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46 特級悪魔の登場、幸せの定義
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寝静まったシャフハウゼン城。
フィリップの枕元に浮かぶゾディアックは、何者かと話していた。
「フッフッフ、ゾディアック、よもやパテックとかいう小娘に、愛などという感情を持ったりはしていないだろうな?」
相手の姿は見えず、声だけがゾディアックの内に響く。
「ヘッヘッヘ、まさか、利用できると思ったから仲いいフリをしてただけです」
ゾディアックはその相手に畏怖の念を抱いていた。
「フッ、確認するが、愛とは何か言ってみろ」
「ヘッ、『人間が子孫を残す為に、脳内物質が創り出す錯覚』です」
「フッ、その通り、その錯覚を信じて人間は自分を犠牲にしたりする。我々魔界の者には理解できない感情だ」
「ヘッ、まったくです」
「フッ、しかし天界の奴らは『全ての者が仲良く幸せになれる世界を創る』などという甘言で人を惑わし、勢力を拡大してきた。
元来、他者と友好関係を結ぶのは、そこに利害関係が成立する場合のみ、それ以外の他者は不幸であれと願うのが必然。
なぜなら幸せとは誰かの不幸を認識する事で感じられるものだからだ。『人の不幸は蜜の味』これこそが世の真理!」
「ヘッ、分っています」
「フッ、ならばフィリップの子が生まれるのを阻止する事の重要性は分っているな?」
「ヘッ、勿論です。これまで天界の陰で苦汁を舐めてきた魔界が、魔王を倒す勇者の誕生を阻止する事で、人間界における勢力を一気に逆転する…」
「フッ、そうだ、これは悪しき運命のループを断ち切る千載一遇のチャンスなのだ!」
相手のあまりの勢いに、ゾディアックは少しだけ面倒くさそうな顔をした。
「ヘッ、そうは言ってもフィリップは二十歳まで生かしておく契約です」
「フッ、ならば元婚約者の小娘、元恋人の女騎士、レア魔法を使う白魔導士、とりあえず目障りなこの三人を始末してしまおう」
「ヘッ、ですがあいつらには特級天使に守護された聖女のエベルがついています、そう簡単には…」
特級天使エポスを思い出して、ゾディアックは身震いした。
「フッ、計画はすでに進行中だ。その為に私、特級悪魔のオメガデビルがわざわざ魔界からやって来たのだからな」
「ヘッ、オメガデビル様、その計画とは?」
「フッ、お前には考えも及ばぬ事だ。いいか、お前の役割は私の存在を隠し続ける事、それだけを完璧にやり遂げるのだ!」
そう言い残してオメガデビルの気配は消えた。
「ヘッヘッヘ、特級天使と特級悪魔の戦いか、どんな結末になるのやら……パティよ、お前はどうする?」
フィリップの枕元に浮かぶゾディアックは、何者かと話していた。
「フッフッフ、ゾディアック、よもやパテックとかいう小娘に、愛などという感情を持ったりはしていないだろうな?」
相手の姿は見えず、声だけがゾディアックの内に響く。
「ヘッヘッヘ、まさか、利用できると思ったから仲いいフリをしてただけです」
ゾディアックはその相手に畏怖の念を抱いていた。
「フッ、確認するが、愛とは何か言ってみろ」
「ヘッ、『人間が子孫を残す為に、脳内物質が創り出す錯覚』です」
「フッ、その通り、その錯覚を信じて人間は自分を犠牲にしたりする。我々魔界の者には理解できない感情だ」
「ヘッ、まったくです」
「フッ、しかし天界の奴らは『全ての者が仲良く幸せになれる世界を創る』などという甘言で人を惑わし、勢力を拡大してきた。
元来、他者と友好関係を結ぶのは、そこに利害関係が成立する場合のみ、それ以外の他者は不幸であれと願うのが必然。
なぜなら幸せとは誰かの不幸を認識する事で感じられるものだからだ。『人の不幸は蜜の味』これこそが世の真理!」
「ヘッ、分っています」
「フッ、ならばフィリップの子が生まれるのを阻止する事の重要性は分っているな?」
「ヘッ、勿論です。これまで天界の陰で苦汁を舐めてきた魔界が、魔王を倒す勇者の誕生を阻止する事で、人間界における勢力を一気に逆転する…」
「フッ、そうだ、これは悪しき運命のループを断ち切る千載一遇のチャンスなのだ!」
相手のあまりの勢いに、ゾディアックは少しだけ面倒くさそうな顔をした。
「ヘッ、そうは言ってもフィリップは二十歳まで生かしておく契約です」
「フッ、ならば元婚約者の小娘、元恋人の女騎士、レア魔法を使う白魔導士、とりあえず目障りなこの三人を始末してしまおう」
「ヘッ、ですがあいつらには特級天使に守護された聖女のエベルがついています、そう簡単には…」
特級天使エポスを思い出して、ゾディアックは身震いした。
「フッ、計画はすでに進行中だ。その為に私、特級悪魔のオメガデビルがわざわざ魔界からやって来たのだからな」
「ヘッ、オメガデビル様、その計画とは?」
「フッ、お前には考えも及ばぬ事だ。いいか、お前の役割は私の存在を隠し続ける事、それだけを完璧にやり遂げるのだ!」
そう言い残してオメガデビルの気配は消えた。
「ヘッヘッヘ、特級天使と特級悪魔の戦いか、どんな結末になるのやら……パティよ、お前はどうする?」
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