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3章

旅の準備

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 城で豪華な食事を皆揃って頂いた。テーブルに並ぶ異世界の料理、スパイスの香りに酔いしれる。

「とうとう、旅に出るのね!」

「そうだな、突っ込んで全部取り返そうぜ!」

「いや、今日は寝て明日準備をしてから旅立とう」

「そうね。悠人の言うようにしましょう」

「えー、すぐ戦いたいのに!」

「凛音、俺たちは助けに行くんだ。リュセラたちと、自分の家族を助ける。回復の杖を得るのを忘れたか?」

「お前ら、回復の杖を使おってのか?」

 そうだった。回復の杖はドラクの国のお宝。勝手に使おうなんて、許されないこと。

「俺たちは家族を治すために旅に出たんだ。ドラクがダメと言うなら、他の方法を探す」

「良いじゃねえか、ただし、帰しにこい」

「ありがとう。来てもバトルはしないからな」

「けちなヤローだな。良いけどよ」

「じゃあ、今日は解散。皆しっかり休んで明日準備をしよう」

 夕食を終えて宿に戻る。俺たちは体を綺麗にして、寝床に付いた。俺意外はな。体は火の精霊スライム、ドライアドとなっているためだ。

 立ち往生している俺にセレストが声をかけてきた。

「悠人、眠れないの?」

「見たとおりな。宿を燃やすわけにも行かないし」

「そう、じゃあこれ」
 
 セレストは小さなお守りを渡してきた。俺の世界の神社で販売しているお守りと同じだ。

「なぜこれを?」

「鏡見てきて、私は寝るから」

 俺は部屋の鏡に近づいて、自分の姿を確認する。そこには元通りの俺かいた。お守りには魔法を打ち消す効果があったのだ。この前セレストが言っていた、儀式による品物なのか。

「これ、もっと早く渡してくれよ」

 文句は誰にも聞こえることはなく。俺もベッドで眠り、翌朝となる。

 俺は快適な朝を迎えた。凛音もセレストもすでに起きて各々の過ごし方をしている。

「あ、起きた。おはよう悠人」

「おはよう。凛音、セレストも」

「おはよう。今日はよく眠れたみたいね」

「このお守りのお陰だな。翌日にも欲しかったが」

「ごめん、ごめん。何か忙しくて有耶無耶になってたから」

 俺が朝の支度を終えて。三人で朝食を摂った後に、城へと向かった。

 道中で旅の準備の買い物をした。袋いっぱいの金貨はまだ減らない。使い放題ではないが、俺は金持ちの気分だった。現実では使えないお金なのにな。

 そこそこ荷物が増えたが、問題なく歩ける。城の門を抜けてドラクのいる玉座に着いた。

「来たな。それじゃ早速……」

 俺はドラクのいつもの言動を思い出して、牽制する。

「バトルはしないぞ」
「鍛冶屋へいこうぜ」

 同時の発言だった。

「珍しいな、ドラクがバトルって言わない」

「そりゃな、今から戦いに行くんだろ」

「助けに行くんだからな!」

 こうして、ドラクの合流し、鍛冶屋へ向かった。

 鍛冶屋の工房は燃え盛る炉火と金属の香りで満ちている。壁にはさまざまな大きさのハンマーや鍬、そして鋼鉄が掛けられている。

 大きな作業台には鍛えられた鍛冶職人が立ち、熱い鉄を熟練した手つきで形作っていく。周囲には作業に必要な道具が並び、壁には完成した武器が飾られている。

「すっごーい。武器がいっぱい!」

「それと、調理用品もあるぞ!」

「珍しく悠人のテンションが高いね」

「料理好きなんだ」

「あー、納得」

 武器にならんで、調理器具などが陳列されている。

 鍛冶職人の女性がドラクに気がつき、近づいてきた。意思の強そうな瞳をした女性だ。

「王さま、ようこそ。城以外なら何でも作ってやる」

「城は嫌なんだ」

「ガキの頃から作らされたからね」

「昨日頼んだ品は出来てるか?」

「もちろん。あの大剣、よほど切れないものを切ったんだね魔法でベタベタだったから研ぎ落としておいた」

「ああ、またそいつともバトルしたいかんな。これはお代だ」

 ドラクは袋に入れた金貨を渡した。かなりの量だ。

「そんなに金かかるのか?」

「ああ、魔力の有る道具や擬人化した道具は高額な修理費を払う。鍛冶職人の中でも選りすぐりなのが彼女だ」

「お褒めに預かり光栄だねえ」

「どんな道具でも直せるの!」

「そうさね。私は魔法使いでもあるから大抵のものなら。ま、そんときに持ってきな。莫大な金がかかるがね」

 鍛冶屋を後にした俺たち。ドラクは体に吊るしてある縮小された世界樹の斧と大剣を持ち。 

 凛音はいつもの大きなリュック。

 セレストは何も持っていないが、体のどこかに収納している。

「じゃあ、行こう! リュセラたちを助けに」

「ねえ、悠人。荷物減らそっか」

「なぜだ? 今後必要だろ、食料とか色々」

「そうだけど、持ちすぎ」

「その通りだな」

「限度があるでしょ」

 何故だ、俺はいつもの鞄に凛音に借りたリュック。その上に拡張鞄を幾つも付けており、後ろから見たら俺の足しか見えないだけなのに。
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