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「どこにいてんのー? ゆりちゃーん」
きょろきょろと周りを見回した楓は、夏樹の方向を見てパッと笑顔になった。
「あ! もう、こんなとこにおるやん。ええ、ほんまに仕事してんの? ウケるー」
楓は真っ直ぐにこちらにやって来ると、呆然としている夏樹の後ろをするりと通り過ぎて、隣の席の北野の肩に腕を回してしなだれかかった。
「ゆりちゃん、久しぶりー。何この眼鏡、変装してんの? 似おてへんし」
言いながら北野の眼鏡を取り上げた楓が、けたけた笑う。
「おい」
北野が眼鏡を取り返して、そのまま胸ポケットに入れた。
(え、ゆりちゃんって、北野さんのこと? 北野悠里……ゆうり、でゆりちゃんか)
夏樹は不思議な取り合わせの2人を見る。
北野は軽くため息をついて、楓のスカジャンをつまんだ。
「こっちに来るなら、連絡くらい寄こせよな。それから勝手に入ってくんな。何だ、その趣味の悪い服は」
「えー、ちゃんと受付でゆうてきたし。これ、可愛いやろ? 俺、ヒョウ柄大好き! 見て見て、靴とお揃いやねん。両方セットでニーキュッパやで」
普段周りに関西圏の人間がいない夏樹は関西弁を新鮮に思いながら、隣で長い足をひょいと持ち上げる楓の足先を見た。なる程、スニーカーもスカジャンと同じヒョウ柄だ。
(三國楓って、京都出身だっけ。ニーキュッパって……え、もしかして、29万? サラッとすごい金額言うんだな。さすが売れっ子モデル)
住む世界が違う、と夏樹はしげしげと眺める。どこのブランドだろうか、上品なヒョウ柄だ。
「お前なぁ。そんなもんに2万9千円も出したのか」
北野が呆れた声を出す。
(ん?)
「何ゆーてんの! ちゃうちゃう、2千980円! めっちゃ安いやろー、大阪の商店街で買うてん」
「えぇっ!?」
思わず声を出した夏樹に、楓が振り返る。
「ん? なっ、お買い得や思えへん? 俺って買いもん上手ー」
値段に驚かれたのが嬉しかったのか、楓が人懐っこく笑う。テレビで見るあけっぴろげな性格は元々のようだ。
三國楓が着ているからブランド物だろうという先入観もあったが、見栄えのいいモデルが着ると安い服でもこんなに高価そうに見えるのかと、夏樹は内心で唸った。
きょろきょろと周りを見回した楓は、夏樹の方向を見てパッと笑顔になった。
「あ! もう、こんなとこにおるやん。ええ、ほんまに仕事してんの? ウケるー」
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「ゆりちゃん、久しぶりー。何この眼鏡、変装してんの? 似おてへんし」
言いながら北野の眼鏡を取り上げた楓が、けたけた笑う。
「おい」
北野が眼鏡を取り返して、そのまま胸ポケットに入れた。
(え、ゆりちゃんって、北野さんのこと? 北野悠里……ゆうり、でゆりちゃんか)
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北野は軽くため息をついて、楓のスカジャンをつまんだ。
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「えー、ちゃんと受付でゆうてきたし。これ、可愛いやろ? 俺、ヒョウ柄大好き! 見て見て、靴とお揃いやねん。両方セットでニーキュッパやで」
普段周りに関西圏の人間がいない夏樹は関西弁を新鮮に思いながら、隣で長い足をひょいと持ち上げる楓の足先を見た。なる程、スニーカーもスカジャンと同じヒョウ柄だ。
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「お前なぁ。そんなもんに2万9千円も出したのか」
北野が呆れた声を出す。
(ん?)
「何ゆーてんの! ちゃうちゃう、2千980円! めっちゃ安いやろー、大阪の商店街で買うてん」
「えぇっ!?」
思わず声を出した夏樹に、楓が振り返る。
「ん? なっ、お買い得や思えへん? 俺って買いもん上手ー」
値段に驚かれたのが嬉しかったのか、楓が人懐っこく笑う。テレビで見るあけっぴろげな性格は元々のようだ。
三國楓が着ているからブランド物だろうという先入観もあったが、見栄えのいいモデルが着ると安い服でもこんなに高価そうに見えるのかと、夏樹は内心で唸った。
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