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0.プロローグ
しおりを挟む「お前はいつもそうだ」
誰かが怒っている。
そこは知っている気がするのに、見覚えの無い不思議な場所だった。
怒っているその人はそこにいるのに不思議なことに上手く認識できない。
顔が隠れているとか、シルエットになっているとかそういうことでもないのに、見えているのに認識できない不思議な体験だった。
夢のように意識がはっきりとしない。
理屈で説明できないその現象はなんとも気持ちが悪く、一刻もここから早く逃げたい気持ちに駆られた。
けれども身体は俺の意思とは裏腹に動くことは無い。
まるで身体と心がバラバラになったような恐怖。
「他人の言うことを疑わずバカ正直に信じて、騙されて。そんなお前が人々を救う?」
その声も知っている気がするのに聞き覚えは無い不思議な気持ちにさせられる声であった。
人々を救うなんて、そんなこと考えたこともない。
第1俺は学力は並より少し上くらいで、友達みたいに一流大学に行けるほどの頭はない。
運動はできるけどそれだけ。
しかも柔道やボクシングなどは人を傷つけてしまいそうで怖くて出来ない。
「お前は誰も何も救えない」
今度は誰も救えない。
この人はなんの話しをしているんだろう。
俺は不真面目では無いけど正義感が特別強い方でもないし、自分の手の届く範囲の人が大切で、それ以外の人も傷つけようとは思わなくても、人々を救う職につきたいなんて考えたこともなかった。
自分には‘’何も出来ない‘’って知っているから。
例えば国防兵なんかにはなれそうにない。
だから人々を救おうなんて崇高な事は考えたことがない。
「だからおとなしくそこに居ろ」
その声はただ静かに怒りを孕んでいた。
その理不尽な怒りに反発よりも不安が勝り叫ぶように問いかけると今まで強ばっていた身体の力が抜けて声が出た。
「待って、なんの話しをしてるんだよ。
おとなしくってどういう……」
「何もするな、ただお前はそっちで凡庸に生きればそれでいい」
︎︎「そっちって、何処の話をしてるんだよ!
あんた誰なんだよ、俺の何を知ってるって……」
先程まで動かなかった身体が嘘のように動いて俺は目の前の男に駆け寄るように足を動かした。
けれどその距離は不思議な事に縮まっている様子はない。
「今日いかなることがあろうと‘’なにもするな‘’」
「……何も、するな?」
男の声は徐々に小さく遠くなっていく。
まだ聞きたいことがあるのにどんどん離れていく。
「お前は誰も救えない」
「聞こえない!
なんて言ってるんだ?
待って、もっと分かりやすく説明を……」
「お前は……」
聞かなければいけないのに男の声は俺の耳には届かない。
まるで何かに邪魔されるように、男の声は聞こえなくなった。
「さらなる絶望しか生まない」
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