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晴れの日から雨の日へ。1
しおりを挟む「叶さん、おはようございますいます!」
「叶さん、今日も天気が良くて良かったですね」
いつも学校登校中に同級生達が私に話をかけてきます。 話しかけてきてくれるのは嬉しいですが、いい加減私はこのような平穏な毎日にうんざりしていました。
はっきり言ってしまうと、このような生活に私は飽きてしまっていたんです。
_____
私は笹倉 叶(ささくら かなえ)といいます。 幼い頃はこの女のような名前『かなえ』という名前と家柄で虐めを受けてきました。
少し裕福な暮らしをしていたお祖父ちゃんは、戦後『笹倉金融』という小さな会社を立ち上げ、一代で大きな会社にし……父さんがより大きな会社『笹倉グループ』にしました。 今現在、お祖父ちゃんが会長で、父さんが社長です。
……多分私があとを継ぐのでしょう。
まわりのことも、生まれた環境も、あまり分かっていない幼い頃の私は、世間など全く知らず……少しまわりと変わったなところを見付けると、からかわれたり虐めを受けたりしていました。
しかし、私の場合それだけではありませんでした。 お祖父ちゃんは日本人ですが、お祖母ちゃんはドイツ人。そのハーフの父さんのお嫁さんだった母さんはフランス人です。 ですから、私の外見は少し……いえ、かなり浮いています。
目の色は碧色で髪は金髪に近いブロンズ、ですが私は日本人なんです。
(犬や猫だったら私は混血のミックスですね……)
そのお祖母ちゃんは短寿命で他界し、母さんは元々体の弱い人だったらしく……私を産んでから直ぐに病にかかり、やはり亡くなっています。
……虐めを受けていたときは辛いものでした。一番辛かったのは、相談出来る家族がお祖母ちゃんしかいなかったことです。 そのお祖母ちゃんは私が中学二年入って直ぐになくなった後に起こった虐めは、誰にも相談など出来ませんでした。
『笹倉、トイレ行こう?』 『ただのツレションだよ?』
クラスの男子数人に毎日毎日トイレに連れ込まれ、便器を舐めさせられたり、清掃用のモップで叩かれたり、挙げ句の果てには私の『性器の写真』を取られ、いいようにもて遊ばれていました。
『叶ちゃんが男の子か確認するための『記念写真』だよ』
抵抗しましたが、……無駄でした。
私の『性器の写真』を取られたあと、その写真を男子生徒が落として……学校中の問題になったのです。 その写真に写された肌の色から私の写真だと理解されました。 直ぐその問題は家に話がいき……。
そのあと、私は普通の公立中学から私立中学に転校になりました。
(……あの人達は、あの学校はどうなったのでしょうか)
今更そんな事考えても仕方がないのですし、終わったことです。
ただ、その日は今日のような『晴れた日』でした。
だから………つまらないんです。
(……これではまるで私が刺激の欲しい、ただの変態のようです)
_____
今現在、私は有名名門私立男子高校の一年の生徒です。 お祖父ちゃんや父さんに似たのか、勉強は何でも器用にこなしています。
……運動は少しだけ苦手ですが 特に勉強は、直ぐに頭の中で理解が出来ていました。
(こんな簡単な問題で、よく赤点がとれますね……)
私にはそのことについてのほうが理解が出来ませんでした。
家柄のせいで。 名前のせいで。 容姿のせいで。
そのせいか、私には今まで友達と呼べる人が全くいませんでした。
(これなら、あのままでも良かったのでしょうか)
こんなこと考えるなんて、自分でも馬鹿だと思います。
私は中学から学校に通いやすい、お祖母ちゃんが残してくれた別宅に住んでいます。
ですが、本宅の方もお祖父ちゃんや父さんは仕事でほとんど家には留守にしているらしいです。
……家政婦や家政夫はいますが、夜の私の家はとても静かです。
お祖母ちゃんがいない別宅でも、私は淋しいものでした。
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