133 / 217
2部、2章
最大敵対者
しおりを挟む
俺たちは圧力により地面に膝を付いたまま、前までやってきたタケシさんを見る。
「俺の魔法は重力魔法。意識した対象を重力を軽くしたり重くしたりできる。細かな調整で飛行運搬まで可能だ」
タケシさんは俺の前まで来る。すると重力が強くなり、押さえつけられた。俺はゴッドミノタウロスなので動けるが、事態が悪化しそう。
仲間を確認したいが、俺が動くとバレてしまう。
「貴様の身柄を拘束する」
タケシさんが手を伸ばし、俺は動くか迷った時だった。エリカ大尉が体を起こした。タケシさんが離れたことで、重力が弱まったのだ。無くなった訳ではない、まだ、辛そうな表情だ。
「対話してから、拘束しろ」
「対話の瞬間を狙って攻撃するものも居ります」
「そうだな。今みたいに」
林の隙間から銃声が聞こえた。それはタケシさんの頭に当たる。タケシさんがよろけた所をエリカ大尉は指差した。
「中尉に手荒な手段しかないのは分かるが、もっと加減してやれ」
「そうで、すね。このゴム弾をお叱りの言葉と受けとります」
タケシさんの手には小さな弾が。弾丸でなくゴム弾らしい。
「離れといて良かったぜ。喧嘩するかと思ってヒヤヒヤした!」
リョウさんがライフルを持って現れる。彼が途中から会話に参加しなかったのはこのためか。
「中尉。この角の生えた男は悠人君だ」
「大臣の仰った、彼の魔法ですか。もはや別人ですね」
「彼は今日中、このままだ。慣れてくれ」
「イエスマム。それと、年で目がボヤけているのでしょうか……。凛音ちゃんとリュセラ君が二重に……」
「彼らはカインが作ったコピーだが。協力してくれるらしい」
「はぁ……。イエスマム」
「すみません、タケシさん! 藍華をすぐにでも探したいですが。セレストが救護テントに?」
「そうです。敵対した者と戦闘で彼女は……」
「セレストが負けた? 自分のコピーか、僕のコピーならあり得るが、彼女は自衛隊ですら無茶な相手だぞ!」
「セレスト。そう言えば私、戦ったこと無いなあ。あっ悠人!」
俺は走った。セレストの居るテントを探すと、テントの前でミホさんが立っていた。俺を見てぎょっとしたが、鞄を見せて説明して事なきをえた。
テントに入った俺の前に大柄な男性が座っている。彼は司教が着ている青と金と白の典礼衣装を纏っている。
前に寝ているセレストは目を閉じている。眠っている事を確認できて安心した。
「こんばんは。セレストは無事だよ。きっと目を覚ます」
「どちら様ですか?」
後ろから走って入ったリュセラが叫ぶ。
「「エルリック! どの面下げて出てきた!」」
「リュセラ。久しぶり。元気そうだね」
「「お陰さまで、悲劇教団に追われる日々だ!」」
「試練になると思ってたけど、僕が相手した方が良いかな?」
「「星のー!」」
「待った、怪我人が居るんだぞ!」
二人は手を止めてくれた。リュセラはコピーと一緒に退室していった。凛音もセレストの顔を見たら安心したようで。
俺はエルリックさんと対面した。彼は父さんと旅をした勇者一行の一人、セレストの父親。そして、悲劇教団の司教。
「俺の魔法は重力魔法。意識した対象を重力を軽くしたり重くしたりできる。細かな調整で飛行運搬まで可能だ」
タケシさんは俺の前まで来る。すると重力が強くなり、押さえつけられた。俺はゴッドミノタウロスなので動けるが、事態が悪化しそう。
仲間を確認したいが、俺が動くとバレてしまう。
「貴様の身柄を拘束する」
タケシさんが手を伸ばし、俺は動くか迷った時だった。エリカ大尉が体を起こした。タケシさんが離れたことで、重力が弱まったのだ。無くなった訳ではない、まだ、辛そうな表情だ。
「対話してから、拘束しろ」
「対話の瞬間を狙って攻撃するものも居ります」
「そうだな。今みたいに」
林の隙間から銃声が聞こえた。それはタケシさんの頭に当たる。タケシさんがよろけた所をエリカ大尉は指差した。
「中尉に手荒な手段しかないのは分かるが、もっと加減してやれ」
「そうで、すね。このゴム弾をお叱りの言葉と受けとります」
タケシさんの手には小さな弾が。弾丸でなくゴム弾らしい。
「離れといて良かったぜ。喧嘩するかと思ってヒヤヒヤした!」
リョウさんがライフルを持って現れる。彼が途中から会話に参加しなかったのはこのためか。
「中尉。この角の生えた男は悠人君だ」
「大臣の仰った、彼の魔法ですか。もはや別人ですね」
「彼は今日中、このままだ。慣れてくれ」
「イエスマム。それと、年で目がボヤけているのでしょうか……。凛音ちゃんとリュセラ君が二重に……」
「彼らはカインが作ったコピーだが。協力してくれるらしい」
「はぁ……。イエスマム」
「すみません、タケシさん! 藍華をすぐにでも探したいですが。セレストが救護テントに?」
「そうです。敵対した者と戦闘で彼女は……」
「セレストが負けた? 自分のコピーか、僕のコピーならあり得るが、彼女は自衛隊ですら無茶な相手だぞ!」
「セレスト。そう言えば私、戦ったこと無いなあ。あっ悠人!」
俺は走った。セレストの居るテントを探すと、テントの前でミホさんが立っていた。俺を見てぎょっとしたが、鞄を見せて説明して事なきをえた。
テントに入った俺の前に大柄な男性が座っている。彼は司教が着ている青と金と白の典礼衣装を纏っている。
前に寝ているセレストは目を閉じている。眠っている事を確認できて安心した。
「こんばんは。セレストは無事だよ。きっと目を覚ます」
「どちら様ですか?」
後ろから走って入ったリュセラが叫ぶ。
「「エルリック! どの面下げて出てきた!」」
「リュセラ。久しぶり。元気そうだね」
「「お陰さまで、悲劇教団に追われる日々だ!」」
「試練になると思ってたけど、僕が相手した方が良いかな?」
「「星のー!」」
「待った、怪我人が居るんだぞ!」
二人は手を止めてくれた。リュセラはコピーと一緒に退室していった。凛音もセレストの顔を見たら安心したようで。
俺はエルリックさんと対面した。彼は父さんと旅をした勇者一行の一人、セレストの父親。そして、悲劇教団の司教。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~
尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。
ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。
亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。
ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!?
そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。
さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。
コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く!
はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?
サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに――
※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる