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プロローグ

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「ちょっと!いつまで寝てる気!?」
 突然、頭の中に声が響く。
 少し低めの女性の声。聞いた事がない声のような、聞き慣れた声のような。
「早く起きて。貴女今日からイライザ・フォスターなんだからね!」
 イライザ・フォスター?
 初めて聞いたような、でもよく聞くような。
「私はもう消えてしまうけど、後を貴女に託すんだから、早く起きて必ずグレイ殿下とあの女を引き離してちょうだい!」
 消える?
 託す?
 グレイ殿下?
 あの女?

「あの女に殿下を取られたら私、死んでも死に切れなくて、貴女の処へ化けて出るわ。末代まで祟ってやるんだから」
 …そんな物騒な。

「何で私が…」
 確かに私の口から出た声なのに、聞き慣れたような、聞き覚えのないような、女性の声がする。
 そう。私の頭に話し掛けてくる女性と同じ声。

「あら。だって貴女、見えるんでしょう?そして、切れるんでしょう?」
「何が?」
 一人二役のように同じ声が往復する。
 私に何が見えて、何が切れると言うの?

「もちろん、運命の赤い糸よ」

 ……………は?



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