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2部、1章
敵
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収まった喧嘩取り敢えず麗音大臣とリュセラを引き離すことに成功した。二人とも武器を握ったままだけど。
自衛隊の施設は凛音がヒールで直した。ドラクに習ったから、建物を直すのは得意だろう。常に壊れかけの城を思い出しながら。
「大臣、今回の作戦について簡易な説明をお願いします」
「今回のダンジョンは具体的な場所は伏せるが、山林に出来た大きな穴だ。穴に川の水が流れ込み、滝となっている。その底から魔力の反応がある。恐らく、奇跡の破片がある」
知らぬ単語に俺は頭をひねる。エリカ大尉とリュセラは真剣な表情に変わった。
「始まりの魔法使いの遺産か、願いを叶える力があるという」
「奇跡の破片があるダンジョンは危険と、大臣から習いました。どのような危険が有るのですか?」
「奇跡の破片は触れたものに吸収され、体に入るとその者は強くなる。奇跡の破片の魔力を得ることが出来るからだ。例え魔物であろうとも」
「確かに強化された魔物は危険ですね、俺からしたら普通の魔物ですら危険な存在ですし」
俺の発言に大臣は俺をじっと見る。
「何か?」
「魔物みたいなのが喋っていると思ったら悠人君か、くれぐれもその姿で外出しないように」
「はい。基地が壊れてなければ、外では飲まないですが」
「その点はすまない。臆病者が騒ぎだしたものでな」
「すまない、悠人。過保護から凛音を解放したかったのでな」
また、二人がバチバチと睨み合い始めたので、俺はハイドラの頭を伸ばして二人を遮る。
「大臣たちも、やり過ぎないようにしてくださいね」
「そうだな。では今回の作戦の目的。奇跡の破片の回収並びに、ダンジョンの危険を排斥する。何か質問の有るものは挙手」
大臣が俺たちの方を見た。エリカ大尉とは話をしてあるから、俺たち外部の者への配慮だろう。
「では、質問させて貰います。悲劇教団の協力者とは?」
「そうだな。紹介しておこう。エルリックから指名された者と勝手に付いてきたものだそうだ」
大臣がアキラさんに指示を出し。小屋に呼び掛けると、中から二人が出てきた。一人はセレスト、俺を見ると手を振ってくれた。やや、釣られて俺も手を上げる。
そして、もう一人は男性と言うよりは、藍華や凛音よりは年下に見える少年だ。彼はリュックを背負っている。
「セレストです。本日はよろしくお願いします」
相変わらず、猫を被ったセレスト。麗音大臣も笑顔で迎える。セレストは勇者一行の一人、悲劇教団の司教、エルリックさんの娘だから親しみがあるのだろう。
「はじめまして。悲劇教団どうすればよかっ隊隊長カインと申します。以後お見知り置きを」
礼儀の正しい少年だった。落ち着きもある。悲劇教団と言うことを除けば、好印象だ。
俺たちも順々に自己紹介をすると、俺の次に藍華の番となった。カインは藍華の目を見上げ、上目遣いのまま。
「お綺麗な方ですね。僕の映画の女優になりませんか?」
俺は体が総毛立つ気がした。実際にハイドラの首が五つ増えた。
「ちょっと、カイン君。藍華はまだ学業がだな!」
「でも、もったいないです。初めて会った時から心引かれました!」
カインは敵だ。藍華を口説こうなんて、許さない。怒る俺の肩に大臣が手を置いた。諫めてくれているのか、同情なのか。俺は大臣の気持ちがようやく分かった。
自衛隊の施設は凛音がヒールで直した。ドラクに習ったから、建物を直すのは得意だろう。常に壊れかけの城を思い出しながら。
「大臣、今回の作戦について簡易な説明をお願いします」
「今回のダンジョンは具体的な場所は伏せるが、山林に出来た大きな穴だ。穴に川の水が流れ込み、滝となっている。その底から魔力の反応がある。恐らく、奇跡の破片がある」
知らぬ単語に俺は頭をひねる。エリカ大尉とリュセラは真剣な表情に変わった。
「始まりの魔法使いの遺産か、願いを叶える力があるという」
「奇跡の破片があるダンジョンは危険と、大臣から習いました。どのような危険が有るのですか?」
「奇跡の破片は触れたものに吸収され、体に入るとその者は強くなる。奇跡の破片の魔力を得ることが出来るからだ。例え魔物であろうとも」
「確かに強化された魔物は危険ですね、俺からしたら普通の魔物ですら危険な存在ですし」
俺の発言に大臣は俺をじっと見る。
「何か?」
「魔物みたいなのが喋っていると思ったら悠人君か、くれぐれもその姿で外出しないように」
「はい。基地が壊れてなければ、外では飲まないですが」
「その点はすまない。臆病者が騒ぎだしたものでな」
「すまない、悠人。過保護から凛音を解放したかったのでな」
また、二人がバチバチと睨み合い始めたので、俺はハイドラの頭を伸ばして二人を遮る。
「大臣たちも、やり過ぎないようにしてくださいね」
「そうだな。では今回の作戦の目的。奇跡の破片の回収並びに、ダンジョンの危険を排斥する。何か質問の有るものは挙手」
大臣が俺たちの方を見た。エリカ大尉とは話をしてあるから、俺たち外部の者への配慮だろう。
「では、質問させて貰います。悲劇教団の協力者とは?」
「そうだな。紹介しておこう。エルリックから指名された者と勝手に付いてきたものだそうだ」
大臣がアキラさんに指示を出し。小屋に呼び掛けると、中から二人が出てきた。一人はセレスト、俺を見ると手を振ってくれた。やや、釣られて俺も手を上げる。
そして、もう一人は男性と言うよりは、藍華や凛音よりは年下に見える少年だ。彼はリュックを背負っている。
「セレストです。本日はよろしくお願いします」
相変わらず、猫を被ったセレスト。麗音大臣も笑顔で迎える。セレストは勇者一行の一人、悲劇教団の司教、エルリックさんの娘だから親しみがあるのだろう。
「はじめまして。悲劇教団どうすればよかっ隊隊長カインと申します。以後お見知り置きを」
礼儀の正しい少年だった。落ち着きもある。悲劇教団と言うことを除けば、好印象だ。
俺たちも順々に自己紹介をすると、俺の次に藍華の番となった。カインは藍華の目を見上げ、上目遣いのまま。
「お綺麗な方ですね。僕の映画の女優になりませんか?」
俺は体が総毛立つ気がした。実際にハイドラの首が五つ増えた。
「ちょっと、カイン君。藍華はまだ学業がだな!」
「でも、もったいないです。初めて会った時から心引かれました!」
カインは敵だ。藍華を口説こうなんて、許さない。怒る俺の肩に大臣が手を置いた。諫めてくれているのか、同情なのか。俺は大臣の気持ちがようやく分かった。
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