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2部3章
試練の理由
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夜の林でのカインとの戦いは終わった。カインと戦ったと言うかカインと結託してエルリックさんと戦ったと言うか。治療を終えて、倒れたカインの方へと顔を向けたが彼は居なくなっていた。
「カイン、あの傷で逃げたのか……。治療だけでもしてもらえばいいのに」
「大丈夫だよ、悠人君。自分でポーションをコピーして使ってから行ったから」
「なら良いか……。って、良くない! 捕まえなかったんですか?!」
「弱っている所を捕らえるのは、勇者のする事かい?」
「それはそうですけど……」
「それに、試練を受けた後は休まないとね」
林の中に風が吹く。山林のため強く冷たく当たる風に吹かれたエルリックさんの表情は変化を見せない。さっきの寂しそうな顔が嘘のように強く見える。手が震えていなければな!
「大丈夫ですか、無傷でしたよね?」
「ああ、メンタル以外はね……」
「セレストに優しくしてやればいいのに」
「でも、まだ彼女は弱いから。試練を与えないと」
「それが厳しい理由ですね。素直に言えばいいのに」
エルリックさんの理由を聞いて俺は納得した。今までの悪い態度は相手を思ってのこと。エルリックさんは優しい人なのだ、煽ったりしてたけど……。
勇者一行として、家族を省みることが出来なかったエルリックさんなりにセレストを心配していたのだ。
「言っても彼女は僕を敵視しているから聞かないよ」
「それでも諦めちゃダメです。セレストは寂しそうでした」
「そうだね。諦めてはダメだ。これからも試練を与えよう!」
「接し方! 優しく出来ません?」
「優しい試練はセレストが子供の頃にやり尽くしたから」
「セレストが嫌がるわけだ……。とにかく、もう少し家族らしいやり方を考えてくださいね」
「なるほど、それは僕への試練かな?」
「試練狂いか!」
「うん。でも、悠人君の試練受けよう」
エルリックさんは納得して、エリカ大尉の方へと休憩を申し込みに行った。
「我々が降下の準備をします。時間が掛かるでしょうから、その間に軽食をとって休んでいてください」
「お気遣いありがとう。じゃあみんな休もうか」
エルリックさんの計らいで俺たちはレジャーシート(百均製)を敷いて休む。
親子で仲が悪いのは悲しいことだから。セレストはお母さんが亡くなって、父親は厳しく。セレストは寂しいのだ。なるべく寂しさを感じないようにしてやりたい。
俺を睨んでいるセレストは恐らく、余計なことをと思っているけれど。
「カイン、あの傷で逃げたのか……。治療だけでもしてもらえばいいのに」
「大丈夫だよ、悠人君。自分でポーションをコピーして使ってから行ったから」
「なら良いか……。って、良くない! 捕まえなかったんですか?!」
「弱っている所を捕らえるのは、勇者のする事かい?」
「それはそうですけど……」
「それに、試練を受けた後は休まないとね」
林の中に風が吹く。山林のため強く冷たく当たる風に吹かれたエルリックさんの表情は変化を見せない。さっきの寂しそうな顔が嘘のように強く見える。手が震えていなければな!
「大丈夫ですか、無傷でしたよね?」
「ああ、メンタル以外はね……」
「セレストに優しくしてやればいいのに」
「でも、まだ彼女は弱いから。試練を与えないと」
「それが厳しい理由ですね。素直に言えばいいのに」
エルリックさんの理由を聞いて俺は納得した。今までの悪い態度は相手を思ってのこと。エルリックさんは優しい人なのだ、煽ったりしてたけど……。
勇者一行として、家族を省みることが出来なかったエルリックさんなりにセレストを心配していたのだ。
「言っても彼女は僕を敵視しているから聞かないよ」
「それでも諦めちゃダメです。セレストは寂しそうでした」
「そうだね。諦めてはダメだ。これからも試練を与えよう!」
「接し方! 優しく出来ません?」
「優しい試練はセレストが子供の頃にやり尽くしたから」
「セレストが嫌がるわけだ……。とにかく、もう少し家族らしいやり方を考えてくださいね」
「なるほど、それは僕への試練かな?」
「試練狂いか!」
「うん。でも、悠人君の試練受けよう」
エルリックさんは納得して、エリカ大尉の方へと休憩を申し込みに行った。
「我々が降下の準備をします。時間が掛かるでしょうから、その間に軽食をとって休んでいてください」
「お気遣いありがとう。じゃあみんな休もうか」
エルリックさんの計らいで俺たちはレジャーシート(百均製)を敷いて休む。
親子で仲が悪いのは悲しいことだから。セレストはお母さんが亡くなって、父親は厳しく。セレストは寂しいのだ。なるべく寂しさを感じないようにしてやりたい。
俺を睨んでいるセレストは恐らく、余計なことをと思っているけれど。
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