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後悔の過去、そして願い
最悪の始まり
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もう一度、やり直せたなら…
薄れゆく意識の中で、私、ヴィンセント・ウィンバークはそう思った。
こんな薄暗い檻の中では、「ウィンバーク」という家名も、既に何の意味も成さない。
かつての絹糸のような白銀の長い髪は軋んでおり、澄んだ青空を映したかのような薄青の瞳も濁り澱んでいることだろう。
壁に背中を預け、ぼぅ、と天井を見つめた。
迎えが近いのか。
走馬灯のように、今までの人生が思い起こされる。
幼いころ、弟ができた。
それが、この最悪の人生の始まりだったと思う。
弟は母の不貞の末にできた子だと疑われた。
このことで家庭は崩壊。
仲の良かった両親を壊した原因である弟を、私は嫌った。
母が病死し、父は自殺。
結果的に弟は不義の子でもなんでもなく、正真正銘、ウィンバーク家の次男であったのだが、両親を奪った彼を、私は最後まで受け入れなかった。
この国はトップに王族、その下で様々な位の貴族らが王族を支えている。
そして、この国の広大な土地はいくつもの領に分かれ、それぞれの領主がその領地を治めていた。
国の中心に王都、その周りを囲うように細分された領地がある。
その中の一つが、ウィンバーク領。
我が家の領地である。
ウィンバーク領は大きくも小さくもなく、これといった特産物があるわけでもない。
それでもウィンバークの先祖たちは代々、細々と領地を治めていた。
しかし両親が死に、まだ後継者教育も終わっていない幼いヴィンセントに時期領主が務まるはずもなく、代理でやってきた無能な従兄によって、ウィンバーク領は没落した。
薄れゆく意識の中で、私、ヴィンセント・ウィンバークはそう思った。
こんな薄暗い檻の中では、「ウィンバーク」という家名も、既に何の意味も成さない。
かつての絹糸のような白銀の長い髪は軋んでおり、澄んだ青空を映したかのような薄青の瞳も濁り澱んでいることだろう。
壁に背中を預け、ぼぅ、と天井を見つめた。
迎えが近いのか。
走馬灯のように、今までの人生が思い起こされる。
幼いころ、弟ができた。
それが、この最悪の人生の始まりだったと思う。
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しかし両親が死に、まだ後継者教育も終わっていない幼いヴィンセントに時期領主が務まるはずもなく、代理でやってきた無能な従兄によって、ウィンバーク領は没落した。
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