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43 パテック、フィリップを冒険の旅へ
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玉座の間、私は国王の前に立っていた。
「王様、お願いがあります」
「突然どうした、パテックよ」
私の勢いに押されて国王はドギマギしていた。
「フィリップを冒険に連れていきます。許可をください」
「冒険だと!理由はなんなのだ?」
「性格を鍛える為です。このままでは永久にマザコン不〇男のまま結婚相手なんて見付かりませんよ」
「不〇男とはあまりに酷い…私はてっきり、そなたがフィリップの嫁になってくれるものだと思っていたが」
「それはキッパリとお断りします」
「残念だ…しかし、城に居ても性格を鍛える事はできるのではないか?」
「生ぬるいです!そうやって甘やかしてきた結果が、現在の状況を生んだって事が分らないんですか?」
「はっきり言うなあ…とは言え世は泰平だ。海を渡って魔獣の領域にでも行かん限りは、そうそう冒険も出来んと思うが…」
「それに関しては私に考えがあるので任せてください」
「フィリップ自身は何と言っているんだ?」
「それはもう行く気満々です」
これは嘘だ。フィリップが冒険になんて行きたがる訳がないが、私には強引に連れ出す自信があった。
「そうか…かわいい子には旅をさせろという教えもあるし…分かった、冒険を許可しよう」
まあ、ここまではスムーズに行くだろうと思っていた。問題はこの後だ。
「それから冒険の旅に出るにあたって、フィリップに王家の紋章を授けていただくのをお忘れなく」
「まて、王家の紋章は一個人に国権の発動を許可するものだ。たとえ王子に対してでも私の一存では決められない案件だぞ」
ほらきた、
「ああ、なんて可哀そうなフィリップ!肉親にまで見捨てられたまま死んでいくなんて…」
私は持てる演技力全開で情に訴えた。
「分かった、分かった、フィリップに王家の紋章を授けよう」
やった!
「では、今すぐ宣言を!」
「忙しないな…何だか前にも同じような事があった気がするが…」
「王様、それは気のせい、デジャヴってやつです」
前に王家の紋章を発行させたのは歴史を改変する前の話なので嘘ではなかった。
国王は釈然としない顔で咳払いをすると、気持ちを入れ直して宣言を始めた。
「コホン…国王、バシュロン・コンスタンチン・ド・シャフハウゼンの名に於いて、フィリップ・ジュネーヴ・ド・シャフハウゼンに王家の紋章を授ける…これでよいか?」
「ばっちりです!」
「お嬢ちゃん、いい加減減にしろ、国王様に対して物言いが失礼すぎるぞ!」
広間の隅に控えていたレイモンドがしゃしゃり出てきた。
「まあ良いではないか」
国王がレイモンドをなだめる。
「ちなみにレイモンド、あんたも一緒に行くのよ?」
「なんで俺が…いえ、私の仕事は城の警護です。長く城を離れる訳にはいきません」
「以前は喜んでフィリップを追っかけてたくせに…王子の警護だって重要な仕事でしょ」
「お前の話はちょくちょく訳が分からん、俺がフィリップ様を追いかけていただと?」
歴史改変前の話だ、レイモンドに分からないのを承知で、ついボヤいてしまった。
「レイモンド、言いたい事は分かるが私からも頼む、フィリップを守ってやってくれないか」
「…国王様がそうおっしゃるなら、謹んでお引き受けいたします」
「じゃ、そういう事で!」
私は挨拶すると、広間から退出した。
「王様、お願いがあります」
「突然どうした、パテックよ」
私の勢いに押されて国王はドギマギしていた。
「フィリップを冒険に連れていきます。許可をください」
「冒険だと!理由はなんなのだ?」
「性格を鍛える為です。このままでは永久にマザコン不〇男のまま結婚相手なんて見付かりませんよ」
「不〇男とはあまりに酷い…私はてっきり、そなたがフィリップの嫁になってくれるものだと思っていたが」
「それはキッパリとお断りします」
「残念だ…しかし、城に居ても性格を鍛える事はできるのではないか?」
「生ぬるいです!そうやって甘やかしてきた結果が、現在の状況を生んだって事が分らないんですか?」
「はっきり言うなあ…とは言え世は泰平だ。海を渡って魔獣の領域にでも行かん限りは、そうそう冒険も出来んと思うが…」
「それに関しては私に考えがあるので任せてください」
「フィリップ自身は何と言っているんだ?」
「それはもう行く気満々です」
これは嘘だ。フィリップが冒険になんて行きたがる訳がないが、私には強引に連れ出す自信があった。
「そうか…かわいい子には旅をさせろという教えもあるし…分かった、冒険を許可しよう」
まあ、ここまではスムーズに行くだろうと思っていた。問題はこの後だ。
「それから冒険の旅に出るにあたって、フィリップに王家の紋章を授けていただくのをお忘れなく」
「まて、王家の紋章は一個人に国権の発動を許可するものだ。たとえ王子に対してでも私の一存では決められない案件だぞ」
ほらきた、
「ああ、なんて可哀そうなフィリップ!肉親にまで見捨てられたまま死んでいくなんて…」
私は持てる演技力全開で情に訴えた。
「分かった、分かった、フィリップに王家の紋章を授けよう」
やった!
「では、今すぐ宣言を!」
「忙しないな…何だか前にも同じような事があった気がするが…」
「王様、それは気のせい、デジャヴってやつです」
前に王家の紋章を発行させたのは歴史を改変する前の話なので嘘ではなかった。
国王は釈然としない顔で咳払いをすると、気持ちを入れ直して宣言を始めた。
「コホン…国王、バシュロン・コンスタンチン・ド・シャフハウゼンの名に於いて、フィリップ・ジュネーヴ・ド・シャフハウゼンに王家の紋章を授ける…これでよいか?」
「ばっちりです!」
「お嬢ちゃん、いい加減減にしろ、国王様に対して物言いが失礼すぎるぞ!」
広間の隅に控えていたレイモンドがしゃしゃり出てきた。
「まあ良いではないか」
国王がレイモンドをなだめる。
「ちなみにレイモンド、あんたも一緒に行くのよ?」
「なんで俺が…いえ、私の仕事は城の警護です。長く城を離れる訳にはいきません」
「以前は喜んでフィリップを追っかけてたくせに…王子の警護だって重要な仕事でしょ」
「お前の話はちょくちょく訳が分からん、俺がフィリップ様を追いかけていただと?」
歴史改変前の話だ、レイモンドに分からないのを承知で、ついボヤいてしまった。
「レイモンド、言いたい事は分かるが私からも頼む、フィリップを守ってやってくれないか」
「…国王様がそうおっしゃるなら、謹んでお引き受けいたします」
「じゃ、そういう事で!」
私は挨拶すると、広間から退出した。
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