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北野の提案した分業作業のお陰か、2回目の製品テストは前回よりも結果が出た。
「お、杉本も今回は頑張ったねぇ。喜べ、中間報告では今のところうちがトップだ」
お昼の時間になり、それなりの成果を提出する夏樹に、阪木が嬉しそうに告げた。
「やったね! よし、食券いただき」
「そこはギフト券だろー。俺、娘にぬいぐるみ買いたい」
前回同様、迷わず食券を選択する夏樹に、阪木が笑う。
「何たって、俺には愛情たっぷりの愛妻弁当があるからねー。羨ましいだろ」
ほれ、と言って弁当の包みを揺らす阪木に、夏樹は壁の時計を見た。
「あ! 早く行かないとA定食なくなっちゃう! 今日は天ぷらなんだよねー」
阪木の愛妻弁当をさらっとスルーした夏樹は、鞄から財布とスマートフォンを取り出す。隣で、北野も席を立った。
「そういえば北野さんって、お昼いつもどこで食べてるの?」
北野が昼休憩時に出かけているのは知っているが、社員食堂で見かけたことはない。
デスクの上を片付けていた北野は、振り返って何気なく言った。
「昼は、上のラウンジでとってる」
「え、ラウンジ? ……って、最上階の?」
このオフィスビルは、最上階にラウンジバーが入っている。夕刻から営業しているラウンジには一般客も来店可能で、酒と共に美味しい料理も提供されており、接待で利用している会社もあると聞く。
同期の桑原などは上司と訪れているらしいが、夏樹には少々グレードが高く、まだ行ったことがなかった。
「あそこって、ランチもやってたんだ」
「パスタが旨いぞ」
「でも、高そう」
「いや、普通にランチ価格だったな」
「……ふーん。あっ」
何となく値段を聞くのが怖くてやめた夏樹は、再度時計を見て焦る。
「ヤバっ、じゃあお先!」
ランチに向かう人たちに紛れてオフィスを出ると、ちょうど閉まりかけたエレベーターが見えて、走って飛び乗った。
社食のA定食のメニューで、天ぷらは上位3位に入る人気メニューだ。後れを取ってはならない。
北野の提案した分業作業のお陰か、2回目の製品テストは前回よりも結果が出た。
「お、杉本も今回は頑張ったねぇ。喜べ、中間報告では今のところうちがトップだ」
お昼の時間になり、それなりの成果を提出する夏樹に、阪木が嬉しそうに告げた。
「やったね! よし、食券いただき」
「そこはギフト券だろー。俺、娘にぬいぐるみ買いたい」
前回同様、迷わず食券を選択する夏樹に、阪木が笑う。
「何たって、俺には愛情たっぷりの愛妻弁当があるからねー。羨ましいだろ」
ほれ、と言って弁当の包みを揺らす阪木に、夏樹は壁の時計を見た。
「あ! 早く行かないとA定食なくなっちゃう! 今日は天ぷらなんだよねー」
阪木の愛妻弁当をさらっとスルーした夏樹は、鞄から財布とスマートフォンを取り出す。隣で、北野も席を立った。
「そういえば北野さんって、お昼いつもどこで食べてるの?」
北野が昼休憩時に出かけているのは知っているが、社員食堂で見かけたことはない。
デスクの上を片付けていた北野は、振り返って何気なく言った。
「昼は、上のラウンジでとってる」
「え、ラウンジ? ……って、最上階の?」
このオフィスビルは、最上階にラウンジバーが入っている。夕刻から営業しているラウンジには一般客も来店可能で、酒と共に美味しい料理も提供されており、接待で利用している会社もあると聞く。
同期の桑原などは上司と訪れているらしいが、夏樹には少々グレードが高く、まだ行ったことがなかった。
「あそこって、ランチもやってたんだ」
「パスタが旨いぞ」
「でも、高そう」
「いや、普通にランチ価格だったな」
「……ふーん。あっ」
何となく値段を聞くのが怖くてやめた夏樹は、再度時計を見て焦る。
「ヤバっ、じゃあお先!」
ランチに向かう人たちに紛れてオフィスを出ると、ちょうど閉まりかけたエレベーターが見えて、走って飛び乗った。
社食のA定食のメニューで、天ぷらは上位3位に入る人気メニューだ。後れを取ってはならない。
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