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2部3章

それを忘れていた

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 カインを見送ってから、少し経つと凛音たちが近づいてきた。

「すごい音だったな、爆発か?」

「ああ、俺がミスをした」

「でもすごい、あの爆発で崩れない大穴のダンジョンも。ゴットミノタウロスじゃないのに傷がない悠人も!」

「試すのは止めろ。この魔法ももう少しで解けるから!」

「ケチー」

 俺は立ち上がり。他のほら穴に目を向けた。

「俺が頑丈なのも分かったし、俺単独で入ってみるよ」

「私も先に入りたい」

「止めてくれ! まだ魔力装甲会得したばっかりだぞ。爆発は防げない」

「でも、試したこと無いから行けるかもよ?」

「ダメだ。見たところ魔力にムラがあるから、まだら模様の火傷になるぞ」

「それ見たいかも。見たらもっと上手く出来るようになるから!」

「体を大事に!」

 見かねたセレストが凛音を押さえてくれたので、俺は次のほら穴に足を踏み入れた。

 先ほどのモンスターを踏まえて、足元に天井、前に背後全体に目を向けながら進んだ。モンスターなどの気配はない。そこそこの広さがあることが分かった。

 だが、奥に進んでいく為に踏み出した俺の体は前に沈んだ。岩の砕ける重い音がして足元に穴が空く。さっきの爆発でヒビが入っていたのだ。

 落下した俺だが余裕を持ってスカーフを頼れる。だが、ふと思い出した。

「エンチャント八つ橋、風の翼があるじゃん!」

「そうか、今さら思い出したか。俺的には寂しくもあるが。使って損はないだろう」

「さっき気がつけば良かったのにな。ハハッ!」

 頼れる仲間と作ったお菓子を忘れていたなんて。仲間失格だな。

 落下しながら俺はポケットを探り、固いものを取り出して、噛みついた。だが、固すぎない? この八つ橋。

 よく見てみると俺の手には古びた金貨が一枚。

「俺の出番だな!」

 忘れてた! ゴールドボーイがいることを。

 彼は前回のダンジョン探索で仲間になった。分身したり、浮いたり、頑丈なのでお世話になった。古い道具なのでなんでも出来るとても心強い仲間だ。

 彼はすぐに分身して足場になってくれた。

「ごっ、ごめん」

「? 今までダンジョンの外だったから使わなかったんだよな?」

「あ。ああ、そうだな」

 心からお詫び申し上げます。と言うか、彼を覚えてたら、ここまで苦労しなかった気がする……。
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