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番外編2
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番外編2
「カーティスと申します。はじめましてアイリーン殿下」
胸に手を当て、会釈をすると、銀の長い髪が肩からサラリと落ちた。
色が白くて、瞳も銀色で、背が高くて、スラッと細くて、随分綺麗な男の人ね。まあお兄様の方が綺麗だけど。
この男性が私の婚約者。
私は王女だから結婚に好きも嫌いもないものね。結婚相手を好きになる必要もないのだろうし…
「はじめましてカーティス様」
アイリーンもにっこり笑って丁寧に礼をする。
今日はアイリーンと公爵家の嫡男カーティスとの婚約を正式な物にする前の顔合わせのため、カーティスが王宮を訪れているのだ。
堅苦しいのは嫌だと、アイリーンもカーティスも主張したため、王宮の庭の東屋にお茶の準備をしての初顔合わせだ。
「……」
お茶の席に着いたアイリーンはニコニコと微笑むカーティスをチラッと見た。
こういう時、何を話せばいいのだろう…
「アイリーン殿下は今学園の四年生でしたか」
「ええ」
その時、王宮から出て来たユリウスが笑顔で手を振りながら東屋に近付いて来た。
「カーティス」
「ユリウス。久しぶりだな」
カーティスは笑顔で立ち上がるとユリウスとハグをする。
「ああ。なかなか会う機会がなくてすまなかった」
そういえば、カーティス様はお兄様と同じ歳だったっけ。
「廃太子から研究所の立ち上げと何かと忙しかったから仕方ないさ。メレディスも元気か?」
「ああ。メレディスも研究所勤めで国内を飛び回って忙しくしているよ。今も北の辺境伯領だ」
会話が盛り上がるユリウスとカーティスを眺めていたアイリーンは、ユリウスの後ろに立っているルーカスに視線を移す。
アイリーンの視線に気付いたルーカスは少し眉を上げた。
ルーカスは今年、マリアが学園を卒業して直ぐに結婚式を挙げた。今は新婚ほやほやだ。
お兄様の廃太子やスアレスの立太子の段取りに、スアレスの侍従たちへの指導、その後は研究所の立ち上げ…ものすごく忙しかった筈なのによく自分の結婚まで準備できたわ。
「…それだけ早く結婚したかったという事ね」
アイリーンが小声で呟くと、カーティスがアイリーンの方へ振り向いた。
聞こえないと思ったのに、聞こえたのかしら?
「ユリウス、アイリーン殿下の卒業パーティーには俺がエスコートしても良いだろうか?」
ユリウスの方を向いて言う。
ううん。カーティス様、お兄様の方じゃなく、ルーカスの方を見てない?
「アイリーンの正式な婚約者ならば当然だろう」
-----
ユリウスとルーカスが去って、また東屋にはアイリーンとカーティスの二人だけになった。
「あのユリウスの従者がアイリーン殿下の想い人ですよね?」
紅茶のカップを持って笑顔でカーティスが言う。
「ルーカスは今は侍従ではなく研究所の副所長……」
え?あれ?
この人、今、何て言ったの?
「……ルーカスが私の何ですって…?」
アイリーンは目を見開いてカーティスを見た。
ニコニコと笑うカーティス。
「想い人」
「なっ!?」
ガタンッ!
アイリーンは思わず立ち上がる。
「な、何で!?」
誰にも言った事ないのに、何故この人が知ってるの!?
「アイリーン殿下、俺は結構前からアイリーン殿下を見ていたんですよ」
テーブルに肘をつき、組んだ手の上に顎を乗せてカーティスは言った。
「え?え?」
困惑してオロオロするアイリーンにカーティスは笑い掛ける。
「実はユリウスに会いに王宮を訪れた時、何度かお見掛けしております。それで密かにかわいいな~好みだな~と思っていまして」
「ええ!?」
「ユリウスとあまり仲が良くなかったようなのでユリウスには言っていませんが。今回、アイリーン殿下の婚約者にと打診があったので即行飛び付きました。とりあえずお座りになりませんか?」
カーティスはアイリーンを見上げて言う。
「ええ」
アイリーンはゆっくりと椅子に座った。
「俺が学園の四年生の時アイリーン殿下は一年生で、学園でも良く見ていましたよ?」
「ええ…?」
笑ってるけど、ちょっと怖いかも。
「偶然お見掛けしただけで、わざわざ探していた訳ではありませんよ?アイリーン殿下がルーカス殿を見ていたのと同じ感じです」
「……」
それじゃあカーティス様が怖いなら私も怖いって事になっちゃうじゃないの。
「婚約にあたっては、俺はアイリーン殿下がルーカス殿をお好きでも気にしません」
気にしない?
私が他の男性を想っていても気にしないの?
「…どうして?」
見た目が好みなだけで、手元に置いておければ「私の気持ち」はいらないの?
それは、さすがに…
「今はそうでも、将来的にはアイリーン殿下に俺を好きになっていただく自信があるから、です」
「それは…自信…過剰じゃないの?」
「いえ。おそらくアイリーン殿下は自分を『お姫様』として遠い存在にしないルーカス殿に惹かれた。俺も、そうですからね」
…確かにそう。
私、この男性を好きに、なれる?
アイリーンが期待を込めてカーティスを見ると、カーティスは今日一番の笑顔をアイリーンに向けた。
「カーティスと申します。はじめましてアイリーン殿下」
胸に手を当て、会釈をすると、銀の長い髪が肩からサラリと落ちた。
色が白くて、瞳も銀色で、背が高くて、スラッと細くて、随分綺麗な男の人ね。まあお兄様の方が綺麗だけど。
この男性が私の婚約者。
私は王女だから結婚に好きも嫌いもないものね。結婚相手を好きになる必要もないのだろうし…
「はじめましてカーティス様」
アイリーンもにっこり笑って丁寧に礼をする。
今日はアイリーンと公爵家の嫡男カーティスとの婚約を正式な物にする前の顔合わせのため、カーティスが王宮を訪れているのだ。
堅苦しいのは嫌だと、アイリーンもカーティスも主張したため、王宮の庭の東屋にお茶の準備をしての初顔合わせだ。
「……」
お茶の席に着いたアイリーンはニコニコと微笑むカーティスをチラッと見た。
こういう時、何を話せばいいのだろう…
「アイリーン殿下は今学園の四年生でしたか」
「ええ」
その時、王宮から出て来たユリウスが笑顔で手を振りながら東屋に近付いて来た。
「カーティス」
「ユリウス。久しぶりだな」
カーティスは笑顔で立ち上がるとユリウスとハグをする。
「ああ。なかなか会う機会がなくてすまなかった」
そういえば、カーティス様はお兄様と同じ歳だったっけ。
「廃太子から研究所の立ち上げと何かと忙しかったから仕方ないさ。メレディスも元気か?」
「ああ。メレディスも研究所勤めで国内を飛び回って忙しくしているよ。今も北の辺境伯領だ」
会話が盛り上がるユリウスとカーティスを眺めていたアイリーンは、ユリウスの後ろに立っているルーカスに視線を移す。
アイリーンの視線に気付いたルーカスは少し眉を上げた。
ルーカスは今年、マリアが学園を卒業して直ぐに結婚式を挙げた。今は新婚ほやほやだ。
お兄様の廃太子やスアレスの立太子の段取りに、スアレスの侍従たちへの指導、その後は研究所の立ち上げ…ものすごく忙しかった筈なのによく自分の結婚まで準備できたわ。
「…それだけ早く結婚したかったという事ね」
アイリーンが小声で呟くと、カーティスがアイリーンの方へ振り向いた。
聞こえないと思ったのに、聞こえたのかしら?
「ユリウス、アイリーン殿下の卒業パーティーには俺がエスコートしても良いだろうか?」
ユリウスの方を向いて言う。
ううん。カーティス様、お兄様の方じゃなく、ルーカスの方を見てない?
「アイリーンの正式な婚約者ならば当然だろう」
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ユリウスとルーカスが去って、また東屋にはアイリーンとカーティスの二人だけになった。
「あのユリウスの従者がアイリーン殿下の想い人ですよね?」
紅茶のカップを持って笑顔でカーティスが言う。
「ルーカスは今は侍従ではなく研究所の副所長……」
え?あれ?
この人、今、何て言ったの?
「……ルーカスが私の何ですって…?」
アイリーンは目を見開いてカーティスを見た。
ニコニコと笑うカーティス。
「想い人」
「なっ!?」
ガタンッ!
アイリーンは思わず立ち上がる。
「な、何で!?」
誰にも言った事ないのに、何故この人が知ってるの!?
「アイリーン殿下、俺は結構前からアイリーン殿下を見ていたんですよ」
テーブルに肘をつき、組んだ手の上に顎を乗せてカーティスは言った。
「え?え?」
困惑してオロオロするアイリーンにカーティスは笑い掛ける。
「実はユリウスに会いに王宮を訪れた時、何度かお見掛けしております。それで密かにかわいいな~好みだな~と思っていまして」
「ええ!?」
「ユリウスとあまり仲が良くなかったようなのでユリウスには言っていませんが。今回、アイリーン殿下の婚約者にと打診があったので即行飛び付きました。とりあえずお座りになりませんか?」
カーティスはアイリーンを見上げて言う。
「ええ」
アイリーンはゆっくりと椅子に座った。
「俺が学園の四年生の時アイリーン殿下は一年生で、学園でも良く見ていましたよ?」
「ええ…?」
笑ってるけど、ちょっと怖いかも。
「偶然お見掛けしただけで、わざわざ探していた訳ではありませんよ?アイリーン殿下がルーカス殿を見ていたのと同じ感じです」
「……」
それじゃあカーティス様が怖いなら私も怖いって事になっちゃうじゃないの。
「婚約にあたっては、俺はアイリーン殿下がルーカス殿をお好きでも気にしません」
気にしない?
私が他の男性を想っていても気にしないの?
「…どうして?」
見た目が好みなだけで、手元に置いておければ「私の気持ち」はいらないの?
それは、さすがに…
「今はそうでも、将来的にはアイリーン殿下に俺を好きになっていただく自信があるから、です」
「それは…自信…過剰じゃないの?」
「いえ。おそらくアイリーン殿下は自分を『お姫様』として遠い存在にしないルーカス殿に惹かれた。俺も、そうですからね」
…確かにそう。
私、この男性を好きに、なれる?
アイリーンが期待を込めてカーティスを見ると、カーティスは今日一番の笑顔をアイリーンに向けた。
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