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ガシャンッとガラスが割れる音がして、化粧着にローブを羽織ったオリビアが振り向くと、バルコニーから三人の黒ずくめの男が入って来た。
「なっ…」
廊下の方へ走り出そうとしたオリビアを男たちは素早く捕まえ、薬品を染み込ませた布で口と鼻を覆った。羽交い締めにされたオリビアはすぐに意識を失う。
ガラスの割れる音で兄が駆けつけた時には部屋にはローブが落ちており、すでに人影はなかった。
オリビアが目覚めると、布で口を塞がれ、後ろ手に手首を縛られうつ伏せに横になっていた。
暗くて場所はわからないが、酒の臭いがする。
ザラリとした砂の感触が頬に触れて、倉庫のような場所のように思った。
床に放り投げられたのか、右肩が痛い。
オリビアが身じろぎすると、暗闇から声がした、
「お目覚めかい?オジョウサマ」
「!」
声のする方から逃げようともがくと、暗闇から白い腕が伸びて来て、オリビアの足を掴んだ。
「ひっ!」
塞がれた口では精一杯の悲鳴が漏れる。
男は黒ずくめで闇に溶けて輪郭もよくわからないが、黒い服から出ている素手と目出し帽から見える白い歯だけが闇に浮かび上がっていた。
クックッと男が笑った。
「このオジョウサマは自分は令嬢を拐ったくせに、拐われたら一人前に怯えちゃうんだねぇ」
嘲笑うように言いながら、白い手がオリビアの足を這うように撫で上げてくる。
「ひ…」
恐怖で動けなくなる。
「俺たちは別にアンタに拐われた令嬢の復讐者じゃあない。ただ侯爵家から身代金が欲しいのと…」
男の白い歯の一部が隠れて、舌舐めずりをしているのが分かる。
オリビアがどうにか身を起こして後退ろうとすると、いきなり後から両胸を掴まれた。
「!!」
黒い手袋をした男の手が後ろから伸びて、オリビアの両胸を揉みしだく。
嫌!
逃れようと前屈みになると、足を掴んだ男に髪の毛を鷲掴みにされた。
「他人の貞操を犯す奴は、自分が犯されても文句言えないんだよ」
面白そうに言うと、足を掴んだ手が、オリビアの下着を一気に引き下ろした。
嫌!嫌!
足をバタバタ動かすと、前の男に両膝を抱えるように持たれて動かせなくなる。身体を捻ろうとすると、後ろの男に鳩尾を殴られた。
「ぐっ…」
オリビアは息が出来なくなって前屈みになる。
後ろの男が「ははっ」と楽しそうに笑ってまた胸元に手を伸ばして来た。
前開きの化粧着のボタンを引きちぎられ、膨らみを直に掴まれる。
その間に、前の男が抱えた足を片方降ろして自分の足で押さえる。空いた手でオリビアの内腿を撫でた。
怖い!怖い!怖い!
息が苦しくて、怖くて、涙が溢れた。
「泣くよねぇ。そりゃ。怖いねぇ。嫌だねぇ」
前の男が嘲笑うように言うと、秘所に触れた。後ろの男は胸の先端を摘む。
「ひっ」
オリビアの喉が引き攣る。男は無造作に指を入れた。
痛い!嫌だ!怖い!
オリビアが身を強張らせると、前の男が「全然濡れてねえし、そりゃ痛いわ」と楽しそうに言う。
「指一本でこんな痛かったらコレ入れたらどんだけ痛いんだか」
そう言いながら男は穿き物の前合わせから自らの性器を取り出した。
…助けて。
オリビアは絶望する。
男はポケットから避妊具を取り出し、素早く装着するとオリビアの秘所に押し当てた。
助けて、ジル。
腰を掴まれ、一気に押し込まれて、身体全体が引き裂かれる様な痛みを感じた。
「ぐっ…ぅ…」
喉から空気が漏れるように呻き声が出た。
…助けて、ジル。
オリビアが気を失いかけた時、遠くで物音がした。
数秒後、目の前の男が横に飛んだ。
ジル?
後ろの男を蹴り飛ばす気配を朧げに感じる。男が居なくなって、オリビアは床に仰向けに倒れた。
「オリビア様!」
朦朧としているオリビアを抱き起こし、秘所に滲む血を見つけた男性は、悔し気にオリビアを抱きしめた。
「守れなくてすみません…オリビア様…」
ああ…ジルだ…。
その、少し高い声を聞きながらオリビアは完全に意識を失った。
ガシャンッとガラスが割れる音がして、化粧着にローブを羽織ったオリビアが振り向くと、バルコニーから三人の黒ずくめの男が入って来た。
「なっ…」
廊下の方へ走り出そうとしたオリビアを男たちは素早く捕まえ、薬品を染み込ませた布で口と鼻を覆った。羽交い締めにされたオリビアはすぐに意識を失う。
ガラスの割れる音で兄が駆けつけた時には部屋にはローブが落ちており、すでに人影はなかった。
オリビアが目覚めると、布で口を塞がれ、後ろ手に手首を縛られうつ伏せに横になっていた。
暗くて場所はわからないが、酒の臭いがする。
ザラリとした砂の感触が頬に触れて、倉庫のような場所のように思った。
床に放り投げられたのか、右肩が痛い。
オリビアが身じろぎすると、暗闇から声がした、
「お目覚めかい?オジョウサマ」
「!」
声のする方から逃げようともがくと、暗闇から白い腕が伸びて来て、オリビアの足を掴んだ。
「ひっ!」
塞がれた口では精一杯の悲鳴が漏れる。
男は黒ずくめで闇に溶けて輪郭もよくわからないが、黒い服から出ている素手と目出し帽から見える白い歯だけが闇に浮かび上がっていた。
クックッと男が笑った。
「このオジョウサマは自分は令嬢を拐ったくせに、拐われたら一人前に怯えちゃうんだねぇ」
嘲笑うように言いながら、白い手がオリビアの足を這うように撫で上げてくる。
「ひ…」
恐怖で動けなくなる。
「俺たちは別にアンタに拐われた令嬢の復讐者じゃあない。ただ侯爵家から身代金が欲しいのと…」
男の白い歯の一部が隠れて、舌舐めずりをしているのが分かる。
オリビアがどうにか身を起こして後退ろうとすると、いきなり後から両胸を掴まれた。
「!!」
黒い手袋をした男の手が後ろから伸びて、オリビアの両胸を揉みしだく。
嫌!
逃れようと前屈みになると、足を掴んだ男に髪の毛を鷲掴みにされた。
「他人の貞操を犯す奴は、自分が犯されても文句言えないんだよ」
面白そうに言うと、足を掴んだ手が、オリビアの下着を一気に引き下ろした。
嫌!嫌!
足をバタバタ動かすと、前の男に両膝を抱えるように持たれて動かせなくなる。身体を捻ろうとすると、後ろの男に鳩尾を殴られた。
「ぐっ…」
オリビアは息が出来なくなって前屈みになる。
後ろの男が「ははっ」と楽しそうに笑ってまた胸元に手を伸ばして来た。
前開きの化粧着のボタンを引きちぎられ、膨らみを直に掴まれる。
その間に、前の男が抱えた足を片方降ろして自分の足で押さえる。空いた手でオリビアの内腿を撫でた。
怖い!怖い!怖い!
息が苦しくて、怖くて、涙が溢れた。
「泣くよねぇ。そりゃ。怖いねぇ。嫌だねぇ」
前の男が嘲笑うように言うと、秘所に触れた。後ろの男は胸の先端を摘む。
「ひっ」
オリビアの喉が引き攣る。男は無造作に指を入れた。
痛い!嫌だ!怖い!
オリビアが身を強張らせると、前の男が「全然濡れてねえし、そりゃ痛いわ」と楽しそうに言う。
「指一本でこんな痛かったらコレ入れたらどんだけ痛いんだか」
そう言いながら男は穿き物の前合わせから自らの性器を取り出した。
…助けて。
オリビアは絶望する。
男はポケットから避妊具を取り出し、素早く装着するとオリビアの秘所に押し当てた。
助けて、ジル。
腰を掴まれ、一気に押し込まれて、身体全体が引き裂かれる様な痛みを感じた。
「ぐっ…ぅ…」
喉から空気が漏れるように呻き声が出た。
…助けて、ジル。
オリビアが気を失いかけた時、遠くで物音がした。
数秒後、目の前の男が横に飛んだ。
ジル?
後ろの男を蹴り飛ばす気配を朧げに感じる。男が居なくなって、オリビアは床に仰向けに倒れた。
「オリビア様!」
朦朧としているオリビアを抱き起こし、秘所に滲む血を見つけた男性は、悔し気にオリビアを抱きしめた。
「守れなくてすみません…オリビア様…」
ああ…ジルだ…。
その、少し高い声を聞きながらオリビアは完全に意識を失った。
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