54 / 57
番外編1-3
しおりを挟む
3
「え?え?」
俺の腕の中で困惑するエマ。
小さい。細い。いい匂いがする。かわいい。色々な感情が胸の中で渦巻いた。
「エマ、済まない。俺も溢れた」
「え?」
「エマが俺を慕ってくれているのは、俺が王子だからだろう?でも俺はそんなに出来た人間じゃないんだ。好きな娘はこうして抱きしめて口付けたいと考える、ただの男だ」
ああ、言ってしまった。
俺はエマを逃がさないように、抱きしめる腕に更に力を入れた。
「サイラス殿下…」
「…うん」
「私が殿下をお慕いしているのは、王子だからではないんです」
「ん?」
「…ミシェル様と婚約されて、初めて公爵邸に来られた時、あの…不敬なんですけど、夢に出てくる男の子だと思ってしまって…あの、ある意味一目惚れのような…」
「夢?」
少し腕を緩めて上からエマの顔を覗き込む。
上目遣いに俺を見るエマと目が合う。エマの赤く染まった頬に涙の流れた跡がある。ああ…そこにキスをしたい。
「はい。あの…小さい頃から同じ夢をずっと見ていまして…私は幼なじみの男の子がずっと好きで、やっと思いが通じた途端にその男の子が病気になって亡くなってしまうって言う夢なんですけど」
「……え?」
幼なじみの男の子?思いが通じた途端に病気になる?
「あの、姿形は似ていないんです。ただ、殿下を初めて拝見した時、その男の子と重なってしまって…それから、ずっと殿下の事が気になると言うか…本当に不敬なんですけど…」
「エマ!」
「はい!?」
「エマ…」
こんな、都合の良い展開があって良いのか?
俺はエマを強く強く抱きしめた。
-----
あ、あの男の子だ。
ご婚約後、初めて公爵邸にサイラス殿下が来られた時、ミシェル様付きの侍女や側付き、メイドが集められ、殿下からご挨拶を頂いた。その時、私は何故かそう思った。
昔からよく見る夢に出てくる幼なじみの男の子。
実際の私には仲良しの幼なじみなんていないのだけど。
学園で、王宮で、公爵邸で、サイラス殿下をお見掛けする度に目で追ってしまう。
この気持ちは、言うなれば舞台役者や歌手やお気に入りの作家や…そう言う者を愛好しているのと同じ心理よ。そう思っていた。そう、思い込もうとしていた。ううん、そうでなくてはいけなかった。
主人の婚約者に、しかも第一王子に、こんな下世話な想いを抱くなんてあり得ない。
婚約された頃にはミシェル様付きの側付きだった私も、数年後には侍女になって、ミシェル様が王宮に上がる時には伴って行ける事になった。
うれしい。ずっと大好きなミシェル様と一緒に居られる。でもそれは、お二人の結婚生活を一番近くで見ると言う事で…
胸が痛い。
好きな役者が結婚したと聞いても胸は痛むわ。そう自分に言い聞かせる。
レイラ様の転落事故の後、お見舞いに訪ねてくださるサイラス殿下と話す機会が増えた。
ミシェル様がイアンに会いたいと言われているので、イアンの行方をご存知ないかと尋ねた時は少し動揺されていたようで、誤解させてしまって申し訳ない気持ちで一杯になった。
ミシェル様がサイラス殿下と会われて、ご自分が咎人だと言われた時は辛かった。
その日、旦那様とお会いになったサイラス殿下を玄関ホールまでお送りしていた時、殿下が私を呼んで振り向かれた。こんな事初めてで、トクンッと心臓が跳ねた。「エマは結婚しているのか?」と聞かれたので「いいえ」と答えると「恋人は?」とまた聞かれた。一体何を聞かれているんだろうと思いながら「いません」と答えると、クスッとお笑いになったの。
話す機会は増えても、私個人の事に触れられたのは初めてで。
名前を呼ばれて、私だけに笑顔を向けてくださった…
ミシェル様とサイラス殿下の婚約解消が決まった時、ミシェル様の安心したような表情や、サイラス殿下がミシェル様に向けた優しい笑顔を思い出して、胸の中がぐちゃぐちゃで涙が止まらなかった。
玄関ホールへ殿下をお送りしていると、前を向いたままの殿下が「俺がこうしてモーリス公爵邸を訪れる事はもうないし、ミシェルが個人的に王宮に来る事ももうないだろう。だからこうして会う事はなくなるな」と言われて…
そうだわ。…ミシェル様付きの侍女である私がサイラス殿下にお会いする機会など、もうないんだ…
先程までと違う涙が一気に溢れて、思わず足を止めた。
サイラス殿下が振り向いて、私の前まで戻って来てくださる。
「サイラス殿下…お慕い…しています…」
思わず言ってしまった。
一気に血の気が引いた。言ってはいけない事を言ってしまった。王子に不埒な思いを向けるだけでなく、それをぶつけてしまうなんて!
慌てる私の手にサイラス殿下の手が触れた。
殿下の手が!私の手に!手袋越しでも手の大きさと温もりが伝わる!
狼狽える私の手を、殿下が引いて…
気がつけば私は殿下の腕の中にいた。
-----
「夢の中の男の子ですか?」
王宮の俺の部屋で、ソファで隣に座るエマ。
公爵家の養女になり、先日俺との婚約と婚儀の日が公表された、俺の婚約者。
「サイラス様、私の夢の話お好きですよね」
「ああ」
エマの口から前世の俺が語られるのが嬉しくて、何度もその話をしてもらっていた。
エマにはその夢を見る以外の前世の記憶はないようだ。
「それが…最近はその夢を見なくなったんです」
「そうなのか?」
「思い起こせば…サイラス様の妃になると決意した頃から見ていない気がします」
「そうか」
前世のエマの心残りがなくなったから、だろうか?
そうなら良い。
エマの下ろした髪の毛を一束手に取る。侍女の頃は後ろで一纏めにしている髪型しか見た事なかったな。
手に取った髪を唇を寄せる。
髪の先に口付けると、エマが頬を染めた。
「…自分の好きになった娘が自分を好きになってくれて、更にその娘を妃にできるなんて、俺は幸運だな」
「サイラス様…」
エマの頬と耳が朱に染まる。
なんてかわいいんだろう。
「幸運なのは私の方です」
そう呟くエマを腕に閉じ込めた。
「え?え?」
俺の腕の中で困惑するエマ。
小さい。細い。いい匂いがする。かわいい。色々な感情が胸の中で渦巻いた。
「エマ、済まない。俺も溢れた」
「え?」
「エマが俺を慕ってくれているのは、俺が王子だからだろう?でも俺はそんなに出来た人間じゃないんだ。好きな娘はこうして抱きしめて口付けたいと考える、ただの男だ」
ああ、言ってしまった。
俺はエマを逃がさないように、抱きしめる腕に更に力を入れた。
「サイラス殿下…」
「…うん」
「私が殿下をお慕いしているのは、王子だからではないんです」
「ん?」
「…ミシェル様と婚約されて、初めて公爵邸に来られた時、あの…不敬なんですけど、夢に出てくる男の子だと思ってしまって…あの、ある意味一目惚れのような…」
「夢?」
少し腕を緩めて上からエマの顔を覗き込む。
上目遣いに俺を見るエマと目が合う。エマの赤く染まった頬に涙の流れた跡がある。ああ…そこにキスをしたい。
「はい。あの…小さい頃から同じ夢をずっと見ていまして…私は幼なじみの男の子がずっと好きで、やっと思いが通じた途端にその男の子が病気になって亡くなってしまうって言う夢なんですけど」
「……え?」
幼なじみの男の子?思いが通じた途端に病気になる?
「あの、姿形は似ていないんです。ただ、殿下を初めて拝見した時、その男の子と重なってしまって…それから、ずっと殿下の事が気になると言うか…本当に不敬なんですけど…」
「エマ!」
「はい!?」
「エマ…」
こんな、都合の良い展開があって良いのか?
俺はエマを強く強く抱きしめた。
-----
あ、あの男の子だ。
ご婚約後、初めて公爵邸にサイラス殿下が来られた時、ミシェル様付きの侍女や側付き、メイドが集められ、殿下からご挨拶を頂いた。その時、私は何故かそう思った。
昔からよく見る夢に出てくる幼なじみの男の子。
実際の私には仲良しの幼なじみなんていないのだけど。
学園で、王宮で、公爵邸で、サイラス殿下をお見掛けする度に目で追ってしまう。
この気持ちは、言うなれば舞台役者や歌手やお気に入りの作家や…そう言う者を愛好しているのと同じ心理よ。そう思っていた。そう、思い込もうとしていた。ううん、そうでなくてはいけなかった。
主人の婚約者に、しかも第一王子に、こんな下世話な想いを抱くなんてあり得ない。
婚約された頃にはミシェル様付きの側付きだった私も、数年後には侍女になって、ミシェル様が王宮に上がる時には伴って行ける事になった。
うれしい。ずっと大好きなミシェル様と一緒に居られる。でもそれは、お二人の結婚生活を一番近くで見ると言う事で…
胸が痛い。
好きな役者が結婚したと聞いても胸は痛むわ。そう自分に言い聞かせる。
レイラ様の転落事故の後、お見舞いに訪ねてくださるサイラス殿下と話す機会が増えた。
ミシェル様がイアンに会いたいと言われているので、イアンの行方をご存知ないかと尋ねた時は少し動揺されていたようで、誤解させてしまって申し訳ない気持ちで一杯になった。
ミシェル様がサイラス殿下と会われて、ご自分が咎人だと言われた時は辛かった。
その日、旦那様とお会いになったサイラス殿下を玄関ホールまでお送りしていた時、殿下が私を呼んで振り向かれた。こんな事初めてで、トクンッと心臓が跳ねた。「エマは結婚しているのか?」と聞かれたので「いいえ」と答えると「恋人は?」とまた聞かれた。一体何を聞かれているんだろうと思いながら「いません」と答えると、クスッとお笑いになったの。
話す機会は増えても、私個人の事に触れられたのは初めてで。
名前を呼ばれて、私だけに笑顔を向けてくださった…
ミシェル様とサイラス殿下の婚約解消が決まった時、ミシェル様の安心したような表情や、サイラス殿下がミシェル様に向けた優しい笑顔を思い出して、胸の中がぐちゃぐちゃで涙が止まらなかった。
玄関ホールへ殿下をお送りしていると、前を向いたままの殿下が「俺がこうしてモーリス公爵邸を訪れる事はもうないし、ミシェルが個人的に王宮に来る事ももうないだろう。だからこうして会う事はなくなるな」と言われて…
そうだわ。…ミシェル様付きの侍女である私がサイラス殿下にお会いする機会など、もうないんだ…
先程までと違う涙が一気に溢れて、思わず足を止めた。
サイラス殿下が振り向いて、私の前まで戻って来てくださる。
「サイラス殿下…お慕い…しています…」
思わず言ってしまった。
一気に血の気が引いた。言ってはいけない事を言ってしまった。王子に不埒な思いを向けるだけでなく、それをぶつけてしまうなんて!
慌てる私の手にサイラス殿下の手が触れた。
殿下の手が!私の手に!手袋越しでも手の大きさと温もりが伝わる!
狼狽える私の手を、殿下が引いて…
気がつけば私は殿下の腕の中にいた。
-----
「夢の中の男の子ですか?」
王宮の俺の部屋で、ソファで隣に座るエマ。
公爵家の養女になり、先日俺との婚約と婚儀の日が公表された、俺の婚約者。
「サイラス様、私の夢の話お好きですよね」
「ああ」
エマの口から前世の俺が語られるのが嬉しくて、何度もその話をしてもらっていた。
エマにはその夢を見る以外の前世の記憶はないようだ。
「それが…最近はその夢を見なくなったんです」
「そうなのか?」
「思い起こせば…サイラス様の妃になると決意した頃から見ていない気がします」
「そうか」
前世のエマの心残りがなくなったから、だろうか?
そうなら良い。
エマの下ろした髪の毛を一束手に取る。侍女の頃は後ろで一纏めにしている髪型しか見た事なかったな。
手に取った髪を唇を寄せる。
髪の先に口付けると、エマが頬を染めた。
「…自分の好きになった娘が自分を好きになってくれて、更にその娘を妃にできるなんて、俺は幸運だな」
「サイラス様…」
エマの頬と耳が朱に染まる。
なんてかわいいんだろう。
「幸運なのは私の方です」
そう呟くエマを腕に閉じ込めた。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
転生令嬢と王子の恋人
ねーさん
恋愛
ある朝、目覚めたら、侯爵令嬢になっていた件
って、どこのラノベのタイトルなの!?
第二王子の婚約者であるリザは、ある日突然自分の前世が17歳で亡くなった日本人「リサコ」である事を思い出す。
麗しい王太子に端整な第二王子。ここはラノベ?乙女ゲーム?
もしかして、第二王子の婚約者である私は「悪役令嬢」なんでしょうか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる