推しの推しが自分だった件

冬月side3

今日は今やってるアイドル系アニメの収録。
たくさんのキャラがいていくつかのグループに分かれている、よくあるアイドルアニメだ。
僕はメイングループのふんわりお兄さんキャラ。
メンバーをまとめる重要なキャラクターだ。

こんな重要なキャラを任されるようになったなんて僕も成長したな。

収録現場では僕は年長組になるので、新人声優にアドバイスをすることもあって、なおさらお兄さんキャラが似合うと言ってもらえている。
アイドルアニメなので、歌唱も必須。
僕は歌はそこそこ得意だったので、そこも評価してもらえている。
ありがたい。

僕にアドバイスを求めてくる子の一人は、メイングループのセンター、いわゆる主人公で、その子は本当に最近名前が売れてきている子だ。
まだ若くてすごくフレッシュ。
とても眩しい。
彼は人懐っこくて、よく「冬月さん冬月さん」って声をかけてくれる。
こういう子は先輩から可愛がられて、めきめき上達していくんだと思う。

僕は新人の頃はコミュ障でなかなか先輩に声をかけられなかったから、余計成長も遅かったんだろう。

懐かしい。

今日の収録が終わり、監督から招集がかかる。
なんだろう、と監督の言葉を待っていると。

「みんな喜べー！このアニメでステージをやるぞ！！」

「えええええ⁉︎」

その場にいたみんな絶叫した。