僕の職業は王妃です！

本章～バレるまで～

弱気

食事を終えて自室に戻ってきた僕はベッドに飛び込んだ。
仰向けになり、大の字に四肢を投げ出す。
「……胸が…いっぱい…。」
緊張からか、食事は上手く喉を通らず、あまり腹を満たすことはできなかった。
腹の代わりに胸がいっぱいだった。
胸焼けしそうだ。
(吐きそう…。)
緊張しすぎだろ、僕。
僕って意外とメンタル弱かったんだな…。
(父上たちは元気だろうか…。
うう、帰りたい、ホームシックだぁ…。)
あ、やばい、泣きそう。
僕には荷が重いよ。
男だとバレずに、陛下の機嫌を取って、アマノ国に資金を送ってもらう。
よくよく考えたら胃もたれしそうな任務メニューだ。
これからのことを考えると、ベッドが沈んでいくのではないかと思うほど身体が重くなってくる。
涙がこぼれそうになった、その時。
コンコンッ
扉がノックされた。
僕は上体を起こして腕で目元を擦った。
少し、袖に化粧が付いてしまった。
「はい…？」
何の用件か想像が付かず、疑問符を付けて返事を返す。
「陛下が自室にお戻りになりました。
どうぞ、ごゆっくりお過ごし下さい。」
先程の侍女の声だ。
ああ、まだ僕の今日の仕事は終わってないんだ。
めそめそしてちゃ駄目だ。
仕事しなきゃ。
「分かった、ありがとう。」
ふぅー、と一つ深いため息をついて、僕は、隣の陛下の部屋に繋がる扉へと向かった。