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2部3章
魔法の戦い
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地上の俺たちからかなり離れた上空にてセレストとライズさんは対峙している。
辺りは風通しのいい畑だ。収穫を終えたため生えているのは背の高い草ばかりだ。草は風によって揺れる。やや強い風が吹いているのはライズさんの風の精霊によるものなのだ。
「良かった。二人とも加減してくれてるみたいで」
「えっ、あれで加減してんのかよ?」
戦士の男は俺の作り出した氷の盾を端に避け、畑に転がった岩を寄せていた。
「俺でも本気を見たことないですが、世界を滅ぼせるとかエルリックさんが言ってたので」
「おっかねえ嬢ちゃんだな。兄貴も本気になるわけだ。流石の兄貴でも世界は滅ぼせねえだろ。俺も兄貴の本気を見たことねえが」
上空で先に動いたのはセレストだった。ナイフを大振りした途端、ライズさんの前の空が歪んだ。
「あいつ! 空間を切ったのか!」
「すごいな。でもあんな上空なら被害は……」
空間の歪みは地上まで届くと広がり村を両断した。
「村のみんなが!」
「平気よ。全員避難させといた。ここにあらずの加護でちょっと転移させてね」
空の上のセレストが大声で知らせてくれた。
「家を壊すのもダメだろ!」
「それも平気。切った空間は接着できる。それで全ては元通り。もちろん戻さないこともできるのよ」
セレストはナイフを振りライズさん目掛けて空間を引き裂いた。ライズさんの肩の上で一匹の鳥がさえずり。目の前に発光色の壁が現れる。
「魔法封じ。それなら防げるでしょう。この攻撃でなければね」
セレストの言葉の前にライズさんは風に乗って回避を図った。すると発光色の壁ごと引き裂かれて消滅した。
「最強なら魔法封じは使えるものね。お互いに」
「なるほど! 魔法封じを含んだ魔法の行使! 私にはない発想だ。では、試してみましょう」
ライズさんは剣を前に向け鳥の一羽を剣へと飛び込ませた。剣に変化はないが周囲に光の輪が生まれた。
「応用早すぎ! 初見よね!?」
「ええ。成長だけが取り柄でして!」
剣を振るったライズさん。光の束となった斬撃がセレストに向かう。ナイフで受けたセレストは吹っ飛ばされた。斬撃をいなし、それを空の彼方へと弾き返した。
拮抗する二人の実力に驚く。セレストについ従い出来るほどの実力のライズさんの強さ。セレストが空に攻撃を弾いたのは良かった。村に配慮してくれて助かる。今度はライズさんの攻撃の方が不安になってきたが……。
辺りは風通しのいい畑だ。収穫を終えたため生えているのは背の高い草ばかりだ。草は風によって揺れる。やや強い風が吹いているのはライズさんの風の精霊によるものなのだ。
「良かった。二人とも加減してくれてるみたいで」
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「俺でも本気を見たことないですが、世界を滅ぼせるとかエルリックさんが言ってたので」
「おっかねえ嬢ちゃんだな。兄貴も本気になるわけだ。流石の兄貴でも世界は滅ぼせねえだろ。俺も兄貴の本気を見たことねえが」
上空で先に動いたのはセレストだった。ナイフを大振りした途端、ライズさんの前の空が歪んだ。
「あいつ! 空間を切ったのか!」
「すごいな。でもあんな上空なら被害は……」
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「村のみんなが!」
「平気よ。全員避難させといた。ここにあらずの加護でちょっと転移させてね」
空の上のセレストが大声で知らせてくれた。
「家を壊すのもダメだろ!」
「それも平気。切った空間は接着できる。それで全ては元通り。もちろん戻さないこともできるのよ」
セレストはナイフを振りライズさん目掛けて空間を引き裂いた。ライズさんの肩の上で一匹の鳥がさえずり。目の前に発光色の壁が現れる。
「魔法封じ。それなら防げるでしょう。この攻撃でなければね」
セレストの言葉の前にライズさんは風に乗って回避を図った。すると発光色の壁ごと引き裂かれて消滅した。
「最強なら魔法封じは使えるものね。お互いに」
「なるほど! 魔法封じを含んだ魔法の行使! 私にはない発想だ。では、試してみましょう」
ライズさんは剣を前に向け鳥の一羽を剣へと飛び込ませた。剣に変化はないが周囲に光の輪が生まれた。
「応用早すぎ! 初見よね!?」
「ええ。成長だけが取り柄でして!」
剣を振るったライズさん。光の束となった斬撃がセレストに向かう。ナイフで受けたセレストは吹っ飛ばされた。斬撃をいなし、それを空の彼方へと弾き返した。
拮抗する二人の実力に驚く。セレストについ従い出来るほどの実力のライズさんの強さ。セレストが空に攻撃を弾いたのは良かった。村に配慮してくれて助かる。今度はライズさんの攻撃の方が不安になってきたが……。
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