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2部3章

いつもの

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 俺たちは大穴を下り、岩の上に立った。岩はどこにも繋がって居ない。浮遊している岩の一つだからだ。

 ダンジョンの大穴の底はまだ見通せない。壁がわには大量の水が流れ落ち、壮大な滝を作り上げていた。

「結構降りてきたねえ!」

「俺だけ落下したがな。無事だけど」

「なぜあれだけの落下で平気なのか、僕ですら興味が出てきたよ……」

「「私も試したいなあ!」」

 凛音たちの視線は俺に注がれた。

「頼むからやめてくれ……」

「大丈夫、やらないよ」

「スライムの時を忘れてる?」

「あっ! そっか、効かなかった。あれ以上の魔法思い付いてからやるね」

「違うだろ! あと、その頃には俺の魔法解けてるから!」

 荒ぶる凛音をリュセラたちが止めてくれた。彼が二人いて助かった。凛音も二人いるから何とも言えないけど。

 俺はルーペ(百均製)を取り出して、今俺たちが立っている岩を観察した。ずぶ濡れでは無いものの、滝の飛沫を受けて湿っていて、苔も生えている。

「見たこと無い鉱石だけど。頑丈だな。でも滑りやすいから、みんな気を付けて。俺が一番危険だけどな」

「なるほど、魔力が見えないのに大した観察だね。偉い!」

エルリックさんが手を伸ばし、俺の頭を撫でた。

 恥ずかしいが、俺が大人に撫でられたのは久しぶりで。父さんを思い出した、嬉しいがセレストに睨まれているのは、エルリックさんへの憎悪か、俺への嫉妬なのか。

「未知の鉱石! 採取しよ!」

 凛音が鞄から取り出したのは、大きめのハンマーとノミを取り出し俺たちの乗っている岩にあてがった。

「凛音! 足場は浮いている、下手に刺激しない方がいい!」

「えっ?」

 既に凛音はハンマーを振り下ろしている。行動早すぎ!

 俺は慌てて走り、手を伸ばした。凛音のハンマーを受け止める事が出来た。だが、転んだ。慌てて取ってしまった受け身がヤバかった。

 俺の手が岩に触れた途端にヒビが入り、足場が真っ二つになった。

「すごい、初めて見る断面の鉱石! 色んな色に見える!」

「凛音、早く対応を!」

「悠人は?」

 俺は下を見た。相変わらずの何も見えない闇。

「またかよー!」

 これは自分のせいなので仕方ない。ダンジョンの大穴の深さに怯えつつ。また、途中に岩があることを願う。出来れば誰かに助けて欲しいけど。
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