コレは私が騎士になる話で有る

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ボク、ウチ

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ユーラチカ視点


______ピチョン

何処かで水が滴る音がした。

ここは何処?
ゆっくりと目を開ければ、目の前に人がいた。
「う、うわああああああっ!?」
「ひゃあああぁぁぁあ!?」
驚いて声を上げれば、相手も驚いたようで大声を出した。

見覚えのない人で慌てて距離を置こうとすれば、ドサリと私が落ちた。
「だ、だ、大丈夫ですかっ!?」
大声を出した後、放心状態だった女性もハッとしたように声をかけてきた。

「べつに、大丈夫だ……し?」
どうやら、ベットから落ちたらしい。それを知ったのは女性に声をかけられてからで、恥ずかしくなってたとうとした。

が、立てない。
身体が思ったように動かないのだ。
「おっ!ようやく起きたかチカ。」
頭中にハテナが飛び交って、何をどうすればいいのか分からずにいたとき。扉からギルバートが入ってきた。 

「兄様!動いて大丈夫なのですか?」
もう一人の女性も安心したような、心配したような顔をしてギルバートを出迎えていた。
………ん?『兄様』?
「セリ、看病ありがとう。お前も一旦休めよ。」
いつも私に見せないような優しい顔をしたギルバートは、女性の頭を人なでしたあと部屋を出ていくように促した。

顔立ちは結構似てるな。
じっ、とそのやり取りを見ていれば最後に女性はこちらを振り向いてきた。
「チカちゃんも、元気になったらお話しようね?」
「え、あ、……で、出来るならっ!」



彼女が出ていき、ギルバートと私の二人になればツカツカと近寄ってきた。
そのままおでこを触り、手首を触り、何も異常がないことを確認した。
そして私を片手で持ち上げて、ボスリとソファーに身を沈めた。
「あー、今のは俺の5つ下の妹。セリってんだ。」

何を思ったのか、さっきの女性の自己紹介をし始めて困った様に眉を下げた。

「生まれつき魔力量が少なくてな、あんまり外で遊べねぇーんだ。仲良くしてやってくれ。」
「……ふーん。」
ギルバートの5つ下となると、今年で23歳か?
結婚指輪もしてなかったし、よくゆう『行き遅れ』ってやつか。

「……で、ウチはどれぐらい寝てたの?」
「7日だな。寝たきり状態だったから、筋肉が訛ってんだよ。」
なるほど。だから立てなかったのか。

今もギルバートの膝にのせられて、親子の様に話しているかの様な状態だ。
私の年齢が10歳だから、本当にそう見えるかもしれない。





「今回の件で、忌み子であるユーラチカの存在が公になった。」
先に話を切り出したのは、ギルバートだった。そこにある表情は、いつもとは違う。危機を察して焦ってる。

ウチの存在がこの街の中に隠されているのは分かってたけど、バレると不味いのか?
何をそこまで焦っているのか分からずに、首を傾げると頭を撫でられた。

「忌み子は危ないが、飼い馴らせば自分達の利益になるんじゃないかと考えている奴がいんだよ。」
利益に……?




______ボクはユーラチカのお願いしかキカナイよ?
「___アッ」
その瞬間だけ、自分の周りの空気が凍った。
誰の声がわからない。そもそも"誰"と限定して良いのかさえ分からない。

「ん?どうしたユーラチカ。」
「……なんか、声が聞こえる。」



______ボクが居るヨ?
やめて、来ないで。

______ダレも信じられないデショ?
そんなこと無い。ギルバートがここにいる。一人じゃない。

______そのギルバートも、この前死にカケタノニ?
今は生きてるもん。

______ユーラチカが居るせいでこの前、死にカケタのに?
______タスケテクレルの?


「消えろっ!」
大きな声で、威嚇した。ブワリと私を中心に風がはためく。
魔力が暴走しかけた。

「はぁ、はぁ、……っ、何で。」
こんな声、聞いたことない。
今はもう聞こえないけど、後ろにいる。
後ろに居る気がしてならない。




______ボクガ居るヨ?
そう言って、笑ってる、ユーラチカウチ

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