7 / 10
後悔の過去、そして願い
弟との再会(中編)
しおりを挟む
「僕はずっと自由を奪われて生きてきた。
それなのに、お前はのうのうと何にも縛られず生きている。
許せなかった。
お前は僕が苦しんでいるのを知っていたくせに、一度も救いの手を伸ばしてはくれなかった。
何度も、何度も、助けを求めたのに…。」
そう言って、ルイは唇を噛みしめ俯いた。
「……だから、お前の自由も奪ってやったのさ。
お前はこれからの一生をずっとこの檻の中で過ごすがいい。」
そう言い捨てると、ルイは椅子から立ち上がり、黒々しい憎しみの籠った瞳で私を一瞥した。
そして、ふい、と顔を逸らして私の前から立ち去ったのだった。
それから二度と私の前に姿を現すことはなかった。
今思うと、ルイは寂しかったのだろう。
誰からも愛されず、つらい目にばかり遭う。
従兄に毎晩襲われていたこと、私は確かに知っていた。
既に成人していた従兄が代理で領主の座に就いてしばらく経った頃のことだった。
私は10歳、3つ離れたルイが7歳の頃だったと思う。
ルイの部屋の前を通った時、少しだけ扉が開いていて、中の様子が見えてしまった。
ベッドの上で肥えた従兄の豚のようなその身体が、四つん這いになった華奢な弟に乗りかかっていた。
見てしまったその瞬間は、確かに驚き、思わず歩を止めてしまった。
弟は母に似て、とても美しく魅力的な容姿をしていた。
母も男女問わず魅了していたと聞いたことがあるから、ルイもその素質を受け継いでしまったのだろう。
でもまさか、まだ幼くこんなに歳の離れた、しかも同性に欲情するなんて…。
しばらく動けず、ただ呆然とその様子を見ていると、ぱち、と涙で濡れた紫の瞳と目が合った。
それなのに、お前はのうのうと何にも縛られず生きている。
許せなかった。
お前は僕が苦しんでいるのを知っていたくせに、一度も救いの手を伸ばしてはくれなかった。
何度も、何度も、助けを求めたのに…。」
そう言って、ルイは唇を噛みしめ俯いた。
「……だから、お前の自由も奪ってやったのさ。
お前はこれからの一生をずっとこの檻の中で過ごすがいい。」
そう言い捨てると、ルイは椅子から立ち上がり、黒々しい憎しみの籠った瞳で私を一瞥した。
そして、ふい、と顔を逸らして私の前から立ち去ったのだった。
それから二度と私の前に姿を現すことはなかった。
今思うと、ルイは寂しかったのだろう。
誰からも愛されず、つらい目にばかり遭う。
従兄に毎晩襲われていたこと、私は確かに知っていた。
既に成人していた従兄が代理で領主の座に就いてしばらく経った頃のことだった。
私は10歳、3つ離れたルイが7歳の頃だったと思う。
ルイの部屋の前を通った時、少しだけ扉が開いていて、中の様子が見えてしまった。
ベッドの上で肥えた従兄の豚のようなその身体が、四つん這いになった華奢な弟に乗りかかっていた。
見てしまったその瞬間は、確かに驚き、思わず歩を止めてしまった。
弟は母に似て、とても美しく魅力的な容姿をしていた。
母も男女問わず魅了していたと聞いたことがあるから、ルイもその素質を受け継いでしまったのだろう。
でもまさか、まだ幼くこんなに歳の離れた、しかも同性に欲情するなんて…。
しばらく動けず、ただ呆然とその様子を見ていると、ぱち、と涙で濡れた紫の瞳と目が合った。
12
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説

異世界転生して病んじゃったコの話
るて
BL
突然ですが、僕、異世界転生しちゃったみたいです。
これからどうしよう…
あれ、僕嫌われてる…?
あ、れ…?
もう、わかんないや。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
異世界転生して、病んじゃったコの話
嫌われ→総愛され
性癖バンバン入れるので、ごちゃごちゃするかも…

異世界に召喚されて失明したけど幸せです。
るて
BL
僕はシノ。
なんでか異世界に召喚されたみたいです!
でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう
あ、失明したらしいっす
うん。まー、別にいーや。
なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい!
あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘)
目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》


例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!


過食症の僕なんかが異世界に行ったって……
おがとま
BL
過食症の受け「春」は自身の醜さに苦しんでいた。そこに強い光が差し込み異世界に…?!
ではなく、神様の私欲の巻き添えをくらい、雑に異世界に飛ばされてしまった。まあそこでなんやかんやあって攻め「ギル」に出会う。ギルは街1番の鍛冶屋、真面目で筋肉ムキムキ。
凸凹な2人がお互いを意識し、尊敬し、愛し合う物語。

消えたいと願ったら、猫になってました。
15
BL
親友に恋をした。
告げるつもりはなかったのにひょんなことからバレて、玉砕。
消えたい…そう呟いた時どこからか「おっけ〜」と呑気な声が聞こえてきて、え?と思った時には猫になっていた。
…え?
消えたいとは言ったけど猫になりたいなんて言ってません!
「大丈夫、戻る方法はあるから」
「それって?」
「それはーーー」
猫ライフ、満喫します。
こちら息抜きで書いているため、亀更新になります。
するっと終わる(かもしれない)予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる