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画面の中では、楓が顔に手を当てて照れたように笑っていた。司会者が少し首を傾げて、納得したように頷く。
『ゆりちゃん? ゆりちゃんってことは、女性かぁー。楓君はどっちでもいけるんだもんね』
『そうやでぇ。好きになる人の性別は気にせぇへんから』
『って、名前言っちゃっていいの? 生放送だよ、これ』
『かまへんよ。全国のゆりちゃんドキドキしてぇ』
『何言ってんの! あはは』
(三國楓って……バイなんだ)
楓のバイセクシュアルについては、実は本人は初めから公言しており世間的にも知られている事実なのだが、世事に疎い夏樹は初めて知ったのだった。
(ゆりちゃんて……北野さん? 北野さん、だよな)
数日前に楓が会社に来た時、彼は北野のことを『ゆりちゃん』と呼んでいた。
司会者は興味津々といった様子で、さらに話を広げる。
『その初恋ってさ、実ったの? 付き合ったりしたの?』
『えぇ、どうやろ。内緒!』
『ええっ、教えてよぉー。てかさ、今は? 誰か付き合ってる人、いるの?』
『今? 今はおれへんなぁ』
『じゃあさ、再会したってことはさ、その人とまたこれからがあるんじゃない? 今でも好きだったりするの?』
『めっちゃ好きやねん。これから、あるかなぁ? 俺、がんばろかなー』
『がんばりなよ! 応援するよ』
適当なことを言う司会者に、楓が嬉しそうに笑う。
(三國楓の初恋の人が、北野さん……?)
数日前、会社で楽しそうに話していた2人が脳裏に蘇る。
「………」
忘れかけていたもやもやが再び込み上げてきた夏樹は、手元のビールをごくりと飲んだ。
あの時、楓が嬉しそうだったのはともかくとして、北野もとても楽しそうだったことを思い出す。とても楽しそうに……笑っていた。
『さて、それでは初めのテーマにいきましょう!』
ひとしきり楓と絡んだ司会者は、オープニングトークを終えてさくさくと進行していく。
テレビ画面を眺めながら、お気に入りだった司会者の好感度が、夏樹の中で急降下していったのだった。
『ゆりちゃん? ゆりちゃんってことは、女性かぁー。楓君はどっちでもいけるんだもんね』
『そうやでぇ。好きになる人の性別は気にせぇへんから』
『って、名前言っちゃっていいの? 生放送だよ、これ』
『かまへんよ。全国のゆりちゃんドキドキしてぇ』
『何言ってんの! あはは』
(三國楓って……バイなんだ)
楓のバイセクシュアルについては、実は本人は初めから公言しており世間的にも知られている事実なのだが、世事に疎い夏樹は初めて知ったのだった。
(ゆりちゃんて……北野さん? 北野さん、だよな)
数日前に楓が会社に来た時、彼は北野のことを『ゆりちゃん』と呼んでいた。
司会者は興味津々といった様子で、さらに話を広げる。
『その初恋ってさ、実ったの? 付き合ったりしたの?』
『えぇ、どうやろ。内緒!』
『ええっ、教えてよぉー。てかさ、今は? 誰か付き合ってる人、いるの?』
『今? 今はおれへんなぁ』
『じゃあさ、再会したってことはさ、その人とまたこれからがあるんじゃない? 今でも好きだったりするの?』
『めっちゃ好きやねん。これから、あるかなぁ? 俺、がんばろかなー』
『がんばりなよ! 応援するよ』
適当なことを言う司会者に、楓が嬉しそうに笑う。
(三國楓の初恋の人が、北野さん……?)
数日前、会社で楽しそうに話していた2人が脳裏に蘇る。
「………」
忘れかけていたもやもやが再び込み上げてきた夏樹は、手元のビールをごくりと飲んだ。
あの時、楓が嬉しそうだったのはともかくとして、北野もとても楽しそうだったことを思い出す。とても楽しそうに……笑っていた。
『さて、それでは初めのテーマにいきましょう!』
ひとしきり楓と絡んだ司会者は、オープニングトークを終えてさくさくと進行していく。
テレビ画面を眺めながら、お気に入りだった司会者の好感度が、夏樹の中で急降下していったのだった。
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