晴れの日は嫌い。

うさぎのカメラ

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曇りの日の日常勉強。3

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「あれ、叶待たせた?」
 『おはよ』、と杉原先輩が現れました。
  結局昨晩考え込んだまま眠ってしまいました。
考えながら眠ったせいでしょうか、熟睡出来なかったみたいで私は軽い寝不足になっていました。
 ですが再び眠ってしまったら、杉原先輩を待たせてしまうかもしれないと、早めに自宅の門の前で待っていました。 
「お早う御座います。今日はちょっと早めに用意が出来てしまっただけです」
 私はいつものように笑顔で答えたのに……先輩は見破られてしまいました。 
「そんな作った笑顔されても、杉原センパイは余計にしんぱーい!」
 ……笑顔には自信があったのですが。 
「先輩はいつから私が仮面を被っているのに気がついていたんですか?」 
「いつかな、忘れちゃったな」 
 杉原先輩の、この『困った笑顔』を私は朝からさせてしまいました。 
「だからってさ、作り笑いでも『笑顔』が見れないの、イヤかな」 
 そうですね、作り笑顔も笑顔のうちですから。
 そして先輩は笑顔で
「曇りの日だから朝からキスは出来ないかな?」
 なんて先輩が言うので、私は一歩横に離れて歩き出したのですが、また近づいてきて。
「こんなところでキスなんて出来ませんっ」
「分かってる、しないよ」
 『ははは』と余裕で笑ってます。
 先輩は何時も余裕があって羨ましいです。
「……で?教えて欲しいことって、なぁに」 
(ここは当初の予定通り聞いておきましょう) 
「杉原先輩、『お出掛け着』とはどこで購入するものなのですか?」 
「はっ?!」
 杉原先輩は固まってしまいました。
 あれ?
 私はまた何か問題発言をしてしまったのでしょうか、とても不安になりました。
 「……『女』じゃないんだから普通に『よそいき』とかでも大丈夫だと思うけど?」
 と、先輩は『……ダメ、可愛すぎてオカシイ……っ!!』等、大笑いしはじめてしまいました。
 私は顔が熱くなるけれど、怒るよりも羞恥を感じました。 
「わっわわわ、笑わなくても!!今まで私には……そういう出掛けてくれるような親しい友達はいませんし、最近はお祖父ちゃんとしか出掛けてなくてっ」
 杉原先輩は『ゴメンゴメン』と頭をポンポンと優しく撫でて謝ってくれました。 
「それに関しては、俺が悪かったのかも。叶を『笹倉グループの御曹司』だってこと忘れて、制服も良いけど私服が見たいから、デートに誘っちゃったんだし?」
 『普段のキミを見たいなって下心だよ。ゴメンね』と優しい困った笑顔を向けてくれました。 
(私が『笹倉』なのを忘れていたんですか……?)
 杉原先輩は私が『笹倉』という家で親しくしていていなかったのに、私は嬉しくて仕方がありませんでした。
 下心でもなんでも良いので、一人の人間として見てくれていたのがどうしようもなく嬉しかったんです。 
「しょうがないから杉原センパイが叶の『よそいき』を見立ててあげようか?叶はどうしてほしいの?」
 これって普通の親しい友達が、普通に『ウインドウショッピング』するというものですよね? 
 これは断るなんて勿体ないです!! 
「杉原先輩、どうぞ宜しくお願い致します!!」
 私は深々と頭を下げました。


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