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4章
交渉
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遺跡を進む俺たちは奪われた鍵を取り戻すために金色の帯、縦ロールを追いかけていた。
相手は風の魔法を用いて高速で移動している。
「凛音これを!」
俺は走りながらクラッカーを凛音に渡した。
「どの魔法?」
「猫だ! 走る速度を上げよう」
走りながらでは食べにくいので、一旦立ち止まる。俺には縦ロールの居場所がわかるから、それくらいの余裕はあると良いな……。相手が合流したらアウトだし。
手に持ったクラッカーを食べた俺たち。頭に猫の耳が生える。
「行っくよー!」
俺たちは走り出した。猫になったことにより、速度は上がり、みるみる縦ロールに追い付いていく。
「凛音、ここから先は別れて行動だ。俺が悲劇教団を引き付けるから、鍋を助けてくれ」
「いいよー。大事な仲間だもん」
「これも使え」
鞄から他のエンチャントお菓子を凛音に渡す。
凛音が離れるのを見てから俺は遺跡の先を見た。大きな部屋があり明かりがある。ここに縦ロールが居ることは分かっている。そして、悲劇教団と鍋も。
俺は真正面から部屋へと入った。そこには、周りを崖で囲まれた部屋があった。中央へと続く道と、その先に宝箱が置かれた中央の広い床。
そして、巨大なスクリーン? 悲劇教団たちと、鍋がその前に座っている。
「そこまでだ悲劇教団!」
「誰だ!?」
「鍵を返して貰うぞ!」
ネリーが立ち上がり俺を見る。
「本当に誰?!」
「あ、魔物の姿だから分からないか。俺は悠人」
「リュセラ様と一緒に居た方ですね」
立ち上がったネリーがふらついたので、俺は走り寄って支えた。敵なのだが、なぜ弱っている?
「ありがとうございます……」
「何か有ったのか? 体調とか悪いのか」
「いえ、あれを……」
ネリーはスクリーンを指差した。そこには、巨大なサメと巨大ロボがバトルする姿が。一見スゴい映像だが、良くみれば着ぐるみっぽいサメとロボだった。
「つまらない映画……。でも、客にだけ見せてるんじゃないのか?」
「それじゃ可哀想じゃないですか。だから、私たちも見るんです」
悲劇教団たちと鍋の手には魔石が握られている。魔力集めも行っているのだ。自分達も弱ってしまうのに。
「悠人様、あなたが来たと言うことは、回復の杖を得るためですね」
ネリーはふらふらと俺から離れて、向き合った。
彼女もそこまで悪人に思えなかった。だから、交渉してみたくなった。
「そうだ。けど、ネリー。俺たちは回復の杖で家族を助けたいだけだ。共存出来るかもしれない」
「いいえ、私の目的は回復の杖を破壊すること。回復の杖に希望を抱いた人々から魔力を奪うためです。だから戦いましょう」
ネリーから告げられた目的は回復の杖を破壊する。俺たちは彼女の非道な行いを止めなければならない。
でも、彼女は優しすぎる気がした。義理堅さもある。この違和感を抱えながら俺は戦うしかない。弱っているので攻撃するのを躊躇うけど。
相手は風の魔法を用いて高速で移動している。
「凛音これを!」
俺は走りながらクラッカーを凛音に渡した。
「どの魔法?」
「猫だ! 走る速度を上げよう」
走りながらでは食べにくいので、一旦立ち止まる。俺には縦ロールの居場所がわかるから、それくらいの余裕はあると良いな……。相手が合流したらアウトだし。
手に持ったクラッカーを食べた俺たち。頭に猫の耳が生える。
「行っくよー!」
俺たちは走り出した。猫になったことにより、速度は上がり、みるみる縦ロールに追い付いていく。
「凛音、ここから先は別れて行動だ。俺が悲劇教団を引き付けるから、鍋を助けてくれ」
「いいよー。大事な仲間だもん」
「これも使え」
鞄から他のエンチャントお菓子を凛音に渡す。
凛音が離れるのを見てから俺は遺跡の先を見た。大きな部屋があり明かりがある。ここに縦ロールが居ることは分かっている。そして、悲劇教団と鍋も。
俺は真正面から部屋へと入った。そこには、周りを崖で囲まれた部屋があった。中央へと続く道と、その先に宝箱が置かれた中央の広い床。
そして、巨大なスクリーン? 悲劇教団たちと、鍋がその前に座っている。
「そこまでだ悲劇教団!」
「誰だ!?」
「鍵を返して貰うぞ!」
ネリーが立ち上がり俺を見る。
「本当に誰?!」
「あ、魔物の姿だから分からないか。俺は悠人」
「リュセラ様と一緒に居た方ですね」
立ち上がったネリーがふらついたので、俺は走り寄って支えた。敵なのだが、なぜ弱っている?
「ありがとうございます……」
「何か有ったのか? 体調とか悪いのか」
「いえ、あれを……」
ネリーはスクリーンを指差した。そこには、巨大なサメと巨大ロボがバトルする姿が。一見スゴい映像だが、良くみれば着ぐるみっぽいサメとロボだった。
「つまらない映画……。でも、客にだけ見せてるんじゃないのか?」
「それじゃ可哀想じゃないですか。だから、私たちも見るんです」
悲劇教団たちと鍋の手には魔石が握られている。魔力集めも行っているのだ。自分達も弱ってしまうのに。
「悠人様、あなたが来たと言うことは、回復の杖を得るためですね」
ネリーはふらふらと俺から離れて、向き合った。
彼女もそこまで悪人に思えなかった。だから、交渉してみたくなった。
「そうだ。けど、ネリー。俺たちは回復の杖で家族を助けたいだけだ。共存出来るかもしれない」
「いいえ、私の目的は回復の杖を破壊すること。回復の杖に希望を抱いた人々から魔力を奪うためです。だから戦いましょう」
ネリーから告げられた目的は回復の杖を破壊する。俺たちは彼女の非道な行いを止めなければならない。
でも、彼女は優しすぎる気がした。義理堅さもある。この違和感を抱えながら俺は戦うしかない。弱っているので攻撃するのを躊躇うけど。
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