晴れの日は嫌い。

うさぎのカメラ

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今日は晴れて良かった。3

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 それから三人で主菓子を食べました。
 私の家では食べる機会は無かったもので、とても新鮮な体験でした。
 私がいつも食べるようなお菓子は、クッキーやケーキです。
 確かにそれも美味しいのですが、和菓子は洋菓子より小さくて繊細さがあり、この特徴にも私には新鮮でした。 
「このうさぎの和菓子は可愛いですね!」
 私がそう感想を言うと小雪さんは『うふふっ』と笑顔にりました。 
「この兎の和菓子は私が我儘を言って一つだけ作っていただいたんです」 
「え?」
 杉原先輩も笑っています。 
「十五夜や月見のある時期にしか作ってないんだ、この店」 
「今日は可愛いらしい黒猫さんが家に遊びに来てくれてるから、本当は黒猫さんが良かったのですが、和菓子には黒猫ないんです。ですから少しでも可愛い和菓子を作ってくれるようにお願いをしてしまいました」 
 小雪さんは杉原先輩の点てたお抹茶を飲み干しています。
『人が淹れてくれたお茶は美味しいわ』と言っていました。 
「そんな『特別』なことをしなくて大丈夫なのですが……」
 いつも、どこでも、『笹倉』な名前が付いてきて……ここでも『特別』な扱いをされてしまうのでしょうか。
 そう思うと居心地が悪くなってしまいました。
 すると小雪さんは、
「お客様を『特別』にもてなすのは当たり前ですよ、叶さん」
 正直に言うと杉原先輩のご実家で『特別』なことをしてほしくなかったのですが、先輩は困った笑顔にでこう言いました。 
「それは無理な話デショ。……叶は俺の『特別』だからね」
 私はその笑顔に魅惚れてしまって、折角先輩が点ててくれたお抹茶を購入したばかりの洋服の上に盛大に溢してしまいました。
 その、……杉原先輩の『特別』と、私の自覚した『特別』は同じなのではしょうか……。
 そう想うと、どうしても平然としていられませんでした。


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