僕の職業は王妃です!

かるぼん

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本章~恋に落ちるまで~

発熱の正体

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城内にはそれぞれ役割を担う部署が設置されている。
その中の一つである薬剤部に水差しとグラスを届け、成分を分析してもらった結果、薬の正体は『発熱剤』だということが分かった。
発熱剤は水ではなく、グラスの縁に塗られていたらしい。
陛下も薬を口にしたが、陛下は幼い頃から暗殺対策としてたくさんの薬を飲み、耐性を付けていたため、何の症状も現れなかった。
加えて、僕の急激な発熱の様子が、薬の作用と似ていたことから、すぐに何かを口にしたのではないかという考えに及んだらしい。
僕は、アマノ国の王子だけれど、小国だったから、そんな対策は必要なかったのだ。
よって、全く薬に耐性のない僕は、ばっちり発熱剤の効果が出てしまった。

まあ、結果、発熱剤だと分かったので、僕はすぐに解熱剤を処方され、あっという間に熱は下がった。

「毒じゃなくて、本当に良かった。」
安静をとってベッドで横になっている僕の頭を撫でながら陛下は言った。
「…心配をおかけしました…。
でも陛下、いくら耐性があるって言っても、毒かもしれないという段階で陛下もそれを口にするのはあまりにも軽率ではありませんか?」
僕は唇を尖らせて、陛下に抗議する。
あはは、そうだったね、と眉尻をさげて笑う陛下は、その間も僕の頭を撫でる手を止めない。
やめてください、とは言わなかった。
優しく僕に触れる陛下の手が気持ちよくて、本心、もうしばらく触っていてほしい。

なんで、そんな風に思うのだろう。

ちらり、と陛下の顔を見ると、陛下は慈しむような瞳で僕を見下ろしていた。
「な、なんですか…、そんなにじっとみないでくださいよ…。」
なんだか恥ずかしくて、僕は掛け布団を引き上げて目まで覆った。
ふふ、と陛下が優しげに笑う声が聞こえる。
「可愛いね、ルーノ。
本当に君が無事で良かった。」
言い聞かせるように、陛下は優しくそう言うと、布団で隠れていない額に、ちゅっ、と唇を落としたのだった。
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