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「何でロッテがグリフと踊ってるんだ…」
舞台の袖から会場を見たルーカスは思わず呟く。
「グリフ?」
会場の見えない位置の椅子に座っていたユリウスは、ルーカスの陰から顔を出し、会場を覗く。
何組ものダンスをする男女の中で、目当ての男女は直ぐにわかった。
グリフが一人だけ騎士服だから目立った訳ではない。
「上手いな」
二人のダンスがとても上手い、と言うか視線を惹きつける華があったのだ。
「グリフはダンスが上手いんです。ロッテも身長があって手足が長いから見栄えがするんですよ。だから逆に相手がロッテより小さいと、とてつもなく下手に見えますがね」
「なるほど」
「ああ~これでロッテは一次選考を通ってしまうな。二次も…」
ルーカスが顔を顰めて言う。
通ってしまう?
もちろんこの会場にいる令嬢が全員王太子妃になりたいと思っている訳ではない。
特段の事情がない限り強制参加だから渋々来て、一次選考で落ちて早く帰りたい者もいるだろう。そして、あのルーカスの妹もそうなのだろう。
だからと言って当の王太子の前で、選考に通るのがありがた迷惑の様に言うのはどうなんだ?
「あいつどうやってロッテと知り合ったんだ?…まあ、いずれはグリフにロッテを紹介するつもりだったんだし、仕方ないか…」
小さな声でルーカスは呟く。ユリウスはその言葉に思わず反応した。
「紹介?」
「あ、聴こえていましたか?申し訳ありません」
「ルーカスは妹にグリフを紹介するつもりだったのか?」
「…え、ええ。グリフならロッテ…妹も安心するかと思いまして」
「安心?」
「…殿下、どうされました?私の妹が何か?」
「いや…」
不思議そうにユリウスに聞くルーカス。ユリウスはルーカスから視線を逸らした。
-----
た、楽しかったわ。
ダンスがこんなに楽しかったの、生まれて始めてかも。
ダンスを終えて、礼をすると、グリフはシャーロットの前に小さな紙を差し出した。
「ロッテ、これを」
「はい?」
紙を受け取ると「一次選考通過」と書かれていて、端には王家の印璽があった。
「ええ!?」
会場から退出するべく歩きながら、驚いて紙を見続けるシャーロットに言う。
「会場にいる警備の騎士や案内係の人間もその通過の紙を持ってるんだ。それはこの一次選考が、見た目やダンスの上手さが選考基準ではなく、令嬢の立居振る舞いが基準だと言う事なんだ」
「そうなんですか?」
「だから化粧室にも掃除婦に化けた王城の女性職員がいて、令嬢たちの振る舞いを見ているんだ」
「ええ~!でも私が一次選考を通るのは…何か違う様な…」
「良いんだ。ロッテはダンスもとても上手だし、俺の事格好良いって言ってくれたし、何より二次選考に残れば明日またロッテに会えるからな」
「え?」
グリフはシャーロットにニッコリと笑い掛ける。
「あ、あそこが通過者の控室だ」
扉の前に人が立っている部屋を指差すと、グリフは「じゃあまたな」と言って去って行った。
明日またロッテに会えるから。
って、どういう意味?
ううん。今はそれより、本当にこれで私が一次選考を通過しちゃったの?
扉の前に立つ人に紙を示すと、紙に番号を書かれ、部屋に入る様に促される。
「お嬢様、こちらにお名前をご記入ください」
部屋の中にいた男性に紙とペンを差し出されたので、名前を書いて渡す。
「お呼びするまで奥の部屋でお待ちください」
「はい」
続き部屋になっている奥の部屋への扉を開けると、七人の令嬢が用意されていた椅子に座っていた。
シャーロットも空いていた椅子に座る。
みんなお綺麗…私、何だか場違いな気がするわ。
また扉が開いて、恐る恐るという風に部屋を覗きながら入って来たのはマリアだった。
「マリア!」
「あ!ロッテ!」
マリアは嬉しそうに笑ってシャーロットの隣に座る。
「見たわよ。騎士様と踊ってるの」
ニヤニヤと笑いながらマリアは言う。
「あの騎士様、グリフ様と仰るの。お兄様の友達なんですって。それと普段は王太子殿下の護衛騎士をされているそうよ」
「護衛騎士かあ。ロッテとそのグリフ様?すごく均衡が取れてて、絵になってたわよ」
「そう?確かにリードもお上手だったのね。すごく楽しかったもの」
シャーロットはマリアの耳に口を寄せて小声で言った。
「二次選考に残れば明日また会えるからってグリフ様に言われたんだけど…どういう意味かしら?」
「もちろんそれはロッテにまた会いたいって意味でしょ!?」
マリアは目を輝かせて言った。
「何でロッテがグリフと踊ってるんだ…」
舞台の袖から会場を見たルーカスは思わず呟く。
「グリフ?」
会場の見えない位置の椅子に座っていたユリウスは、ルーカスの陰から顔を出し、会場を覗く。
何組ものダンスをする男女の中で、目当ての男女は直ぐにわかった。
グリフが一人だけ騎士服だから目立った訳ではない。
「上手いな」
二人のダンスがとても上手い、と言うか視線を惹きつける華があったのだ。
「グリフはダンスが上手いんです。ロッテも身長があって手足が長いから見栄えがするんですよ。だから逆に相手がロッテより小さいと、とてつもなく下手に見えますがね」
「なるほど」
「ああ~これでロッテは一次選考を通ってしまうな。二次も…」
ルーカスが顔を顰めて言う。
通ってしまう?
もちろんこの会場にいる令嬢が全員王太子妃になりたいと思っている訳ではない。
特段の事情がない限り強制参加だから渋々来て、一次選考で落ちて早く帰りたい者もいるだろう。そして、あのルーカスの妹もそうなのだろう。
だからと言って当の王太子の前で、選考に通るのがありがた迷惑の様に言うのはどうなんだ?
「あいつどうやってロッテと知り合ったんだ?…まあ、いずれはグリフにロッテを紹介するつもりだったんだし、仕方ないか…」
小さな声でルーカスは呟く。ユリウスはその言葉に思わず反応した。
「紹介?」
「あ、聴こえていましたか?申し訳ありません」
「ルーカスは妹にグリフを紹介するつもりだったのか?」
「…え、ええ。グリフならロッテ…妹も安心するかと思いまして」
「安心?」
「…殿下、どうされました?私の妹が何か?」
「いや…」
不思議そうにユリウスに聞くルーカス。ユリウスはルーカスから視線を逸らした。
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た、楽しかったわ。
ダンスがこんなに楽しかったの、生まれて始めてかも。
ダンスを終えて、礼をすると、グリフはシャーロットの前に小さな紙を差し出した。
「ロッテ、これを」
「はい?」
紙を受け取ると「一次選考通過」と書かれていて、端には王家の印璽があった。
「ええ!?」
会場から退出するべく歩きながら、驚いて紙を見続けるシャーロットに言う。
「会場にいる警備の騎士や案内係の人間もその通過の紙を持ってるんだ。それはこの一次選考が、見た目やダンスの上手さが選考基準ではなく、令嬢の立居振る舞いが基準だと言う事なんだ」
「そうなんですか?」
「だから化粧室にも掃除婦に化けた王城の女性職員がいて、令嬢たちの振る舞いを見ているんだ」
「ええ~!でも私が一次選考を通るのは…何か違う様な…」
「良いんだ。ロッテはダンスもとても上手だし、俺の事格好良いって言ってくれたし、何より二次選考に残れば明日またロッテに会えるからな」
「え?」
グリフはシャーロットにニッコリと笑い掛ける。
「あ、あそこが通過者の控室だ」
扉の前に人が立っている部屋を指差すと、グリフは「じゃあまたな」と言って去って行った。
明日またロッテに会えるから。
って、どういう意味?
ううん。今はそれより、本当にこれで私が一次選考を通過しちゃったの?
扉の前に立つ人に紙を示すと、紙に番号を書かれ、部屋に入る様に促される。
「お嬢様、こちらにお名前をご記入ください」
部屋の中にいた男性に紙とペンを差し出されたので、名前を書いて渡す。
「お呼びするまで奥の部屋でお待ちください」
「はい」
続き部屋になっている奥の部屋への扉を開けると、七人の令嬢が用意されていた椅子に座っていた。
シャーロットも空いていた椅子に座る。
みんなお綺麗…私、何だか場違いな気がするわ。
また扉が開いて、恐る恐るという風に部屋を覗きながら入って来たのはマリアだった。
「マリア!」
「あ!ロッテ!」
マリアは嬉しそうに笑ってシャーロットの隣に座る。
「見たわよ。騎士様と踊ってるの」
ニヤニヤと笑いながらマリアは言う。
「あの騎士様、グリフ様と仰るの。お兄様の友達なんですって。それと普段は王太子殿下の護衛騎士をされているそうよ」
「護衛騎士かあ。ロッテとそのグリフ様?すごく均衡が取れてて、絵になってたわよ」
「そう?確かにリードもお上手だったのね。すごく楽しかったもの」
シャーロットはマリアの耳に口を寄せて小声で言った。
「二次選考に残れば明日また会えるからってグリフ様に言われたんだけど…どういう意味かしら?」
「もちろんそれはロッテにまた会いたいって意味でしょ!?」
マリアは目を輝かせて言った。
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