6 / 8
ボク、ウチ
しおりを挟む
ユーラチカ視点
______ピチョン
何処かで水が滴る音がした。
ここは何処?
ゆっくりと目を開ければ、目の前に人がいた。
「う、うわああああああっ!?」
「ひゃあああぁぁぁあ!?」
驚いて声を上げれば、相手も驚いたようで大声を出した。
見覚えのない人で慌てて距離を置こうとすれば、ドサリと私が落ちた。
「だ、だ、大丈夫ですかっ!?」
大声を出した後、放心状態だった女性もハッとしたように声をかけてきた。
「べつに、大丈夫だ……し?」
どうやら、ベットから落ちたらしい。それを知ったのは女性に声をかけられてからで、恥ずかしくなってたとうとした。
が、立てない。
身体が思ったように動かないのだ。
「おっ!ようやく起きたかチカ。」
頭中にハテナが飛び交って、何をどうすればいいのか分からずにいたとき。扉からギルバートが入ってきた。
「兄様!動いて大丈夫なのですか?」
もう一人の女性も安心したような、心配したような顔をしてギルバートを出迎えていた。
………ん?『兄様』?
「セリ、看病ありがとう。お前も一旦休めよ。」
いつも私に見せないような優しい顔をしたギルバートは、女性の頭を人なでしたあと部屋を出ていくように促した。
顔立ちは結構似てるな。
じっ、とそのやり取りを見ていれば最後に女性はこちらを振り向いてきた。
「チカちゃんも、元気になったらお話しようね?」
「え、あ、……で、出来るならっ!」
彼女が出ていき、ギルバートと私の二人になればツカツカと近寄ってきた。
そのままおでこを触り、手首を触り、何も異常がないことを確認した。
そして私を片手で持ち上げて、ボスリとソファーに身を沈めた。
「あー、今のは俺の5つ下の妹。セリってんだ。」
何を思ったのか、さっきの女性の自己紹介をし始めて困った様に眉を下げた。
「生まれつき魔力量が少なくてな、あんまり外で遊べねぇーんだ。仲良くしてやってくれ。」
「……ふーん。」
ギルバートの5つ下となると、今年で23歳か?
結婚指輪もしてなかったし、よくゆう『行き遅れ』ってやつか。
「……で、ウチはどれぐらい寝てたの?」
「7日だな。寝たきり状態だったから、筋肉が訛ってんだよ。」
なるほど。だから立てなかったのか。
今もギルバートの膝にのせられて、親子の様に話しているかの様な状態だ。
私の年齢が10歳だから、本当にそう見えるかもしれない。
「今回の件で、忌み子であるユーラチカの存在が公になった。」
先に話を切り出したのは、ギルバートだった。そこにある表情は、いつもとは違う。危機を察して焦ってる。
ウチの存在がこの街の中に隠されているのは分かってたけど、バレると不味いのか?
何をそこまで焦っているのか分からずに、首を傾げると頭を撫でられた。
「忌み子は危ないが、飼い馴らせば自分達の利益になるんじゃないかと考えている奴がいんだよ。」
利益に……?
______ボクはユーラチカのお願いしかキカナイよ?
「___アッ」
その瞬間だけ、自分の周りの空気が凍った。
誰の声がわからない。そもそも"誰"と限定して良いのかさえ分からない。
「ん?どうしたユーラチカ。」
「……なんか、声が聞こえる。」
______ボクが居るヨ?
やめて、来ないで。
______ダレも信じられないデショ?
そんなこと無い。ギルバートがここにいる。一人じゃない。
______そのギルバートも、この前死にカケタノニ?
今は生きてるもん。
______ユーラチカが居るせいでこの前、死にカケタのに?
______タスケテクレルの?
「消えろっ!」
大きな声で、威嚇した。ブワリと私を中心に風がはためく。
魔力が暴走しかけた。
「はぁ、はぁ、……っ、何で。」
こんな声、聞いたことない。
今はもう聞こえないけど、後ろにいる。
後ろに居る気がしてならない。
______ボクガ居るヨ?
そう言って、笑ってる、ユーラチカ。
______ピチョン
何処かで水が滴る音がした。
ここは何処?
ゆっくりと目を開ければ、目の前に人がいた。
「う、うわああああああっ!?」
「ひゃあああぁぁぁあ!?」
驚いて声を上げれば、相手も驚いたようで大声を出した。
見覚えのない人で慌てて距離を置こうとすれば、ドサリと私が落ちた。
「だ、だ、大丈夫ですかっ!?」
大声を出した後、放心状態だった女性もハッとしたように声をかけてきた。
「べつに、大丈夫だ……し?」
どうやら、ベットから落ちたらしい。それを知ったのは女性に声をかけられてからで、恥ずかしくなってたとうとした。
が、立てない。
身体が思ったように動かないのだ。
「おっ!ようやく起きたかチカ。」
頭中にハテナが飛び交って、何をどうすればいいのか分からずにいたとき。扉からギルバートが入ってきた。
「兄様!動いて大丈夫なのですか?」
もう一人の女性も安心したような、心配したような顔をしてギルバートを出迎えていた。
………ん?『兄様』?
「セリ、看病ありがとう。お前も一旦休めよ。」
いつも私に見せないような優しい顔をしたギルバートは、女性の頭を人なでしたあと部屋を出ていくように促した。
顔立ちは結構似てるな。
じっ、とそのやり取りを見ていれば最後に女性はこちらを振り向いてきた。
「チカちゃんも、元気になったらお話しようね?」
「え、あ、……で、出来るならっ!」
彼女が出ていき、ギルバートと私の二人になればツカツカと近寄ってきた。
そのままおでこを触り、手首を触り、何も異常がないことを確認した。
そして私を片手で持ち上げて、ボスリとソファーに身を沈めた。
「あー、今のは俺の5つ下の妹。セリってんだ。」
何を思ったのか、さっきの女性の自己紹介をし始めて困った様に眉を下げた。
「生まれつき魔力量が少なくてな、あんまり外で遊べねぇーんだ。仲良くしてやってくれ。」
「……ふーん。」
ギルバートの5つ下となると、今年で23歳か?
結婚指輪もしてなかったし、よくゆう『行き遅れ』ってやつか。
「……で、ウチはどれぐらい寝てたの?」
「7日だな。寝たきり状態だったから、筋肉が訛ってんだよ。」
なるほど。だから立てなかったのか。
今もギルバートの膝にのせられて、親子の様に話しているかの様な状態だ。
私の年齢が10歳だから、本当にそう見えるかもしれない。
「今回の件で、忌み子であるユーラチカの存在が公になった。」
先に話を切り出したのは、ギルバートだった。そこにある表情は、いつもとは違う。危機を察して焦ってる。
ウチの存在がこの街の中に隠されているのは分かってたけど、バレると不味いのか?
何をそこまで焦っているのか分からずに、首を傾げると頭を撫でられた。
「忌み子は危ないが、飼い馴らせば自分達の利益になるんじゃないかと考えている奴がいんだよ。」
利益に……?
______ボクはユーラチカのお願いしかキカナイよ?
「___アッ」
その瞬間だけ、自分の周りの空気が凍った。
誰の声がわからない。そもそも"誰"と限定して良いのかさえ分からない。
「ん?どうしたユーラチカ。」
「……なんか、声が聞こえる。」
______ボクが居るヨ?
やめて、来ないで。
______ダレも信じられないデショ?
そんなこと無い。ギルバートがここにいる。一人じゃない。
______そのギルバートも、この前死にカケタノニ?
今は生きてるもん。
______ユーラチカが居るせいでこの前、死にカケタのに?
______タスケテクレルの?
「消えろっ!」
大きな声で、威嚇した。ブワリと私を中心に風がはためく。
魔力が暴走しかけた。
「はぁ、はぁ、……っ、何で。」
こんな声、聞いたことない。
今はもう聞こえないけど、後ろにいる。
後ろに居る気がしてならない。
______ボクガ居るヨ?
そう言って、笑ってる、ユーラチカ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。
夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。
陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。
「お父様!助けてください!
私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません!
お父様ッ!!!!!」
ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。
ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。
しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…?
娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~
紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの?
その答えは私の10歳の誕生日に判明した。
誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。
『魅了の力』
無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。
お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。
魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。
新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。
―――妹のことを忘れて。
私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。
魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。
しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。
なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。
それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。
どうかあの子が救われますようにと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる