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2 始まりの出会い
しおりを挟むクロイのとは学校帰りに出会った。
二年のクラスにもすっかり慣れてきた七月の初旬。あの日も普段通り家に帰ろうとしていた。学校を出て商店街の方へ向かう道を歩いていた。商店街を抜けた先にいつも利用するバス停があったから。
大通りの裏にある細い道路……その歩道を行く。雨の日が続いた後だったので「今日はポカポカした日和だなぁ」そんな事を考えていたと思う。
十メートルくらい前方をクラスメイトが歩いているのに気付いた。私と同じ制服姿の二人組。あの子たちは確か……坂……何とかさんと、内……何ちゃらさん。クラスでも目立つ可愛い子たちなのに名前をまだ覚えていない。あまり話したことがなかったから。
そう。私は俗に言う陰キャの部類だと自負している。前方の女子二人は陽キャで間違いないだろう。楽しそうに喋っている彼女たちが眩しい。
制服は紺のスカートと白い上着に暗い赤のリボンなんだけど……。私も同じ制服を着ているけど、着る人によってこうも違うものなのだろうか。
ため息をついた。癖毛の父と母から生まれた私は当然癖毛だった。毛量も多く手入れが大変な為……数ヶ月に一度、縮毛矯正を掛けている。
肩に触れるくらいの長さがある黒茶色の毛を指でいじる。
だけど外見にはあまりこだわりがなく眼鏡だった友達が次々にコンタクトデビューを果たす中、未だ四角い眼鏡を愛用していた。
気質も内向的だし。昔……幼稚園児だった頃は活発だったのに成長するにつれ大人しくなった。
俯いて陰気に自己を分析していた。その時、鈴の音が聞こえた。
顔を上げる。立ち止まって周囲を見回した。誰かに呼ばれた気がした。前方を歩いている女子たちはもう大分先へ進んでいる。私を呼んだのは彼女たちじゃない。
ふと目を向けた足元に何か落ちていた。小さな金色のそれがキラリと光った。
指で摘んでよく見てみる。縦長の菱形で金属でできているような硬さ。細工が緻密で綺麗だと思った。直径二センチくらいのバッジだった。
「ニャン」
鈴の音と共に猫の鳴き声を聞いた。我に返って足元に視線を戻す。一匹の黒猫が私の周囲を歩き回っていた。その子の首にピンク色のリボンが結わえてある。
もしかしてあのリボンに付いていたバッジかもしれない。そんな考えが閃いた。膝に手を置いて身を屈める。自分でもどうかしていると思いながらもバッジを猫に差し出した。
「ネコさんバッジ落としたよ!」
それが……私がこのいざこざに巻き込まれた最初だったのかもしれない。
猫の目がキランと光ったように見えた。
「ああ。それは君に預けるよ」
若い男の声で猫が喋った。じっとこちらを見上げてくる。神妙な雰囲気で言い渡された。
「君の活躍に期待してるよ。今日からよろしく。魔法少女……ミア」
「…………はい?」
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