僕の職業は王妃です!

かるぼん

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本章~恋に落ちるまで~

発熱の理由

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「どうした。」
部屋の入り口付近から声がかかり、リナは手を止めてそちらを振り返った。
僕も少し遅れて目をやる。
そこには、陛下が立っていた。
(ああ…また陛下に助けられた…。)
リナは身体の正面を陛下に向けると深々とお辞儀をした。
「王妃様の体調が悪く、お着替えを手伝わせていただくところでした。」
サーラと違って、リナは陛下に対して、凛とした様子で答えた。
(……自分より高位の人と話すのに慣れてるのかな…。)
ボーッとした頭で、そんなどうでもいい感想じみたことを考えていると、陛下が口を開いた。
「そうか。
ならば、その役目は私に任せてくれ。
君はもう下がってよいぞ。」
バッサリと言い切った陛下に、侍女が食い下がれるはずもなく、リナは陛下と僕に頭を下げると部屋を後にした。

リナが出ていって、陛下はすぐに僕のもとへ駆け寄ってきた。
「ルーノ、大丈夫かい?
顔が真っ赤だね。随分な高熱のようだ。」
僕の顔を覗く陛下の顔つきは厳しかった。
そして、少し考え込む様子を見せた。
「……へーか…?」
僕は軽く首を傾けて、陛下をボーッと眺めていた。
「ああ、すまない。
まずは先に身体を拭いて、着替えてしまおうか。」
そう言って、手際よく僕の世話をしてくれた。
その間、陛下は全く話さなかった。

着替えが済み、僕をベッドに横たわらせると、陛下はベッドの横に椅子をおいて腰を下ろした。
そして、おもむろに口を開いた。
「ねぇ、ルーノ。
今日、昼頃に私と会ったよね。
そのあと、何か口にした?」
真剣な眼差しで問われた。
僕は朦朧としながらも必死に記憶を辿った。
…あ。
「…散歩のあと、部屋に戻ったらお水が置いてあった…ので、それを飲んだくらいです…。
あとは何も口にしてません…。」
少したどたどしい話し方になってしまったが、僕の言葉をきいた陛下は立ち上がって、部屋の端のテーブルに近寄った。
そして、水差しと、僕が使ったまま置きっぱなしにしていたグラスを手にとってそれらをしばし見つめていた。
それから、陛下は水差しからグラスに水を注ぎ、自身でそれを飲んだ。
(あ…へーかと、間接ちゅー、だ…。)
熱のせいか、さっきからどうでもいいことを考えてしまう。
水を飲んだ陛下は、しばし動きを止めて考えている様子だった。
「…へーか?」
おずおずと声をかける。
すると、陛下はきびすを返して、ベッド横の椅子に戻ってきた。
そして。
「あの水、何か薬が混ざってる。」
そう、僕に告げたのだ。
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