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2部、1章
捜索
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敵の罠にはまった俺は、その敵に助けを乞われた。半分敵であろう悲劇教団のモニターが見せていた幻覚は消えて凛音とエリカ大尉、ユウキさんが俺を見つけて寄ってきた。
「みんな、無事だったんだ」
「悠人が先に行ったきり、見えなくなったから呼び掛けていたんだけど」
「ミイラ取りがミイラになる。この林だと、探す側も迷わないように気を付けるっすよ」
ユウキさんは俺の肩を叩いた。今の俺はハイドラなので首だらけ、ユウキさんが叩いたのは首の根元だった。
「て言うか。その子、藍華ちゃんじゃないっすか?」
「藍華はもっと落ち着いて……。居たはずなんだけどな……。こいつは藍華に化けて俺を騙そうとしたやつだ。遭難しているから連れていっても良いでしょうか?」
俺は一応。エリカ大尉に聞いてみた。
「構わない。調査に協力してくれるならば」
「はい。お願いします。私は悲劇教団のモニター。見ることと見せることが出来る擬人化道具です」
「悲劇教団の方っすか。じゃあ安心っすね」
「俺は悲劇教団なのが不安なんですが……。企みは無いだろうな?」
「無い……。はず。そう言えば私何も知らされずにここに来たんだった……」
「信頼されてないんかい! 逆に不安になったわ!」
俺とモニターは立ち上がり。エリカ大尉達に向き合った。
「最後に一つ。モニター君の目的は何だ?」
「命令されたのは、悲劇教団の隊長をお助けすることです」
「カイン君の事だね?」
「あ、あーそうです。カイン様を知っているんですか?」
「今回の作戦に同行している」
「そうだったんですね。なおさら助かります!」
エリカ大尉は踵を返し、俺たちもまた、さっきの隊列を組んで進んだ。一先ず藍華を探すことに集中しよう。
だが、俺はモニターの言い分に違和感を覚えた。
ここに来たのに、なぜカインと一緒じゃなかったのか? 別行動だってあり得るだろう。でも、誰に命令されて来たのか?
モニターにはまだ、謎があるので警戒をしておこう。
「夕方までには見つけないと」
「悠人君の言うとおり。夜の捜索はこちらのリスクも高いから、避けたい所だ」
「私の魔法で照らしとこうか?」
凛音の手にはかつてダンジョンで拾った杖が握られている。今日の冒険のために麗音大臣が返したのだろう。
「それも危険だ。モンスターも魔法が使えるならば、目立つと襲撃の危険性が上がる」
「はーい」
そして、難なく捜索は続き。夕方になった。日が沈みかけていて、わずかとなった光で林を照らしている。
「見つからない。どうすれば!」
「無謀だったか。近くに居たのは私たちだけで。想像よりも遠くに流されてしまったみたいだな。すまない。想定が甘かった」
「こうなったら。首を限界まで増やして、木々を食い尽くしてでも!」
「危険だ。悠人君! むしろ林にとっても危険行為だな。森林破壊は良くない」
「どうすれば良いって言うんだ!」
夜は探せない。でも、藍華は慣れない山歩きをしている。危険だ、熊だっている。モンスターもいる。
俺がコーヒーを取り出しシナモンを持った時だった。
「あのー。飛べば良くない?」
モニターは発言と共に、俺の背中を指差した。そう言えば有ったな、風の翼。
俺は空を飛んだ。凛音も魔法で空を飛びこれから探しに行く。今の俺、飛べるの忘れていた。凛音も飛んで探してたし。気づかぬ自分が恥ずかしい!
でも、俺の説明してないことを、なぜモニターは知っていたのか?
疑問が増えたが。今は藍華を探そう。
「みんな、無事だったんだ」
「悠人が先に行ったきり、見えなくなったから呼び掛けていたんだけど」
「ミイラ取りがミイラになる。この林だと、探す側も迷わないように気を付けるっすよ」
ユウキさんは俺の肩を叩いた。今の俺はハイドラなので首だらけ、ユウキさんが叩いたのは首の根元だった。
「て言うか。その子、藍華ちゃんじゃないっすか?」
「藍華はもっと落ち着いて……。居たはずなんだけどな……。こいつは藍華に化けて俺を騙そうとしたやつだ。遭難しているから連れていっても良いでしょうか?」
俺は一応。エリカ大尉に聞いてみた。
「構わない。調査に協力してくれるならば」
「はい。お願いします。私は悲劇教団のモニター。見ることと見せることが出来る擬人化道具です」
「悲劇教団の方っすか。じゃあ安心っすね」
「俺は悲劇教団なのが不安なんですが……。企みは無いだろうな?」
「無い……。はず。そう言えば私何も知らされずにここに来たんだった……」
「信頼されてないんかい! 逆に不安になったわ!」
俺とモニターは立ち上がり。エリカ大尉達に向き合った。
「最後に一つ。モニター君の目的は何だ?」
「命令されたのは、悲劇教団の隊長をお助けすることです」
「カイン君の事だね?」
「あ、あーそうです。カイン様を知っているんですか?」
「今回の作戦に同行している」
「そうだったんですね。なおさら助かります!」
エリカ大尉は踵を返し、俺たちもまた、さっきの隊列を組んで進んだ。一先ず藍華を探すことに集中しよう。
だが、俺はモニターの言い分に違和感を覚えた。
ここに来たのに、なぜカインと一緒じゃなかったのか? 別行動だってあり得るだろう。でも、誰に命令されて来たのか?
モニターにはまだ、謎があるので警戒をしておこう。
「夕方までには見つけないと」
「悠人君の言うとおり。夜の捜索はこちらのリスクも高いから、避けたい所だ」
「私の魔法で照らしとこうか?」
凛音の手にはかつてダンジョンで拾った杖が握られている。今日の冒険のために麗音大臣が返したのだろう。
「それも危険だ。モンスターも魔法が使えるならば、目立つと襲撃の危険性が上がる」
「はーい」
そして、難なく捜索は続き。夕方になった。日が沈みかけていて、わずかとなった光で林を照らしている。
「見つからない。どうすれば!」
「無謀だったか。近くに居たのは私たちだけで。想像よりも遠くに流されてしまったみたいだな。すまない。想定が甘かった」
「こうなったら。首を限界まで増やして、木々を食い尽くしてでも!」
「危険だ。悠人君! むしろ林にとっても危険行為だな。森林破壊は良くない」
「どうすれば良いって言うんだ!」
夜は探せない。でも、藍華は慣れない山歩きをしている。危険だ、熊だっている。モンスターもいる。
俺がコーヒーを取り出しシナモンを持った時だった。
「あのー。飛べば良くない?」
モニターは発言と共に、俺の背中を指差した。そう言えば有ったな、風の翼。
俺は空を飛んだ。凛音も魔法で空を飛びこれから探しに行く。今の俺、飛べるの忘れていた。凛音も飛んで探してたし。気づかぬ自分が恥ずかしい!
でも、俺の説明してないことを、なぜモニターは知っていたのか?
疑問が増えたが。今は藍華を探そう。
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