逆転機ニルヴァーシュ -朝斬りの夜明け-【バンダナコミック01】

ボス子ちゃま

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46話ー『卍・解!!』

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(ーーラスボスだ。はっきりと言って、恋愛シミュレーションゲームに登場するラスボスとしか思えない)

 誰もがバアさんなんて攻略したい訳がなく。
 重い腰を上げてようやく攻略に望めば、その難易度が高すぎて攻略方法が分からない。

「なぁバアさん、今日も可愛いぜ」

 ここは一つ、褒めちぎってバアさんを少女に変えてやる。
 ババアの童心が疼けば、俺の手中に必ず落ちる。

「へぇ、そうかい。あんたと出会ったのは、さっきが初めてなのにねえ? 今日も、なのかい?」

「はんっ、可愛げのねえバアさんだ。そこはさり気なく『おぉ。ターニャじゃねえか。どうしたんだい? 紙が欲しいのかい?』ぐらい言えねえのかよ?」

「言えないねえ。あんたはバアさんを舐めすぎだよ。
 アタシがいくつなのか知ってんのかい?」

「知らねえし、興味もねえよ。いくつなんだよ?」

「10歳だ」

「ババアッ!! テメエ絶対に嘘じゃねえかぁッ!!」

 俺とバアさんがそんなやり取りをしていたところ、右隣のパティから焦れったそうに声が届く。

「おーいターニャ、早くバアさんぐらい口説き落とせっつうの。弱者男性かっつうの」

(あー。マジでこのメスガキぶん殴りてえ)

「だったらお前が口説き落とせよパティ」

「ハァー? なんでアタシが? 女を口説き落とすのは、男の役目だろうがよー」

 うーん、そう言われたら確かに一理あるし、何だかぐうの音も出ないな。

「ターニャは、意気地なしなんですよ。所詮、種無しなんです。種馬おじさんにもなれないなんて、かわいそうな男ですよ」

「煩えなぁ、種差別してんじゃねえ。大体、俺は種馬おじさんに興味なんかねえんだよ」

 男なら、好きな女にまっしぐらって決まってんだろ。

(つうか、こうしている間にも、刻一刻と時間は過ぎている……)

 海底のダンジョンフィールドに向かって素材集めをすると言う、大事な使命がある以上は、俺はこんなところで引きこもっている訳にはいかない。

(かくなる上は、あれをやるか……)

 困った時のツイッターさんだ。
 このトレンドの上にある検索窓に文字を打ち込むと、大体の情報はこれで検索ができる。
 俺は辛うじてデュエルディスクの裏に仕込まれたスマホを手に取り、そこからツイッターのアプリを開いて検索をかける。

「バアさんの口説き方、と……これで良しッ!!」

 間違いなく、かなりの数字がヒットする筈だ!!
 世の中のジジイとババアの数を舐めんじゃねえ!!
 目を凝らして俺は画面を眺める。
 さぁ、始まるぜこの俺の検索伝説が!!

「バカなッ!? ツイッターの検索エンジンで“バアさんの口説き方”を調べたのに、2件しか出てこないだとッ!?」

 つまり、バアさんに恋愛シミュレーションゲームを仕掛けていたのは、この世に2人しか居ないと言うことか!?
 
(クッ……予想外だ……!!)

 もっと出てくると思っていた!!
 バアさんの不人気ぶりに俺は困惑をせざるを得ない。

(チィ!! こうなったら仕方がねえ、ヤケクソだ!!)

「どうやら……俺はバアさんの攻略難易度を舐めていたようだ」

「いや、あんたはさっきからババアを舐めすぎだね」

「見せてやろう!! 俺の男としての偉大さを!!」

 バアさんが確かに女だと言うなら、これを見て驚かん女はこの世に居ない!!
 一点に集中するおびただしい量の魔力量。
 トイレ内の大気が、その余波を感じて乱れに乱れる。

「今ここにーー俺のカリスマを集約する……ッ!!」

 カッと目を見開いて俺は解き放つッ!!
 禁じられた遊びーーマジカル・チンコ・ソードをッ!!
 ビューン!! と下腹部から撃ち出された魔法チンが、バアさんの眉間の近くの壁に風穴を開ける。

「ハッ!? あっ、あんたこれは!?」

「見て分からんのか? 壁ドンだ」

「ーー壁ドゥン!?」

「これが俺のマジカルチンコソードを使った壁ドゥン。
 太さは、直径にして約30センチ」

「で、デカいッ!! 水道管ッ!?」

「長さは、およそ42.195キロメートル……」

「ーーフルマラソンッ!!」

 バアさんは、目を充血させながら白目を剥くと、こくりとそのまま気を失ってしまう。

「壁ドンしたら女を落とせると聞いたんだがな……」

 何か、まったく違う意味でバアさんが落ちたんだが?

「紙……バアさんから取れねえなぁ……」

 勢いよく出しすぎた余り、しかも俺のマジカルチンコは壁を突き抜けて、向こう側の世界へと辿り着いてしまっている。

「仕方がない、こうなればコイツを動かして取って来てもらおう」

 手で紙を取って来ることが叶わぬ状況なら!!

(ーーチンコに紙を取って来させれば良いッ!!)

 こうして俺のマジカルチンコの大冒険が始まりを告げた。



 ビューンとトイレの壁を突き破って伸びるマジカルチンコくん。
 その両端には、可愛らしい黒目がついているよ?

(まるでヘビみたいで愛くるしい姿……)

 ウネウネと伸びるマジカルチンコの顔は、俺の心眼と代弁者でもある。
 つまりこのマジカルチンコは、

「目もあるし、人とお喋りすることが出来るのだ!!」

 トイレに瞳を閉じて座りながら、俺は腕を組んでチンコのみを動かす。

「流石は、俺の息子だな?」

 屈折するマジカルチンコが、潜水艦内の壁をことごとく突き破り、2階の廊下へと顔を出す。

(紙があるポイントは、恐らく元のレストラン)

 そこならば確実に紙が手に入るだろう。

「まっがーれ!!」

 360℃のオーバーターンを披露し、くねくねとチンコがヘビのように動いている。
 世の中には、右向きと、左向きのチンコがある。
 だが、俺のチンコはUターン可能。
 赤いカーペットの敷かれた廊下を辿り、昼食を取ったレストランを探す。
 その途中、人に出会う。出会った者は、エッフェル塔のようなデカさに驚愕して失神する。

「我が偉大なるマジカルチンコの前に、恐れ慄《おのの》くが良い……」

 これこそ当に我が覇気の一つーーチン聞色の覇気だ。
 そうしてマジカルチンコは、気がつけば別室へと辿り着く。
 そこはさっきのレストランーーではなくスナックのようなバーだ。

「やぁ、いらっしゃいお客さん。ご注文は?」

「紙だぁあああああッ!! 紙を寄越せぇええええッ!!」

 俺はマジカルチンコにて入店して早々、カウンター腰に見える木棚を薙ぎ倒し、そのチンコで酒を煽る。

「ここかッ!? それともここかぁッ!? ウルァッ!! 出てこいやぁ!!」

 店内を手当たり次第にチンコで破壊してみたが、紙らしき紙が一つも見つからない。

(ここーー逆にバーとして大丈夫なの?)

 そう思った俺のチンコは、無性に怒りが湧いて来た。
 こうなったらアレを使うしかないみたいだ。

「知ってるか? チンコは、爆じけたほうが強えんだ」

「何ーーだとッ!?」

「卍・解!! 千本チンコ桜・景厳ッ!!」

 桜の花びらと化した俺のマジカルチンコが、一斉に店内で暴れ回る。

「ちょっとお客さん!! 店内でチンコを分解されたら困りますって!!」

「煩えッ!! お前は、先にチンコが入店したことを困れよな!!」

 そうして俺のマジカルチンコは、紙のねえ怒りでバーをぶっ壊してから廊下へと出て行く。
 ーーチンコが店内で爆発したのだ。
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