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3章
城へ行こう
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借りた宿の部屋で俺たちは、昼飯を食べている。修行から帰ってきた凛音とリュセラは疲れている様子だ。凛音は楽しそうだが、リュセラの疲労が見てとれる。
「頑張ったみたいだな、二人とも」
「うん、取り敢えず基礎の魔法は覚えたから。軽い攻撃魔法に武器強化とか」
「むしろ、悠人の方が頑張ったみたいだな」
リュセラは俺の頭に視線を向けた。角やら耳やらいっぱい付いているから無理もない。
凛音の興味津々な目も仕方がないだろう。メイドが二人ほど俺に付いている角を支えてくれている。申し訳ない気持ちからか、俺はシナモンを掛けすぎないようにしている。掛けないのは無理だ。
「俺なりに戦う方法を見つけた、エンチャントお菓子で魔法を使う」
「いかれた発想だが、悠人を見ればわかる。腕力が上がっているだろ?」
「そうだな、さっきも宿のドアノブを壊したところだ」
「危険すぎ! でも、これで皆で戦えるね」
「となれば。そろそろ、謁見してみるか」
「王さまのところに行くのか?」
「付け焼き刃だが、あいつの事だから傷つけられる事もない」
「戦うんだよな? 怪我とかするはず」
「あいつはヒーラーなんだ。斧を担いだな」
「それは本当にヒーラー?」
「永遠に戦うためにヒールを使うんだと」
「バーサーカーだろ……」
「いい修行にもなる。勝てば地図と鍵、出口を教えて貰えるから行くだけ得だ」
「私も連れてってくれます?」
発言したのはセレストだった。
「珍しいな、セレストが付いてくるなんて」
「興味があるの、王さまに」
「戦いになるかもしれないぞ?」
「望むところ、たまには役に立ってあげます」
「勝手に付いてくればいい。お前が戦う前に終わらせてやる」
俺たちは昼食を終えて、身支度を整えると宿を出た。
リュセラの道具たちはかなり大勢だったから時間が掛かるかと思われたが一瞬で片付いた。むしろ調味料とかだけの俺が一番時間掛かったのだが。調理もしたしな。
町を中央へと進む。遠くに見える城に近付くほどに、建物は大きくなった。都会らしい町だが、やはり入り口から漏れる光る鉱石は変わらず温かい光が灯っている。
人の流れが多い大通りを抜けた辺りで、城の城門に着いた。前には大勢の門番が立っている。その中の一人が、俺たちに気がつくと、こちらへ来た。
「城に何かご用か?」
門番の騎士は笑顔で問いかけたが、腰の剣に手を掛けている。
「怪しいものではないですよ」
「その頭で怪しくないと?」
「これは魔法でして」
「それは分かります。家の息子もエンチャントお菓子の食べ過ぎでそうなる時有りますから」
「一般的なのか、これ……」
「不本意だが、僕が来たと伝えてくれ」
「リュセラさまのお連れさんでしたか。いつでも連れて来いと指示されてます。来てくださったのは初めてですが」
俺たちは城門の前に案内された。頑丈そうな扉がゆっくりと開き、中へと招かれる。俺が通ろうとしたら何かに衝突して弾かれた。
「なんで?!」
「角かー。悠人見て!」
「確かに水牛の角だから横長だったな……」
横向きで入ればと、俺が体の向きを変えた瞬間に兵士が一人弾き飛ばされていた。
「ぐう、なんと言う怪力。これは王も喜ばれそう……」
「すみません! 大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄った俺はギギギッと、何か固いものを削る音に気がついた。
横を見れば頑丈そうな鉄の扉に放物線みたいな曲線が!
「ギャァァ、ごめんなさい!!」
弁償とか言われたらどうしよう。
「平気ですよ、魔法で直せますから」
「ありがとうございます。失礼の無いように気を付けます!」
俺は急いで門の中に入った。皆が待っていてくれた。案内の騎士に連れられて進んでいく。門の中は広く思ったよりも騎士の数が多い。
目の前には大きな城がある。リュセラが先頭に立った。いつも冒険では凛音が前を歩くのに。
城の扉に立った瞬間、扉が突き破られ斧が飛んできた。リュセラが片手で斧を受け止める。破れた扉の中に少年が立っている。斧は茶色く模様がある、素材は鉄ではない何かだ。
彼は筋肉質な少年で上半身ははだけていて、幾つかの金属の飾りを付けている。飾りは剣や斧の形をしていた。
「待っていたぜ、リュセラ」
「そんなの頼んだ覚えはないぞ」
「お前からはな。俺が頼んだの忘れたか?」
「再戦したいだろ」
「ああ、やりたいね。じゃあやろうか!」
リュセラは背負った鞄からお玉を取り出した。一瞬で王さまに接近しお玉を振り下ろす。王さまは飾りの一つをむしり取り投げた。飾りは斧に変身しリュセラを弾き飛ばす。
「強くなったな、ドラク」
「上から言うな!」
飛ばされた状態のリュセラは何かを投げつけた。それは竹串。ドラクが回避すると城の床に突き刺さった
「すごい! アーツを使いこなしてるね」
「ああ、百均製なのに」
「リュセラ百均好きなの……?」
着地したリュセラは鞄から長細い棒を取り出してドラクに接近して振り上げ、下げ回転させながら連続攻撃を繰り返す。
「あれは!」
「根棒術だ!」
「いや、百均の突っ張り棒」
「カッコ良さが台無しー!」
ドラクも新しい斧を出して受け流す。するとリュセラは突っ張り棒の先端を向けた。先端が伸びドラクの腹に強烈な突きが辺り吹っ飛ばされる、
「如意棒?!」
「面白い使い方だね。元々伸びる物だから、機能拡張したんだ」
吹っ飛ばされたドラクは俺達の方へ手を伸ばした。すると、側に落ちていた斧が浮かびドラクの方へと飛んでいく。そして、リュセラの背中へと。
「危ない!」
リュセラは突っ張り棒を背中に回して斧を弾く。弾かれた斧は砕けた。散った欠片から何かが伸びてリュセラに絡み付いた。
「木の根だと!」
「おうよ。世界樹から作った大斧だ」
暴れたリュセラだが、根っこが千切られる端から伸びて外すことが出来ない。
「魔法でも使うか。リュセラ?」
「止めておこう。一帯を壊したらお前でも直せないだろ、ドラク」
「うっし。俺の勝ちだ」
「リュセラが負けた……!」
「私たちの中で最強なのに」
「最強、ねえ……」
敗れたリュセラの拘束が解けた。王さまはリュセラがに触れると、細かな傷などが癒えていく。
そして、ドラクは俺たちを見た。勝たなければ回復の杖は探せない。やるしかないんだ。リュセラに勝てない俺だとしても。
「頑張ったみたいだな、二人とも」
「うん、取り敢えず基礎の魔法は覚えたから。軽い攻撃魔法に武器強化とか」
「むしろ、悠人の方が頑張ったみたいだな」
リュセラは俺の頭に視線を向けた。角やら耳やらいっぱい付いているから無理もない。
凛音の興味津々な目も仕方がないだろう。メイドが二人ほど俺に付いている角を支えてくれている。申し訳ない気持ちからか、俺はシナモンを掛けすぎないようにしている。掛けないのは無理だ。
「俺なりに戦う方法を見つけた、エンチャントお菓子で魔法を使う」
「いかれた発想だが、悠人を見ればわかる。腕力が上がっているだろ?」
「そうだな、さっきも宿のドアノブを壊したところだ」
「危険すぎ! でも、これで皆で戦えるね」
「となれば。そろそろ、謁見してみるか」
「王さまのところに行くのか?」
「付け焼き刃だが、あいつの事だから傷つけられる事もない」
「戦うんだよな? 怪我とかするはず」
「あいつはヒーラーなんだ。斧を担いだな」
「それは本当にヒーラー?」
「永遠に戦うためにヒールを使うんだと」
「バーサーカーだろ……」
「いい修行にもなる。勝てば地図と鍵、出口を教えて貰えるから行くだけ得だ」
「私も連れてってくれます?」
発言したのはセレストだった。
「珍しいな、セレストが付いてくるなんて」
「興味があるの、王さまに」
「戦いになるかもしれないぞ?」
「望むところ、たまには役に立ってあげます」
「勝手に付いてくればいい。お前が戦う前に終わらせてやる」
俺たちは昼食を終えて、身支度を整えると宿を出た。
リュセラの道具たちはかなり大勢だったから時間が掛かるかと思われたが一瞬で片付いた。むしろ調味料とかだけの俺が一番時間掛かったのだが。調理もしたしな。
町を中央へと進む。遠くに見える城に近付くほどに、建物は大きくなった。都会らしい町だが、やはり入り口から漏れる光る鉱石は変わらず温かい光が灯っている。
人の流れが多い大通りを抜けた辺りで、城の城門に着いた。前には大勢の門番が立っている。その中の一人が、俺たちに気がつくと、こちらへ来た。
「城に何かご用か?」
門番の騎士は笑顔で問いかけたが、腰の剣に手を掛けている。
「怪しいものではないですよ」
「その頭で怪しくないと?」
「これは魔法でして」
「それは分かります。家の息子もエンチャントお菓子の食べ過ぎでそうなる時有りますから」
「一般的なのか、これ……」
「不本意だが、僕が来たと伝えてくれ」
「リュセラさまのお連れさんでしたか。いつでも連れて来いと指示されてます。来てくださったのは初めてですが」
俺たちは城門の前に案内された。頑丈そうな扉がゆっくりと開き、中へと招かれる。俺が通ろうとしたら何かに衝突して弾かれた。
「なんで?!」
「角かー。悠人見て!」
「確かに水牛の角だから横長だったな……」
横向きで入ればと、俺が体の向きを変えた瞬間に兵士が一人弾き飛ばされていた。
「ぐう、なんと言う怪力。これは王も喜ばれそう……」
「すみません! 大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄った俺はギギギッと、何か固いものを削る音に気がついた。
横を見れば頑丈そうな鉄の扉に放物線みたいな曲線が!
「ギャァァ、ごめんなさい!!」
弁償とか言われたらどうしよう。
「平気ですよ、魔法で直せますから」
「ありがとうございます。失礼の無いように気を付けます!」
俺は急いで門の中に入った。皆が待っていてくれた。案内の騎士に連れられて進んでいく。門の中は広く思ったよりも騎士の数が多い。
目の前には大きな城がある。リュセラが先頭に立った。いつも冒険では凛音が前を歩くのに。
城の扉に立った瞬間、扉が突き破られ斧が飛んできた。リュセラが片手で斧を受け止める。破れた扉の中に少年が立っている。斧は茶色く模様がある、素材は鉄ではない何かだ。
彼は筋肉質な少年で上半身ははだけていて、幾つかの金属の飾りを付けている。飾りは剣や斧の形をしていた。
「待っていたぜ、リュセラ」
「そんなの頼んだ覚えはないぞ」
「お前からはな。俺が頼んだの忘れたか?」
「再戦したいだろ」
「ああ、やりたいね。じゃあやろうか!」
リュセラは背負った鞄からお玉を取り出した。一瞬で王さまに接近しお玉を振り下ろす。王さまは飾りの一つをむしり取り投げた。飾りは斧に変身しリュセラを弾き飛ばす。
「強くなったな、ドラク」
「上から言うな!」
飛ばされた状態のリュセラは何かを投げつけた。それは竹串。ドラクが回避すると城の床に突き刺さった
「すごい! アーツを使いこなしてるね」
「ああ、百均製なのに」
「リュセラ百均好きなの……?」
着地したリュセラは鞄から長細い棒を取り出してドラクに接近して振り上げ、下げ回転させながら連続攻撃を繰り返す。
「あれは!」
「根棒術だ!」
「いや、百均の突っ張り棒」
「カッコ良さが台無しー!」
ドラクも新しい斧を出して受け流す。するとリュセラは突っ張り棒の先端を向けた。先端が伸びドラクの腹に強烈な突きが辺り吹っ飛ばされる、
「如意棒?!」
「面白い使い方だね。元々伸びる物だから、機能拡張したんだ」
吹っ飛ばされたドラクは俺達の方へ手を伸ばした。すると、側に落ちていた斧が浮かびドラクの方へと飛んでいく。そして、リュセラの背中へと。
「危ない!」
リュセラは突っ張り棒を背中に回して斧を弾く。弾かれた斧は砕けた。散った欠片から何かが伸びてリュセラに絡み付いた。
「木の根だと!」
「おうよ。世界樹から作った大斧だ」
暴れたリュセラだが、根っこが千切られる端から伸びて外すことが出来ない。
「魔法でも使うか。リュセラ?」
「止めておこう。一帯を壊したらお前でも直せないだろ、ドラク」
「うっし。俺の勝ちだ」
「リュセラが負けた……!」
「私たちの中で最強なのに」
「最強、ねえ……」
敗れたリュセラの拘束が解けた。王さまはリュセラがに触れると、細かな傷などが癒えていく。
そして、ドラクは俺たちを見た。勝たなければ回復の杖は探せない。やるしかないんだ。リュセラに勝てない俺だとしても。
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