落ちこぼれは消えました。

白雨

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変わってしまった エシリア視点

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私は何かを間違えたんでしょうか。

あの人が転送陣のある貴族の家に移動する前、私はあの人に声をかける勇気がなかったのです。あの人が、苦しそうに歩いている時に私なんかが何かできるわけがないと話しかけることができなかったから…

転送陣の故障で行方不明になった…と私は聞きました。噂では、修道院が嫌で逃げ出したと言うのもあるそうです。そっちの方がどれほどいいか…


死んだんですか…私の憧れが…

昨日、聖女様がシャル様を探しに行くと家を出て行きました。私も行きたかったのですが足手まといと言われてしまいました。

シャル様の部屋に久しぶりに入りました。
その日以来生活がガラリと変わりました。

昔からあるシャル様のぬいぐるみ、魔道書の数々、あの人らしい質素な綺麗な部屋、陽が沈む方向に開いた窓、血と涙に濡れた日記帳、引き出しの中の血濡れのナイフ。



あの人が聖女の力を使えないことを初めて知った。才能が開花するたびにあの人が苦しんで行くのがこの日記帳には書いてあった。



毎晩毎晩、魔力を枯渇させて寝ていたんですか。私も一度だけ枯渇したことがあります。
あんなに辛いことを毎晩していたんですか。
私は朝起きて動けないほど体が痛んだのにあなたはいつも通りにふるまってたんですか。

その努力はただ聖女様に褒めて欲しかったからだったんですか。褒めて欲しくてできるはずがないと自分で理解しながらさらに努力していたんですか。できないならうちあければいいじゃないですか。

私は聖女の力がないけどこれだけ努力したんですと、聖女様は優しい人でさらにあなたの母親なんですから褒めてくれるに決まってるじゃないですか。





この日から私は毎晩、魔力を枯渇させました。毎日が辛くて苦しくてけどいつも通りにふるまって、あなたの様に笑って努力して。


あの日以来聖女様が壊れてしまいました。

聖女様はあなたが必要なんですよ、聖女様でも人ですから、1人の母親なんですから、私には見えないあなたがみえるみたいなんです。

私もあなたに会いたいです。私には聖女様を治すことができません。あなたならできるんじゃないですか。私にかかったあなたの呪いも解けるんじゃないですか。

私を孤児から救ってくれたあなたと聖女様がいないと私も苦しいんです。

私が壊れる前に一度でいいから会いにきてもらえませんか。お願いします。  シャル様
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