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どうしてロイド殿下は私の事を好きになってくれないの?
他の攻略対象者は最初から私に好意的だったし、イベントをこなせば好感度も上がったのに。
27年、何もなく生きていたわ。
片想いはしたけど彼氏は出来なかったし、友達だって学生時代だけ。社会人になっても連絡取る様な親友は出来なかった。
趣味もなく、休みを持て余して、いつしか仕事の合間にする乙女ゲームにハマったわ。暇さえあればスマホを見てた。色々なのをプレイした。
中でもヒストリカル学園モノが大好きで、その中でも「恋する生徒会」は一番だったわ。
何度も何度もプレイした。全ルート攻略したし、ハーレムエンドもやってみた。でもやっぱりロイド殿下のルートが一番好き。見た目もクールでカッコいい。すごく好み。
最初は無愛想でツンツンしてるの。でも、たまたま王宮に行った時に廊下で偶然出会って「これから婚約者とのお茶会だけど、あいつと居ても間が保たないから一緒にどうだ?」って誘ってくれて。
舞踏会では二曲踊ってくれたわ。私はその意味を知らない設定だけど「もう一曲、俺と踊ってくれ」ってぶっきらぼうに言って、後から「二曲踊るのは恋人とだけだ」って少し照れながら教えてくれたの。
スチルもとってもキレイ!
婚約者からの嫌がらせは甘んじて受けるわ。教科書を破かれても、水を掛けられても、寮の部屋を荒らされても、階段から落とされても、平気。
傷付いたり泣いたりすればロイド殿下からの好感度が上がるんだもの。
卒業パーティーの前には紫のドレスを贈られて、私をエスコートしてくれたわ。
そして私にだけ笑顔を見せてくれて「愛してるローズ」って言ってくれるの。はあ…あの笑顔、スクショして壁紙にするくらい好き…
ゲームでの婚約者は赤い髪の派手な美人だったわ。あの女が最後に断罪されて婚約破棄される場面、最高にスッキリした。
会社の帰り、スマホを見ていて赤信号に気付かず、交差点で車に撥ねられた。
その時にもロイド殿下ルートでプレイしてて、もうすぐ卒業パーティーで、もうすぐ笑顔が見られる処で…
…死ぬのなら、転生させて!
ロイド殿下の笑顔を生で見たいの!神様お願い!!
そして目が覚めたら…ヒロインになっていたわ!
ああ、やっと学園に入れた。ああ!本物の生ロイド殿下、やっぱりカッコいい!やっぱり好み!
画面じゃなく、触れるのよ。生身で話せて触れて暖かいのよ!
早くあの笑顔を見たい。抱きしめられたい。「愛してる」って耳元で囁かれて吐息を感じたい。
あら?どうしてロイド殿下の婚約者が違う人なのかしら?
赤い髪の美人だった筈なのに、この地味な令嬢は誰?
サイモン殿下やランドルフの婚約者はゲームと同じ人なのに。
殿下がゲームと違う動きをするのは何故かしら?
王宮に行ってもお茶に誘ってくれないし、舞踏会でも殿下の方から二曲目に誘ってくれなかった。でも平気よ。私が二曲目に誘ったら応じてくれたもの。
好感度が上がらないのは、あの婚約者のせいね、きっと。
あの女も転生者でロイド殿下を狙っているんだわ。どうやって殿下の婚約者になったのかは分からないけど…侯爵家だもの、きっと家の力でゴリ押ししたのね。
でも大丈夫。
ヒロインは私だもの。
最近お昼を一緒に食べたり、あの女の殿下との仲良しアピールが凄いわ。お父様から王宮へ行くのを止められたのも、あの女の差し金よね。
殿下も好きでもない婚約者に付き合わされて可哀想…
待ってて、ロイド殿下。
すぐに正しいルートに修正するわ。
ヒロインは、私よ。
-----
「リザちゃん!」
定例茶会のため、王宮に赴き、お茶会の会場の中庭へ出ると、ロイドとサイモンの弟であるハリジュがリザに駆け寄って来た。
「ハリジュ殿下!お久しぶりです」
リザは6歳のハリジュの視線に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「リザちゃん僕お父様に着いて隣国に行ったんだよ」
「まあ。そうなんですか?」
「隣国の地図があるんだ。僕が行った所教えてあげる!」
ハリジュがリザの手を引いてテーブルの方へ行く。
「嬉しいです」
テーブルに地図を広げてハリジュが指差す。
「ここに最初に行ったの」
「隣国の王都ですね」
「うん。隣国の王様に会ったんだよ」
ベテランの侍女が二人にお茶を淹れてテーブルに置いた。ハリジュに合わせて二つともミルクティーだ。
「どうぞ」
「あら、でもまだロイド殿下がいらしていないわ?」
「ロイド殿下は少し遅れると先程連絡がありましまので…」
侍女がそう言って頭を下げる。
「そうなのね。じゃあ頂くわ」
「僕も飲む!」
二人でミルクティーを一口飲んだ。
「リザちゃん?」
「…何だか口の中が痺れて…る?」
リザの手が震え出し、カップがテーブルの下に落ちた。
…毒?これは…マズイかも。
身体の力が抜けて、椅子から倒れた。
「リザちゃん!」
ハリジュが倒れたリザに取り縋る。
…ロイド殿下、助けて…
「リザ!!」
ロイドが駆け寄って来るのがリザの視界に薄っすらと見えて、それから闇に包まれた。
どうしてロイド殿下は私の事を好きになってくれないの?
他の攻略対象者は最初から私に好意的だったし、イベントをこなせば好感度も上がったのに。
27年、何もなく生きていたわ。
片想いはしたけど彼氏は出来なかったし、友達だって学生時代だけ。社会人になっても連絡取る様な親友は出来なかった。
趣味もなく、休みを持て余して、いつしか仕事の合間にする乙女ゲームにハマったわ。暇さえあればスマホを見てた。色々なのをプレイした。
中でもヒストリカル学園モノが大好きで、その中でも「恋する生徒会」は一番だったわ。
何度も何度もプレイした。全ルート攻略したし、ハーレムエンドもやってみた。でもやっぱりロイド殿下のルートが一番好き。見た目もクールでカッコいい。すごく好み。
最初は無愛想でツンツンしてるの。でも、たまたま王宮に行った時に廊下で偶然出会って「これから婚約者とのお茶会だけど、あいつと居ても間が保たないから一緒にどうだ?」って誘ってくれて。
舞踏会では二曲踊ってくれたわ。私はその意味を知らない設定だけど「もう一曲、俺と踊ってくれ」ってぶっきらぼうに言って、後から「二曲踊るのは恋人とだけだ」って少し照れながら教えてくれたの。
スチルもとってもキレイ!
婚約者からの嫌がらせは甘んじて受けるわ。教科書を破かれても、水を掛けられても、寮の部屋を荒らされても、階段から落とされても、平気。
傷付いたり泣いたりすればロイド殿下からの好感度が上がるんだもの。
卒業パーティーの前には紫のドレスを贈られて、私をエスコートしてくれたわ。
そして私にだけ笑顔を見せてくれて「愛してるローズ」って言ってくれるの。はあ…あの笑顔、スクショして壁紙にするくらい好き…
ゲームでの婚約者は赤い髪の派手な美人だったわ。あの女が最後に断罪されて婚約破棄される場面、最高にスッキリした。
会社の帰り、スマホを見ていて赤信号に気付かず、交差点で車に撥ねられた。
その時にもロイド殿下ルートでプレイしてて、もうすぐ卒業パーティーで、もうすぐ笑顔が見られる処で…
…死ぬのなら、転生させて!
ロイド殿下の笑顔を生で見たいの!神様お願い!!
そして目が覚めたら…ヒロインになっていたわ!
ああ、やっと学園に入れた。ああ!本物の生ロイド殿下、やっぱりカッコいい!やっぱり好み!
画面じゃなく、触れるのよ。生身で話せて触れて暖かいのよ!
早くあの笑顔を見たい。抱きしめられたい。「愛してる」って耳元で囁かれて吐息を感じたい。
あら?どうしてロイド殿下の婚約者が違う人なのかしら?
赤い髪の美人だった筈なのに、この地味な令嬢は誰?
サイモン殿下やランドルフの婚約者はゲームと同じ人なのに。
殿下がゲームと違う動きをするのは何故かしら?
王宮に行ってもお茶に誘ってくれないし、舞踏会でも殿下の方から二曲目に誘ってくれなかった。でも平気よ。私が二曲目に誘ったら応じてくれたもの。
好感度が上がらないのは、あの婚約者のせいね、きっと。
あの女も転生者でロイド殿下を狙っているんだわ。どうやって殿下の婚約者になったのかは分からないけど…侯爵家だもの、きっと家の力でゴリ押ししたのね。
でも大丈夫。
ヒロインは私だもの。
最近お昼を一緒に食べたり、あの女の殿下との仲良しアピールが凄いわ。お父様から王宮へ行くのを止められたのも、あの女の差し金よね。
殿下も好きでもない婚約者に付き合わされて可哀想…
待ってて、ロイド殿下。
すぐに正しいルートに修正するわ。
ヒロインは、私よ。
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「リザちゃん!」
定例茶会のため、王宮に赴き、お茶会の会場の中庭へ出ると、ロイドとサイモンの弟であるハリジュがリザに駆け寄って来た。
「ハリジュ殿下!お久しぶりです」
リザは6歳のハリジュの視線に合わせるようにしゃがみ込んだ。
「リザちゃん僕お父様に着いて隣国に行ったんだよ」
「まあ。そうなんですか?」
「隣国の地図があるんだ。僕が行った所教えてあげる!」
ハリジュがリザの手を引いてテーブルの方へ行く。
「嬉しいです」
テーブルに地図を広げてハリジュが指差す。
「ここに最初に行ったの」
「隣国の王都ですね」
「うん。隣国の王様に会ったんだよ」
ベテランの侍女が二人にお茶を淹れてテーブルに置いた。ハリジュに合わせて二つともミルクティーだ。
「どうぞ」
「あら、でもまだロイド殿下がいらしていないわ?」
「ロイド殿下は少し遅れると先程連絡がありましまので…」
侍女がそう言って頭を下げる。
「そうなのね。じゃあ頂くわ」
「僕も飲む!」
二人でミルクティーを一口飲んだ。
「リザちゃん?」
「…何だか口の中が痺れて…る?」
リザの手が震え出し、カップがテーブルの下に落ちた。
…毒?これは…マズイかも。
身体の力が抜けて、椅子から倒れた。
「リザちゃん!」
ハリジュが倒れたリザに取り縋る。
…ロイド殿下、助けて…
「リザ!!」
ロイドが駆け寄って来るのがリザの視界に薄っすらと見えて、それから闇に包まれた。
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