何故か、悪意を向けられているような気がする。
(……何なんだよ)
芸能人だから当然だが、楓はこれまで夏樹の周りにいなかったタイプだ。あまりにも人種が違いすぎて、何を考えているのか分からない。
分からないけれど、からかわれていい気はしなかった。
「──あの番組で、初恋の人に会ったって言ってましたよね」
「……そうやけど?」
楓の瞳から、すっと笑みが消えた。
「ゆりちゃんって」
「なぁ。ゆりちゃんはあかんでぇ」
「あの」
どうやら地雷を踏んだらしい夏樹に、楓が腰を浮かせ、身を乗り出して顔を近付ける。
「夏樹クンには、美弥子がおるやろ?」
(え? ミヤコ? って、誰?)
身に覚えのない名前に、困惑する。
もしかして、自分の知らないところで何か関わりがあるのだろうか? 夏樹は、前に会社に来た楓が自分に会いに来たと言っていたことを思い出した。
「あの、」
「ゆりちゃんまで手ぇ出したら……」
楓が、にぃ、と笑う。
「──お兄ちゃん、何するか分かれへんでぇ?」
「あっ」
あまりに近付く楓に仰け反った夏樹は、肩をぐいと押されてそのままソファーの座面に背をついた。
覆い被さるように間近で覗き込む楓の、歪む口元にぞくりとする。目の前の赤い唇を、赤い舌がぺろりと舐めた。
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