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39 パテック、ついに王子にざまぁする

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「パティ、ゾディアックとケンカしちゃダメだよ」

フィリップが話に割って入った。

「聞いたでしょ。ゾディアックは呪いが解けないようにあんたの結婚を邪魔して、命を奪おうとしてるのよ」

「違うよ、ゾディアックは僕に変な人が寄ってこないようにチェックしてくれてるんだ。ゾディックは僕のたった一人の友達なんだから」

「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまで馬鹿だとは思わなかったわ!」

「ヘッヘッヘ、だからお節介だって言ったろ。急にフィリップを助けたくなったのかパティ?」

「んな訳ないでしょ!私は文句を言ってスッキリしたかっただけよ」

「だったら言ってやりゃあいいじゃねえか。記憶を封印したって無くした訳じゃない、お前が教えてやりゃあ思い出すかもしれないぜ、ヘッヘッヘ」

「分かった…じゃあフィリップ、お芝居ゲームしましょ」

「うん、やろう!」

「あんたはワガママ王子役で、私はその婚約者役ね」

「いいよ」

「フィリップ、私という婚約者がありながら、近衛隊長のレイモンドに浮気したわね」

「もうゲーム始まってるの?」

「そうよ。あんたとかくれんぼした時、途中で飽きて勝手にやめるから、私はタンスの中で熱中症になって死ぬとこだったわ」

「うん…」

「あんたがやりたくないって駄々をこねるから、剣術の稽古も馬術の稽古も私が代わりに特訓を受けたのよ」

「うん…」

「私が夕食のエビがおいしいって言ったら、あんたはコックに一週間三食共エビを出させて、私はエビアレルギーになったのよ」

「うん…」

「あんたが等身大のお人形が欲しいって言って、いざ完成したらいらないって私に押し付けて、すごいジャマくさかった」

「うん…」

「とにかく、あんたのやる事は、いっつも身勝手で見当違いなのよ!」

「うん…」

「あんた、私の事、一度でも好きだと思った事あった?」

「僕はパティの事、友達として普通に好きだよ。パティだってそうでしょ?」

「そうじゃない…私はあんたを、婚約者として好きになろうと頑張ったし、好きになって貰おうと頑張った…頑張ったのよ!」

「それでパティは楽しかった?幸せだった?」

「そんな事、考えた事もなかったわ。全ては魔王の呪いを解く為だったんだから」

「じゃあ、魔王の呪いが解けた今は幸せだね、よかった」

「フィリップ…記憶が戻ったの?」

「何言ってるの?これはお芝居ゲームでしょ。僕はワガママで身勝手なひどい奴、で、それから?」

「あんたは、聖女見習いのエベルと駆け落ちして私を散々不安にして、見つかった途端に愛するレイモンドに剣で斬られて、生き返ってもレイモンドと結ばれる事もなく、悪魔だけを友達に二十歳で寂しく死んでいくのよ。
……ざまあみろ!」

やっと言いたかった事を言ってやった。はずなのに、私の顔は涙でグシャグシャだった。
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